「新規の問い合わせが落ち込んでいる。何から手をつければよいか分からない」という声を、塗装業者の方からよくいただきます。
集客の手法そのものは、すでに一通りそろっています。難しいのは、9つある手法のどれを自社で回すか、どれを外注するか、そして問い合わせを受注につなげる導線をどう作るかです。
この記事では、塗装業者の集客方法9つをオンラインとオフラインに分けて比較したうえで、下請けから元請けへ移るための条件、自社対応と外注の判断基準、そして問い合わせを受注につなげる導線を解説します。あわせて、現地調査の見せ方を変えたことで、ポータルサイト経由の受注率に変化があった導入企業3社の実データも紹介します。
現地調査の時間を短くし、屋根の状態を施主に見せながら提案したい塗装会社の方へ。DroneRooferの製品資料をお送りします。
- ・問い合わせが増えても、現地調査が追いつかない
- ・屋根の傷みを、根拠と一緒に施主に見せたい
- ・ポータルサイトの相見積もりで、価格以外の理由で選ばれたい
目次
塗装業を含むリフォーム業界。市場の状況は?
リフォーム業界全体の市場規模や動向
2025年の住宅リフォーム市場規模は、7兆5,119億円です。矢野経済研究所が2026年7月16日に発表した「住宅リフォーム市場に関する調査」によると、2025年の実績は前年比2.5%増の7兆5,119億円、2026年は前年比1.9%増の7.7兆円になると予測されています。
塗装業者が見るべきなのは、市場全体ではなく分野別の内訳です。
増改築費用:前年比22.1%減
設備修繕・維持関連費用:前年比4.7%増
家具・インテリア費用:前年比2.5%増
増改築が2割以上減っている一方で、設備修繕・維持関連は伸びています。外壁や屋根の塗り替えは住宅の維持・修繕にあたるため、この分野の動きは、塗装工事の需要にも関わります。間取りを変える工事が減っても、劣化を放置できない工事までなくなるわけではありません。
一方で、競争は激しくなっています。リフォーム事業には必須の資格や免許がなく、参入のハードルが低いためです。家電量販店、ホームセンター、ECサイト運営企業、アパレル企業など、異業種からの参入も続いています。市場が伸びていても、1社あたりの受注が増えるとは限りません。塗装業界そのものの構造は「塗装業界の課題と今後を徹底解説」で扱っています。
リフォーム業者の選び方に関する傾向
施主がリフォーム事業者を探す経路は、検討段階と実施段階で大きく異なります。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が2026年2月に公表した「住宅リフォームに関する消費者実態調査」では、事業者の情報源が次のように示されています。
検討者のインターネット関連の合計:37.2%
実施者のインターネット関連の合計:29.0%
検討者の上位:テレビ29.8%、チラシや広告誌20.2%、その他インターネット19.0%、友人・知人17.3%、企業のショールーム16.1%
実施者の上位:いつも工事を依頼している業者25.1%、その他インターネット16.3%、チラシや広告誌15.1%、テレビ14.9%、友人・知人13.8%
この数字から分かるのは2つです。
1つは、検討段階ではインターネットが最大の情報源になっていることです。まだ業者を決めていない層には、Webから情報を届けやすいといえます。
もう1つは、実施段階では「いつも工事を依頼している業者」が25.1%で最多になることです。一度依頼した業者に、次の工事も依頼する人が一定数いることが分かります。新規の集客と既存顧客へのフォローは、別の施策として両方必要です。
リフォームの目的に関する傾向
リフォームのきっかけは、住宅の構造部分の劣化が最も多くなっています。協議会の調査では、リフォーム検討のきっかけとして「壁、床、天井、屋根など住宅の構造部分が古くなった又は壊れたから」が検討者全体で上位を占めています。間取りやデザインへの不満、特定の部屋が欲しいといった理由はその下に来ます。
リフォーム箇所では、トイレや浴室、洗面所、キッチンといった水回りの割合が高く、塗装工事を含む外壁工事は実施者で24.4%、検討者で13.6%でした。検討者と実施者で差が開くのが外壁工事の特徴です。自分から探して始める工事というより、劣化を指摘されて実施に至る工事だと考えられます。
