2023年9月29日

塗装業界の課題と今後を徹底解説 市場規模はどうなるか

外壁塗装の業界は比較的新規参入の障壁が低く、さまざまな業者が存在しているため、業者格差も大きい現状があります。そんな背景から新規参入に不安を持つ人や、利益が上げられずに苦しんでいる経営者も少なくないでしょう。ここでは、そんな問題を解決するために、塗装業界の現状や今後を分析し、利益確保の方法も記載します。塗装業界で生き残りを目指す人はぜひ参考にしてください。

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外壁塗装業界の現状と市場規模

ここでは、そもそも外壁塗装という言葉が何を指しているのかを解説します。さらに、日本国内での外壁塗装の市場規模や、塗装業界自体が持つ特徴についても説明していきます。

外壁塗装とは

外壁塗装とは、建築物の外壁や屋根に施工された塗料の塗り替えを行うことを意味しており、リフォーム業界の一部として認識されています。
建物の外壁の塗り替えは、美観をつくることを目的として行うと考える方も多いでしょう。確かに外壁塗装には、老朽化した建物の外観を美しくし直したり、イメージチェンジしたりする作用があります。しかし、建築業界では塗装には「外壁材を保護して、建物の防水性を守る役割」が重視されています。
例えば住宅の外壁材として頻繁に使用されているサイディングボードは、素材自体には防水性がありません。新築の際には防水塗装された状態で工場出荷されたものを使うので塗装は行いませんが、紫外線や風雨の影響で時間とともに劣化が進みます。そのため、外壁塗装をせずに長期間放置すると、建物の見た目が悪くなるだけでなく、屋内に水分が侵入したり雨漏りが起こったりするのです。つまり、定期的に外壁塗装を行うことは、大切な住宅の資産価値を落とさず、居住する人の健康や家財を守るために欠かせないことなのです。

外壁塗装の市場規模

株式会社矢野経済研究所の調査によれば、2020年のリフォーム業界の市場規模は6.5兆円だと報告されています。この調査では2011年からの市場規模が記載されており、最近の10年間は6.2~6.9兆円の間で微小な増減が起こっている程度であることもわかります。つまり、リフォーム業界は市場規模が非常に安定した特徴を持っているのです。
その中で、今回特に着目する外壁塗装の市場規模は、6600億円程度とされています。

2020年からの新型コロナウイルス感染拡大で多くの業界が売上低迷しましたが、外壁塗装の業界はほとんど影響を受けず、むしろ2019年より伸びているというデータもあります。これは外壁塗装が屋外で行うためコロナウイルス感染のリスクが少ないことと、直接ユーザーを訪問する営業が減ってオンライン化が進んだために、営業が効率化されたことが要因と考えられます。
また、外壁塗装は建物の防水性を守る目的を持っており、10~15年に一度の施工が必要とされているため、急激な需要の変化が起こりにくいという有利な特徴を持っています。さらに、外壁塗装の業界は流行に左右されにくいこともあって、市場規模は今後も手堅く推移していくことが予想できます。
昨今のIT技術の発展やグローバル化の波の中で、3年後や5年後が予想しにくい業界が増えていることを考えれば、外壁塗装の業界は大きな魅力を持っているわけです。

外壁塗装業界の特徴

外壁塗装業は資格や免許が無くても開業できる特徴を持っています。
国土交通省は建設業許可の中に塗装工事業許可を設定していますが、許可が必要とされるのは、延べ床面積150平方メートル以上の住宅や、受注金額1,500万円以上の工事に限定されています。そのため、小規模の外壁塗装工事に限定して作業をする場合は、許可を取得しなくても開業ができるのです。

許可が無くても開業できることから、外壁塗装の業界は参入障壁が低い特徴を持っています。実際に外壁塗装の業界には純粋な塗装業者ばかりでなく、ホームセンターやハウスメーカーも参入しており、さまざまな会社が乱立しています。
このような背景から、業者ごとの規模や技能のレベルにばらつきが大きいのも塗装業界の特徴の一つとなっています。

