2021年3月2日

ドローン撮影と屋根の相性とは?|屋根の部位別に解説!

建築業界でのドローンの活用が進んでおり、屋根点検の分野でも普及しはじめています。とはいえ、ドローンで具体的にどのような屋根の写真が撮影できるのか、他にはどんなことができるのかが知識として広まっていないことも事実です。

この記事では、そもそもドローンには何が出来るのかということから、具体的な屋根のドローン撮影写真、さらにドローンを実際に扱うにあたって陥りやすい落とし穴と、その解決策まで解説します。

屋根点検に活用できるドローンとは?

ドローンそのものについてはこの数年で急速に社会的な認知が進んでいますが、実際にドローンを見たことがある、または使ったことがある方はまだまだ少ないのではないでしょうか。

そこでこの章では、そもそもドローンにどのような種類があるのかを説明し、それぞれの種類がどのような用途で使われているかを解説します。

ドローンの種類と、それぞれが出来ること

「ドローン」と一口に言っても、中には様々なドローンがあります。近年認知が進んでいるドローンは複数のプロペラを用いて安定した上空飛行を可能にした「マルチコプター型ドローン」と呼ばれるものであり、この中でも複数の種類があります。

・トイドローン

バッテリーを含めて200g以下の重量のドローンは「トイドローン」と呼ばれ、厳密には航空法や無人航空機等規制法(ドローン規制法)で定められているドローンにはあたりません(2021年3月現在)。これらのトイドローンは飛行のための最低限の機能を備えるに留まっており、中には撮影用のカメラがついていないものもあります。価格も安く、飛行中に風の影響を受けやすいため、屋内を飛行させるための、その名の通りおもちゃとして普及が進んでいます。

・産業用ドローン

トイドローンに対して、産業用ドローンはサイズも大きく、さまざまな産業で広く用いられるドローンです。これらの多くはカメラやセンサーの交換が可能であり、ドローン本体に取り付ける部品によって多くの活用の選択肢が生まれます。

主な活用業界としては農業(農薬散布、作付面積測定、作物生育状況確認)、土木工事(測量)、物流(物資運搬)があります。ドローン本体の重量も重く、テレビカメラのような大型カメラを接続して高画質な動画を撮影することもできます。

・空撮用ドローン

空撮用ドローンは、産業用ドローンよりも小さく持ち運びがしやすいドローンです。物を運んだりすることはできませんが、手軽に空中撮影をおこなうことができるドローンとして近年普及が進んでいます。トイドローンとは異なり、安定的に飛行を行うためのGPS(通信衛星の電波による位置測定)やフライトコントローラ(風を受けても機体を安定させるための機構)が搭載されており、障害物を検知するセンサーも多く組み込まれているため、屋外での安全な飛行が可能になっています。

空撮用ドローンはトイドローンよりも実用的かつ、家電量販店でも購入できるなど産業用ドローンよりも手に入りやすいため、空中からの撮影を手軽に行えるツールとして活用の幅が広がっています。

主な活用領域として、テレビやYoutube等の動画エンターテイメント業界での撮影や、カメラマンによる風景写真、記念写真等の撮影サービス、そして建物やインフラといった人が入りにくい場所の点検業務があります。次の章では、建物点検、とりわけ屋根の点検に対して、空撮用ドローンがどのようなメリットを生むことができるのかを説明します。

ドローンでの屋根撮影に向いている箇所と向かない箇所

前章では、ドローンのさまざまな種類と、それぞれの活用シーンをご説明しました。この章では、記事のテーマである「屋根の撮影」にフォーカスし、従来の屋根撮影と比べてドローンがどのような写真を撮影することができるのか、一方でどのような箇所はドローンには撮影できないのかを合わせてお伝えします。

1.ドローンでの屋根撮影に向いている箇所

ドローンでの屋根撮影は「地上からでは目視点検できない箇所」や「屋根上から体を乗り出して撮影を行うのが危険な場所」で強みを発揮します。具体的には屋根の全体を上空から捉えた写真や、雨樋、軒天、破風板、ケラバが挙げられます。これらのうち、雨樋の内部やケラバの瓦のズレなどは地上から目視することができず、軒天は地上からでは十分な近距離からの撮影ができないため、ドローンで安全な場所から空撮を行うことで、不具合箇所を特定することが可能です。

2.ドローンでの屋根撮影には向かない箇所

一方、ドローンでの撮影には向かない屋根部位もあります。例えば屋根面すれすれの位置からスレートや瓦の横の状態を撮影しようとした場合、ドローンの障害物検知センサーが反応してしまい、一定の距離以上屋根面に近づくことができない、といった状況が発生します。こうなってしまうと、下の画像のようなスレートの層間剥離や、瓦や釘の微細な浮きを横から確認することが難しくなります。

同じような現象は棟板金や棟瓦の釘浮きを確認しようとする時にも発生するため、このような箇所の撮影にはドローンは向いていません。

ドローンによって、従来の手法では撮影できないまたは撮影しづらい屋根部位が撮影可能になり、点検や診断を行うことができるようになりました。屋根に登る危険をおかすことなく撮影が可能なので、屋根点検の効率化や安全性の向上が見込めます。