契約時の世帯主の年齢は40〜60代が最も多くなっています。
塗装業者の集客方法は9つに整理できる
塗装業者が使える集客方法は9つです。オンラインが5つ、オフラインが4つに分かれます。それぞれ費用のかかり方と成果が出るまでの期間が異なるため、1つに絞らず組み合わせます。
・自社サイトとSEO:初期に制作費がかかり、成果が出るまで数ヶ月から1年です。検討段階の層に届き、他の施策からの受け皿にもなります
・MEO(Googleビジネスプロフィール):登録は無料です。地域名との組み合わせで検索する層に届きますが、口コミの蓄積に時間がかかります
・リスティング広告:即日で表示されます。いま工事を検討している層に届きますが、停止すると流入も止まります
・SNSと動画:無料で始められます。潜在層に届きますが、投稿を継続する体制が必要です
・ポータルサイト:登録すれば比較的早く問い合わせが来ます。成約時または送客時に手数料が発生し、相見積もりが前提になります
・折込チラシ・ポスティング:エリアを絞って配れます。インターネットを使わない層にも届きます。反響率は内容によって大きく変わります
・イベント・相談会:直接説明できます。開催の手間とコストが大きく、イベント自体への集客も必要になります
・ショールーム:塗料のサンプルや仕上がりを実物で見せられますが、設置と運営に費用がかかります
・既存顧客へのフォロー:DMやニュースレターで接点を維持します。実施段階で最多の情報源である「いつも依頼している業者」として選ばれ続けるための施策です
この9つのうち、費用をかけずに始められ、継続することで成果を積み上げやすいのがMEOと既存顧客へのフォローです。一方、成果が出るまでの期間が短いのはリスティング広告とポータルサイトで、いずれも止めると流入も止まります。
塗装業者が行うべき集客方法(オフライン編)
オフラインの手法は、エリアを絞れることと、インターネットを使わない層に届くことが利点です。
折込チラシ・ポスティング
チラシは、配布エリアを丁目単位で絞れる手法です。新聞折込またはポスティングで、自社の強みやサービス内容を掲載した紙を配ります。ポスティングであれば、戸建てのみ、分譲マンションのみといった選別もできます。
チラシは手元に残ります。配布した時点でリフォームに興味がなくても、工事の必要性が生じたときに問い合わせにつながる可能性があります。
注意したいのは、内容によって反響率が大きく変わることです。配布後に効果検証と分析を行い、内容を作り直す前提で運用してください。また、ポストへの投函に不快感を示す方もいるため、クレームへの対応体制も必要です。チラシの構成と配布タイミングの設計は「反響率の高いチラシの作り方と配布方法」にまとめています。
イベント
イベントは、参加者に直接説明できる場です。リフォームの相談会、勉強会、展示会などが該当します。塗装工事の実演によって、塗装前と塗装後の違いをその場で見てもらえます。
ただし、開催には手間とコストが発生します。会場やスタッフの手配、運営コストがかかり、参加者が集まらない結果になることもあります。イベントそのものへの集客が必要になる点が難しさです。運営を自社の従業員で行う場合は、通常業務に割ける時間が不足する点にも注意してください。
ショールーム
ショールームは、塗料のサンプルと仕上がりを実物で見せられる場です。外壁や屋根の塗装を検討している方の多くは、塗装の知識を持っていません。実物を見てもらい、スタッフが説明することで成約につながります。近隣の住人に、地域に塗装専門の会社があることを知ってもらうきっかけにもなります。
遮熱や防汚の効果を比較するデモキットを置くと、説明を短くできます。ただし、専用のスペースが必要で、設置と運営に費用がかかります。
既存顧客へのフォロー
実施段階で最多の情報源は「いつも工事を依頼している業者」で25.1%です。新規集客だけを行っていると、この25.1%を他社に渡すことになります。
ニュースレターやDMを定期的に送り、接点を維持します。外壁塗装の耐用年数は塗料によって10年前後のため、次の工事までの期間が長く、その間に忘れられます。点検の案内を定期的に出す形にすると、フォローをきっかけに訪問できます。