外壁塗装業界の課題

この項目では外壁塗装業界が持つ課題を掘り下げ、対応策を解説していきます。

外壁塗装業者の選び方が知られていない

外壁塗装業界の問題の1つに、ユーザーにとってどの業者が優良なのかを判断することが難しいという点が挙げられます。
例えば飲食店なら味や価格設定、提供するサービスの比較がしやすく、利用回数も多いのでユーザーが評価をしやすい特徴があります。ところが外壁塗装の場合、一般消費者は10年に1回程度しか工事を依頼しないという特殊性があります。
また、「塗装工事の仕上がりがよいのか悪いのか」は、素人にはほとんど見分けられません。極端に塗装の仕上げが汚い場合や、ユーザーへの対応が悪い場合などはクレームも出るでしょう。しかしある程度の水準を超えた作業の優劣を見極めることは困難です。さらに外壁塗装の場合、工事を行ってから数年後に問題が起こることも多く、原因を追及しにくい特徴もあります。

こうした理由から、多くのユーザーは塗装業者の技能に着目したくても、実際には比較できません。結果的には知名度がある会社や、サイトやパンフレットなどに費用をかけることができる規模の会社に発注することが多いのです。

下請け業者は利益率が低い

前の項目で説明したように、外壁塗装を発注するユーザーは業者の技能を見極めることができないので、営業力や資料が整っていることなどで判断してしまう実情があります。しかし、知名度が高く営業に費用をかけられる大手業者を選んだとしても、実際に作業するのは下請け、孫請けのポジションにいる業者です。
大手業者は小規模の業者より平均的に価格設定を高くしていますが、それは下請け業者を儲けさせるためではありません。大手元請け業者であるほど必要経費が多く、利益率を高く設定しているからです。
そのため、下請け業者は最初から薄利の仕事しか受注できず、そこから利益を出そうとすると、材料費や人件費を削減するしかありません。

外壁塗装の業界には、上記のような構造が根付いているため、下請け業者のポジションでいる限り利益を求めることは困難です。利益が出なければ優秀な従業員を確保することが難しいうえに、機材を十分にそろえることもできません。そのため本来は高い技術を持っているのに、満足のいく仕事を完遂できなくなっている業者も珍しくありません。これらの点を踏まえれば、下請けの位置から脱却することは塗装業界で生き残っていくための必須条件と言えるでしょう。

手抜き工事のトラブルが発生

前の項目で説明したように、外壁塗装を発注するユーザーは技術の高さではなく、知名度や営業力の高さを見て業者を選ぶ傾向があります。このため、下請け業者は薄利の仕事を続けねばならず、利益を蓄積できません。
会社としての貯えがないと、ちょっとしたトラブルで事業を続けられなくなる可能性もあります。何とか利益を出そうとすると、材料費や人件費を削るしかないので、結果的に手抜き工事をしてしまうこともあるかもしれません。すると「短期間で塗装が劣化する」などのトラブルが発生しやすくなり、後々クレーム対応に追われることになります。このようなことが繰り返されれば、外壁塗装業者として立ち行かなくなりますし、塗装業界自体のイメージも低下する一方です。

外壁塗装業界の今後

ここからはユーザーが外壁塗装業者の情報を収集する方法を説明し、今後の集客のあり方について解説していきます。

業者選定時によく使われる情報源

外壁塗装の業者であれば、「ユーザーが業者選択を行うための情報を、どのように収集しているか」を知ることは非常に重要です。

一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が2020年に行った「住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査」では、ユーザーの発注動向がかなり可視化されています。この調査によると、外壁塗装を発注するユーザーは、2020年現在では、インターネットとチラシなどの紙媒体をほとんど同程度の割合で情報源としていることがわかります。

近年はインターネットで情報収集することが主流だと思う人も多いでしょうが、リフォームに関しては、40歳未満の若年層でもインターネットと紙媒体をほとんど同じ程度に利用していることは、営業するうえで知っておくべき事実でしょう。