ただし、「ドローンでの撮影が向かない/難しい箇所」は残り、そういった箇所は従来の手法の方がドローン撮影よりもメリットがあるため、ドローンでの屋根撮影や点検にあたっては、全てをドローンで済ませるのではなく、点検や撮影箇所によって手法を使い分けるのが良いでしょう。

ドローンで良い写真を撮影するためのポイント

この章では、前章で説明したドローンを用いた撮影に向いている屋根の箇所、つまり屋根の全体を上空から捉えた写真や、雨樋、軒天、破風板、ケラバについて、具体的にどのような写真が撮影できるのか、またお施主様に説明がしやすい写真を撮影するにはどのようなポイントがあるのかについて、解説します。

1.全体上空写真

上の写真は、上空60メートルまで上昇してカメラ角度を真下に向けた状態で撮影したものです。このような真上からの画角はドローン以外の手法では撮影できないため、従来の屋根撮影から大きく変化する点です。

また、このような写真は撮影にあたって「高度を上げて、カメラを下に向ける」という操作のみで特別な技術を要しないため、ドローンを導入したらすぐにでも撮影できます。

2.雨樋

雨樋の写真は全体上空写真とは違い、やや撮影のスキルが求められる箇所です。撮影の結果として何を確認したいのかにもよりますが、例えば雨樋に堆積した泥や砂の状態を見たいのであれば真上から、雨樋の歪みを確認したければ雨樋と平行に撮影する技術が必要です。

上の写真は雨樋と平行に撮影したものです。平行に撮影する場合には、雨樋と目線を合わせる高度までドローンを操縦し、カメラを任意の向きに動かすことが必要になるため、全体写真の撮影に比べてやや操縦の技術を必要とします。

3.軒天

軒天は下屋や玄関によって地上からの目線を遮られていることも多く、従来の手法での撮影が難しい箇所であるため、ドローンでの撮影が向いている箇所です。軒天の写真を撮影するには、下野と上屋根の中間程度の高度までドローンを移動させ、カメラをやや見上げるような角度に調整することが必要ですが、この際、ドローン下部に搭載されている障害物感知センサーが下屋根に反応してしまわないよう、高度を調整しなければなりません。雨樋の場合に発生した「目線を対象物に合わせる」の調整に加え、センサーの反応にも気を使う必要があり、操縦はより難しくなります。

4.破風板

切妻屋根の破風板は、雨樋の撮影とほぼ同じ高度調整、角度調整が必要です。雨樋の歪みを確認したい場合には雨樋とほぼ平行か、少し見下ろすような角度での撮影ですが、破風板の場合はカメラ角度は平行よりもやや見上げるような角度に調整します。

破風板を見上げて撮影する場合にも、ドローンの障害物感知センサーの反応に気を配る必要があります。軒天撮影時にはドローン下部のセンサーが反応する可能性がありますが、破風板の場合にはドローン前部に搭載されたセンサーが反応してしまわないよう、建物とドローンの間の距離に気をつけなければなりません。

5.ケラバ

ケラバの撮影で主に確認したい点は、瓦の横ずれや浮きです。この場合、破風板と同様のドローン位置、カメラ角度から撮影をする手法と、屋根上中心部からケラバ側を視認する方法があります。破風板側からの撮影は条件次第で地上からも可能ですが、屋根上から瓦の浮きを確認するためには、ドローンを活用する方が良いでしょう。

注意すべき点は、軒天の時と同じく、屋根面に近づきすぎることによる障害物センサーの反応です。また、古い建物の屋根面にはテレビ用アンテナや固定ワイヤーといった障害物があることも多く、こういった細い障害物はセンサーが反応しないこともあるため、接触に充分注意しなければなりません。

ドローン屋根点検を行うにあたってのハードルと解決策

ここまで、屋根点検に活用できるドローンの種類、ドローンでの点検に向いている屋根部位、ドローンでの屋根点検のポイントをお伝えしてきましたが、ドローンを実際に活用して屋根撮影や点検を行うにあたっては、いくつかのハードルがあります。

この章では、ドローンを実際に活用するために乗り越えなければならないハードルを大きく3つに分類し、それぞれのハードルをどのように乗り越えるべきなのかを説明します。

1.操縦の難しさ

前章で説明した通り、ドローンを任意の高度や位置に操縦し、カメラを調整して撮影するためには一定の技術が必要です。屋根点検や診断のための撮影となればお施主様からの要望に逐一応える必要もあり、説明と操縦と撮影を同時にこなす難易度は、ただ操縦を行うだけよりも高くなります。

このような操縦技術を習得するためには、主に以下のような方法があります。

・ドローンスクールに通う

近年、ドローンの需要の高まりに合わせ、ドローンの操縦研修と民間資格の付与をサービスとして提供するドローンスクールが増えつつあります。このようなスクールは基本的なドローンの操縦方法や、写真の撮影方法や関連法律まで、包括的に教習を受けることができます。スクールにもよりますが料金はおおよそ一人あたり15万円〜20万円で、飛行に必要な許可取得や機体の料金は別途かかる形式が一般的なようです。