大阪府を中心に外壁・屋根塗装や防水工事を手掛ける株式会社良彩建装様は、この仕組みを事業に組み込んでいます。
創業以来、地域密着型の展開で延べ1万軒近い実績を積み重ねてきた同社では、施工後も3年ごとの無償点検を行う独自のフォロー体制を通じ、長期的な信頼関係の構築に取り組んでいます。
3年ごとの無償点検は、集客施策としても機能します。点検の回数が増えるため、1件あたりの点検時間を短縮できるかどうかが、この仕組みを続けられるかどうかを左右します。
塗装業が行うべき集客方法(オンライン編)
検討段階の情報源はインターネット関連が合計37.2%で最大です。オンラインの5手法は、この層に届けるための施策です。
自社サイト
自社サイトは、他の施策からの流入を受ける場所になります。MEO、広告、SNS、チラシのQRコードからも、自社サイトへ誘導できます。サイトの内容が弱いと、周辺の施策に力を入れても問い合わせにつながりません。
掲載すべきものは、自社の強み、対応可能な工事、料金の目安、施工事例、お客様の声、保証内容、そして問い合わせフォームです。
制作方法は、テンプレートでの自作が初期費用0円から5万円、制作会社への依頼が50万円からです。必須コンテンツ8つの作り方とツールの選び方は「外壁塗装ホームページの作り方」で解説しています。
注意点は、公開しただけでは検索結果に出ないことです。SEOには数ヶ月から1年かかるため、その間の流入はMEOと広告で作ります。
リスティング広告
リスティング広告は、9つの手法のなかでも早く成果につながりやすい手法です。検索キーワードに連動して検索結果に表示されるため、「地域名 外壁塗装」「外壁塗装 見積もり」のように、いま工事を検討している層に直接届きます。
予算を自社で設定でき、データが残るため、効果測定と改善を行いやすい点も利点です。
注意点は2つです。停止すると流入も止まるため、SEOやMEOと並行して、積み上げられる資産を持っておく必要があります。もう1つは、運用に知識が必要な点です。確認すべき指標は、クリック率、クリック単価、コンバージョン率、問い合わせ1件あたりのコストの4つです。
MEO(Map Engine Optimization)
MEOは、費用をかけずに始められ、継続することで成果を積み上げやすい手法です。Googleビジネスプロフィールへ登録して最適化することで、Googleマップと検索結果の地図枠で上位を狙えます。登録も運用も無料です。
「地域名 外壁塗装」で検索したとき、地図枠は通常の検索結果より上に表示されます。ここに入れば、SEOで上位を取る前に流入を作れます。
注意点は即効性がないことです。口コミの数と評価が順位に影響するため、蓄積に時間がかかります。オーナー確認、会社情報の統一、業種とサービスの登録、対応エリアの設定という手順は「Googleマップ集客で選ばれる外壁塗装店になる方法」で解説しています。
SNSと動画
塗装業者のSNSでは、1枚の写真だけでなく、施工の映像も活用できます。X、Facebook、LINE、Instagramでの情報発信に加えて、InstagramのリールやTikTok、YouTubeの短尺動画が主要なチャネルになっています。
投稿する素材は3つに整理できます。
・ビフォーアフター:施工前と施工後を並べます。変化が分かりやすいほど、投稿内容も伝わりやすくなります
・施工の工程:高圧洗浄、養生、下塗り、中塗り、上塗りの様子です。丁寧さを言葉で説明する代わりに、見せる素材になります
・屋根の空撮映像:地上から見えない部分を映します。他社との差別化にも使える素材です
3つ目は、塗装業者にとって差別化につながる素材です。屋根の状態は施主が自分で確認できないため、空撮した映像そのものが情報価値を持ちます。東京都内を中心に外装リフォーム事業を展開する株式会社YKT様は、完工時の撮影を顧客サービスとして組み込んでいます。
また、完工後のドローンでの記念撮影は大変喜んでいただけるポイントになっています。綺麗になった家を背景に家族写真を記念に撮影することでお施主様へ、「最後まで丁寧に対応してもらえた」という好印象を残せるサービスになっていると思います。