また、近年は他業者との差別化をはかるために、ドローンを使って屋根や外壁の点検を行う業者も増えています。ドローンを使えば、はしごや足場を利用しなくても高所の確認ができますから、安全性が高いうえに作業効率もよいのです。さらに、屋根に直接人が上らないことで、屋根材に不要な負荷をかけなくて済むので、ユーザー側にとっても利点です。

インターネット経由の集客が増える見込み

前の項目では、外壁塗装を発注するユーザーが情報収集のために、インターネットだけでなくチラシなどの紙媒体も同程度に使用していることを解説しました。しかし、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査」は数年に渡って行われており、前回(2018年、2019年)より2020年の方が、インターネットを利用して情報収集を行っている人が増えていることがわかります。

また、上記の報告では住宅リフォーム発注者の年齢層の中心は50~60代であることも記載されています。つまり、現状40歳代でITリテラシーが高い層が、今後10年程度で発注者の中心となるわけですから、チラシなどの紙媒体よりインターネットで情報収集する人が増えることは容易に予想できます。
参照元:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会

これらの点を踏まえれば、まずできるだけ早く下請け業者のポジションを脱出することと、自社のサイトで発信できる内容を強化して集客力を上げることが、今後も塗装業界で生き残るための前提条件と言えるでしょう。

震災の影響でニーズは高止まりへ

日本は地震大国ですから、2011年の東日本大震災や、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振頭部地震などの災害が相次いでいます。このため、「住宅・店舗・社屋を修繕するための外壁塗装のニーズ」は高止まり状態を維持しています。
また、今現在地震被害にあっていない人も防災のための耐震リフォームを考える機会が増えているため、一緒に外壁塗装を行うことも考えられます。

さらに、この記事の前半でも記載したように、外壁塗装工事を含むリフォームの業界は「流行の影響を受けにくく、市場規模が安定している」という大きなメリットを持っています。
その一方で、日本の景気自体はここ数年全体が成長しているとは言い難いことから、住宅や店舗、社屋などを新築するよりもリフォームして長く使おうとする傾向も見られます。

これらの事実を踏まえれば、今後も塗装工事の需要が大きく減ることは考えにくいでしょう。そのため業者にとって、「市場にある需要をどのようにして自社利益につなげていくか」が今後大きな課題となっていくと考えられています。

職人の技はこれからも求められる

多くの業界で技術革新によって人手が不要となる傾向があり、さまざまな対策が取られ始めています。例えば自動車の製造工場では、塗装工程ではロボットが使われることがすでに一般化しています。

とはいえ、ロボットを使って自動化や無人化ができているのは限られた環境下のみです。塗装ロボットの多くは、使用環境が屋内であることや狭い範囲に限られること、塗装対象が同じ形状の物体でなければ自動化のプログラミングができないことなどの制限があるからです。
一方、外壁塗装は屋外で作業しますし、対象となる外壁も場所によって状態が異なります。さらに高所で作業したり天候の影響を受けたりすることもあって、短期間にロボットやAIに置き換えられる業種ではありません。そのため、今後も外壁塗装業に従事する職人は高い技術を求められていくでしょう。

しかし、大手業者の下請けのポジションでは、薄利の仕事を続けていく中で疲弊するばかりですから求められる技術を磨くことも困難です。
塗装業者として今後も生き残っていくためには、まず「下請け業者のポジションを脱すること」「自社の営業力を強化して、仕事を確保し続けられる体制を整えていくこと」が急務と言えるでしょう。

まとめ

外壁塗装業界の問題点や今後を解説し、塗装業界で生き残るための要点をまとめました。塗装業界は今後も安定した市場規模が予想できる一方で、下請け業者は利益を得にくい構造的問題も持っています。ぜひこの記事を参考にして、下請けを脱して営業力の強化に取り組み、利益の確保を実現してください。

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