・ドローンパイロット派遣サービスを活用する

撮影のためのドローンを自分で操縦せず、プロのパイロットに依頼して操縦を代行してもらうといった方法もあります。ドローンパイロットは上記のようなスクールを卒業したり、自分で練習を重ねて資格を取得した人で、1日あたり約5〜10万円程度の費用で依頼することができます。自分で操縦することがないぶん、操作ミスや事故といったリスクは低減されますが、写真撮影について逐一要望を伝えなければならない、定常的に撮影業務が発生するのであれば費用がかさむ、というデメリットがあります。

・各種の操縦サポートツールを使う

ドローンを操縦するにあたり、ドローンスクールに通って技術を習得しなくても、飛行補助や事前の飛行経路設定を行うことで撮影をサポートしてくれるツールがあります。例えばドローンメーカーのdji社がリリースしている「DJI GS Pro」は、事前に飛行経路を設定しておくことで、離陸から着陸までを完全自動化し飛行してくれます。飛行中の随時の操作はできませんが、事前に決めた経路を間違いなく辿るので、飛行に関する不安は解消できます。

また、弊社のドローンアプリ「DroneRoofer」は、操縦機の操作をタブレットのタップに置き換えることで、飛行中の誤操作をなくし安全な操縦を行うことを可能にしています。GS Proと違って事前のルート設定はできませんが、飛行中に安全に任意の位置にドローンを調整することが可能なため、細かい部分の撮影や点検に向いています。

2.機体選び

空撮用ドローンの中でも、いくつかの種類があります。どの機種を選ぶべきなのか迷うこともあると思いますので、代表的なものを以下に紹介します。

・dji Mavic 2 Zoom

現在、空撮用ドローンでデジタルズームではない光学ズームが使える機種は限られており、Mavic 2 Zoomはその中のひとつです。高性能カメラによって2倍のズームができ、しかもズームによって画像が粗くなったり画素数が減ったりはしないため、点検用の撮影に向いています。

・dji Mavic 2 Enterprise Dual

Mavic 2 Enterprise Dualは、前述のMavic 2 Zoomの系列の機種ですが、光学カメラに加えて赤外線カメラが搭載されている所が大きな特徴です。その他のメリットは、カメラだけでなくスピーカー、高輝度ライト、ビーコンといったオプションパーツが充実しており、Mavic 2 Zoomに比べて多様な使い方ができる点です。ズーム機能がないため、屋根の詳細部分の撮影に最適とは言えませんが、赤外線カメラによって屋根に取り付けられた太陽光パネルを点検することもできます。

・dji inspireシリーズ

inspireシリーズは、空撮用ドローンの中では珍しくカメラの付け替えが可能なモデルです。Mavicシリーズよりもハイスペックな機体であり、交換するカメラによっては多様な撮影方法が可能であるため、純粋な点検撮影というよりは広範囲にわたっての動画撮影に活用されるケースが多いです。

・Phantomシリーズ

日本でのドローン普及の火付け役となったPhantomシリーズも、空撮用ドローンとして優れた性能を有しています。Phantomシリーズは近年新しいモデルが登場しておらず、Mavicシリーズのように折りたたみもできないことから近年ではMavicシリーズよりも流通が少ないですが、安定した飛行性能と約2,000万画素の高画質で人気のモデルです。

3.法律の煩雑さ

ドローンを実際に運用するためには、操縦手法や機体選びだけでなく、関連する法律や各種の規制について、把握しておかなければなりません。日本国内でドローンを規制する法律は主に「航空法」や「小型無人機等規制法(ドローン規制法)」ですが、場所や時期によっては他の法律や各自治体の条例にも気を配る必要があり、さらにドローン技術の定常的な進歩にしたがってこれらの法律や規制も刻々と変化するため、これらの最新情報を常にチェックする必要があります。これらの情報を取得するためには主に以下の2つの方法があります。

・国土交通省のwebサイトを確認する

ドローンの飛行に関する法規制の情報は、国土交通省のwebサイトで確認することが可能です。地域や自治体ごとの条例や規制についてはそれぞれの自治体のwebサイトを確認することでドローンの飛行についての条件を把握できます。法律や条例については一次情報にあたるのがもっとも正確ですが、ドローンを飛行させるために逐一このような情報を収集するのは楽ではありません。

・法律や条例について最新情報を提供してくれるアドバイザーを探す

各種の法律や条例についての情報収集を自身では行わず、最新情報を提供してくれるアドバイザーやコンサルタントを探すことが実運用への近道といえます。ドローンについての法律や条例の情報をメールで送ってくれたり、必要な地域や時期に必要な情報を受け取れることで、大量の情報の中から取捨選択をおこなう手間もなくなります。

このオンラインメディア「MOTTOBE」もそのような情報を随時提供し、また弊社のドローンサービス「DroneRoofer」は、常に最新の法規制の情報をメールやLINE@、さらにオンラインのサポート窓口でお伝えしています。

このように、ドローンを実際に活用するにあたってのハードルは、工夫や各種の情報提供を受けることで払拭することが可能です。この記事がその情報収集の助けになれているのであれば幸いです。

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