注意点は、投稿の継続に体制が必要な点と、不適切な投稿による炎上のリスクです。施工時に素材が自然とたまる仕組みにしておくと、投稿を続けやすくなります。
ポータルサイト
ポータルサイトは、登録すれば比較的早く問い合わせが来る代わりに、相見積もりが前提になるケースが多いです。一括見積もりサイトに登録すると、施主が複数の業者へまとめて見積もりを依頼する形で送客されます。
費用は成約時の手数料または送客ごとの課金です。相見積もりが前提となるケースが多いため、価格競争に巻き込まれやすい構造があります。
ただし、比較のされ方は変わってきています。有限会社サガミコーテック様によると、ポータルサイト側にも変化が見られます。
当社ではポータルサイト経由でお問い合わせをいただくことが多いのですが、最近では絞り込み検索や詳細条件に「ドローン対応(ドローン点検可)」が設けられているケースが少しずつ見られるようになってきました。
絞り込みの条件に入るということは、価格以外の軸で選ばれる余地があるということです。同社では、提案の方法を変えたことで、同じ経路からの受注率に変化が出ています。
ポータルサイト経由のお客さまからの受注率は5件に1件(約20%)だったのですが、最近では30〜40%まで上がっている感覚があります。
株式会社良彩建装様も、ドローンを活用することで同じ経路で成果を出しています。
新規問い合わせで大きな割合を占めているポータルサイト経由の案件では、以前に比べて35%も受注率が向上しています。
ポータルサイトの手数料を下げる方法はありませんが、同じ送客数でも受注件数を増やすことはできます。手数料率が固定なら、受注率が上がるほど1件あたりの獲得コストは下がります。
下請けから元請けへ移るための集客
集客が必要になるのは、元請けを目指す場合です。下請けは営業と集客を元請けが担うため、集客施策そのものが不要です。その代わり、単価から中間マージンが引かれます。
元請け化に必要な条件は3つです。
・Step.1:問い合わせの入口を2つ以上つくります。ポータルサイトとGoogleビジネスプロフィールを併用するのが最低限の構成です。入口が1つだと、その入口の手数料や順位の変動がそのまま売上に響きます
・Step.2:現地調査から提案までの型を固めます。調査の項目、撮影する写真、報告書の様式、見積書の内訳を固定します。ここが固まっていないと、元請け案件が増えた時点で提案が間に合わなくなります
・Step.3:下請けの仕事を残したまま、元請け案件を月1件だけ受ける枠をつくります。売上を落とさずに元請けの業務フローを試すためです。元請け比率が3割を超えたところで、単価と支払条件が合わない下請け案件から外していきます
元請け化で上限になりやすいのは、営業力ではなく現地調査の処理能力です。元請けは問い合わせを自社で受けるため、1件ごとに調査と提案が発生します。調査に時間がかかると、受けられる件数が上限に達します。
株式会社YKT様は、点検方法をハシゴからドローンに変えたことで、受けられる件数が変わったと語っています。
もともと、ハシゴを使って点検していた頃は1件あたり平均60分以上かかっており、1ヶ月で点検できるのが15件ほどが限界でした。
作業時間が大幅に短縮され、その結果、月に20件ほど対応できるようになりました。
月15件から20件への差は、成約率30%なら月1.5件の受注差です。同社はこの差を年間に換算して試算しています。
つまり、営業1人に対して月に5件、年間にすると約60件の現場調査の依頼を受け入れられなかったという計算になります。
独立から元請け化までの資金計画と原価管理は「塗装業で独立するには?」で扱っています。ブランドの設計から集客の仕組み化までの手順は「外壁塗装会社のブランディング構築」を参照してください。
集客を自社で行うか外注するか
判断の基準は、月間の予算と、担当者に割ける時間の2つです。手法ごとに向き不向きが分かれます。
・自社で回すべき手法:MEO、SNSと動画、既存顧客へのフォロー、施工事例の更新です。いずれも施工時の素材がないと成立しないため、外注しても素材の提供は自社の仕事として残ります
・外注を検討する手法:リスティング広告の運用、自社サイトの制作、SEOの設計です。専門知識が必要で、成果が出るまでの時間を短縮できます
・外注できない手法:現地調査と提案です。ここは受注そのものなので外注の対象になりません
広告運用を外注する場合、費用の構造を確認してください。広告代理店の手数料は広告費に対する割合で設定されることが一般的です。月額の広告予算が小さいと、手数料の比率が相対的に重くなります。予算が大きく、かつ社内に運用の時間を取れない場合は、外注したほうが費用に見合う場合があります。
自社対応と外注には、それぞれ利点と欠点があります。
・自社対応の利点:外注費がかからず、社内にノウハウが残り、改善をすぐに進められます
・自社対応の欠点:作業時間が必要で、成果が出るまで時間がかかり、担当者1人に依存しやすくなります
・外注の利点:専門家の知見を活用でき、成果が出るまでの時間を短くできます。社内のリソースを施工と営業に集中できます
・外注の欠点:月額費用がかかり、委託先によって成果に差が出やすく、改善のスピードを自社でコントロールしにくくなります
どちらか一方を選ぶ必要はありません。広告の運用だけ外注し、施工事例とSNSは自社で回す形が無理のない構成になります。判断に迷う場合は、素材が必要な施策は自社、設計と運用の技術が必要な施策は外注という切り分けから始めてください。
問い合わせを受注に変える導線
問い合わせ数を増やしても、受注率が上がらなければ手数料と広告費だけが増えます。問い合わせから受注までの導線には、詰まりやすい箇所が3つあります。
料金と工期を明示する
施主がまず知りたいのは、いくらかかるかと、どれくらいの期間で終わるかです。この2つがサイトのどこにも書かれていないと、問い合わせの前に離脱します。
「一式」の表記は避けて、塗料の種類ごとに坪数別の目安を示します。あわせて、足場代、塗料代、人件費といった内訳の項目名を出しておくと、見積書を受け取ったときにも内容を理解しやすくなります。建物の状態によって変動する点は明記してください。
内訳まで示すことが、比較されたときの判断材料になります。
施工事例と口コミを継続的に集める
施工事例と口コミは、工事のたびに素材を集めないと増えません。他の8つの手法と違い、施策として回すのではなく、業務フローに組み込む対象です。
・施工事例:施工前、高圧洗浄、下塗り、中塗り、上塗り、施工後の6工程を撮ります。1物件あたり屋根や外壁の全景と寄りを50枚から100枚撮影している会社もあり、そこから選べば足ります
・口コミ:施工完了時に依頼します。QRコードを印刷したカードを用意すると、施主の手間が減ります
・お客様の声:施工後アンケートを口コミ依頼と同じタイミングで渡します
依頼のタイミングを固定することがポイントです。満足度が高いのは完工の直後で、時間が経つと依頼しにくくなります。
屋根の状態を施主に見せる
屋根塗装の集客は、外壁塗装と導線が違います。施主は自分の家の外壁を見られますが、屋根は見られません。劣化を自覚していない相手に必要性を伝える工程が先に入るため、提案の仕方が変わります。
そして、現地調査そのものがいま、施主から警戒されています。株式会社YKT様の望月様は、実際の状況をこう語っています。
近年、悪徳リフォーム業者による詐欺まがいのニュースが度々聞かれるようになったことでお施主様はリフォーム業者への警戒心を持っています。
お施主様と初めてお会いするのは現場調査のタイミングになるため、信頼関係を築けていない状態で屋根に登られることを嫌がるお施主様が一定数います。
有限会社サガミコーテック様も同じ状況を指摘しています。
こうしたリフォーム詐欺が全国規模のニュースになった結果、屋根の点検・塗装、修理に対する悪いイメージが付いてしまい、正しく施工を行ってきた業者は悪徳業者と明確な差別化が求められるようになったのです。
「屋根が傷んでいます」という説明が、そのまま疑われる状況にあります。だからこそ、劣化の根拠を施主自身が確認できるようにすることが、集客にもつながります。同社の事例では、実際に受注につながっています。
またポータルサイト経由でお問い合わせいただいたお客さまから「以前に飛び込み営業してきたリフォーム業者から『屋根が割れているから修理したほうがよい』と言われたのだけど、本当か確認してほしい」とのご相談がありました。
客観的な証拠に専門的な知識を加えてご提案したことでお客さまからご信頼いただき、そこから受注に至りました。
ドローンによる屋根点検の費用相場、必要な資格、機体の選び方は「ドローンによる屋根点検とは?」にまとめています。
塗装業者における集客・マーケティングの前提はお客様を理解すること
どの手法を選ぶかより先に、誰に届けるかを決めます。ターゲットが曖昧なまま施策を並べると、媒体の選択も訴求も定まりません。
決めるべき項目は5つです。
・商圏:半径何kmまで対応するかを決めます。MEOとチラシの設計が変わります
・建物の種類:戸建てか、アパート・マンションかで単価と提案内容が変わります
・受注の形:元請け中心か下請け中心かで、集客施策の必要性そのものが変わります
・年代:協議会の調査では、リフォーム契約時の世帯主は40〜60代が最も多くなっています
・検討段階:すでに業者を探している層か、劣化に気づいていない層かで、使う手法が変わります
なかでも、塗装業では5つ目が重要です。すでに業者を探している層にはリスティング広告とポータルサイトが向いていますが、劣化に気づいていない層には届きません。後者にはチラシ、SNS、既存顧客へのフォロー、そして近隣への挨拶が向いています。
競合のリサーチも必要です。同じ商圏の他社の価格帯とサービス内容を調べたうえで、差別化できる点を1つ決めてください。差別化の一案として挙げられるのが、ドローンの活用です。
他社との差別化に! ドローンを活用した点検の流れとポイント
塗装業におけるドローンの活用例として、ドローンを用いた点検が挙げられます。点検そのものが近隣の人に会社を知ってもらうきっかけになるため、集客にもつなげられます。
1.点検前日:点検前のチラシ配り

点検前日までに、チラシを近隣にポスティングしておきます。ドローンはまだ目新しいため、事前に投函しておくことで、ドローン飛行を目にした近隣住民の不安や、通報などのトラブルを避けやすくなります。
2.点検当日:点検直前の近隣住民挨拶
点検の当日には、近隣の住民へ挨拶を行いましょう。事前の挨拶によって住民の不安を取り除き、クレームの発生も抑えられます。実際に飛行させるドローンを持参し、プライバシー保護についても説明すれば、住民にも安心してもらいやすくなります。
挨拶へ出向く際には、在宅している可能性が高い曜日や時間を狙って訪問してください。
住民への挨拶は、新たな見込み客を獲得する機会にもなります。ドローンはまだ珍しいため、実物を持参して挨拶に訪れると興味を持ってもらいやすくなります。点検当日の見学に誘い、点検が短時間で完了する点を説明することで、集客につながります。
点検時に注意すべきポイント
重要なのは、撮影している画面をお客様に見せながら説明することです。操縦に不慣れなうちは、集中するあまり操縦者だけが画面を見てしまうことがあります。画面をできるだけお客様と共有しながら、点検箇所を説明してください。
施主だけでなく、周りに集まってくれた近隣住民にも、ドローンで何を撮影しているのか、修繕箇所がどのように見えるのかを説明しながら点検を進めます。近隣住民にもドローン点検の様子が伝わり、点検後に「我が家も見てほしい」という相談につながりやすくなります。
まとめ
塗装業者の集客は、9つの手法を組み合わせて回します。1つに絞ると、その手法からの流入が減ったとき、売上も影響を受けます。
組み合わせの基本は3つです。費用をかけずに始められ、継続することで積み上げやすいMEOと既存顧客へのフォローを土台にします。成果が出るまでの期間が短いリスティング広告とポータルサイトで、その間の流入を確保します。そして施工事例と口コミを業務フローに組み込んで、比較の場で選ばれる材料を増やします。
そのうえで、元請け化で上限になりやすいのが現地調査の処理能力であることを押さえてください。問い合わせを増やしても、調査と提案が追いつかなければ受注は増えません。
差別化の一環として、ドローンの活用を検討してみましょう。「DroneRoofer」なら、本体や飛行申請、保険、サポートなどがそろっており、ドローンを導入しやすい環境を整えられます。加えて、集客や点検だけでなく、施主様への提案、説明のための面積計算や報告書作成などもアプリの中で完結するため、提案にかかる作業も効率化できます。
よくある質問
外壁塗装の集客で最初にやるべきことは何ですか?
Googleビジネスプロフィールへの登録です。費用がかからず、地域名との組み合わせで検索する層に届き、地図枠は通常の検索結果より上に表示されます。あわせて自社サイトを用意して、MEOからの流入先を作ります。自社サイトはテンプレートを使えば初期費用0円から5万円で公開できます。SEOで上位表示されるまでは数ヶ月から1年かかるため、その間の流入はMEOとポータルサイトで確保します。
下請けから元請けに変わるには何が必要ですか?
問い合わせの入口を2つ以上持つこと、現地調査から提案までの型を固めること、そして下請けを残したまま元請け案件を月1件受ける枠をつくることの3つです。上限になりやすいのは営業力ではなく、現地調査の処理能力です。1件60分以上かかる調査では月15件が上限になり、成約率30%なら月4.5件の受注で止まります。調査時間を短縮すると、同じ人数で受けられる件数を増やせます。
ポータルサイトは使うべきですか?
登録すれば比較的早く問い合わせが来るため、元請け化の初期には有効です。ただし、相見積もりが前提のケースが多く、手数料も発生するため、これ1本に頼ると価格競争から抜けにくくなります。手数料率は下げられませんが、同じ送客数でも受注件数を増やすことはできます。現地調査の見せ方を変えて、ポータルサイト経由の受注率を約20%から30〜40%へ引き上げた会社や、35%向上させた会社があります。
集客は外注したほうがよいですか?
手法によって分かれます。リスティング広告の運用、自社サイトの制作、SEOの設計は、外注することで成果が出るまでの時間を短くしやすくなります。MEO、SNSと動画、施工事例の更新、既存顧客へのフォローは施工時の素材がないと成立しないため、外注しても素材の提供は自社の仕事として残ります。現地調査と提案は受注そのものなので外注の対象になりません。素材が必要な施策は自社、設計と運用の技術が必要な施策は外注という切り分けから始めてください。
屋根塗装の集客は外壁塗装と同じ方法でよいですか?
導線が違います。施主は自分の家の外壁を見られますが、屋根は見られないため、劣化を自覚していない相手に必要性を伝える工程が先に入ります。加えて、リフォーム詐欺の報道によって「屋根が傷んでいます」という説明自体が疑われる状況にあります。劣化の根拠を施主自身が見られる形にすることが、屋根塗装では集客施策そのものになります。
チラシはもう効果がないのでしょうか?
情報源としての割合は下がっていますが、なくなってはいません。住宅リフォーム推進協議会が2026年2月に公表した調査では、「チラシや広告誌」は検討者で20.2%、実施者で15.1%を占めています。インターネットを使わない層に届く手法であり、エリアを丁目単位で絞れるのもチラシの特徴です。QRコードを載せて自社サイトの施工事例へ誘導する形にすると、紙とWebをつなげられます。