日本では少子高齢化が進み、住宅着工件数も減少していくことが予想されるなか、工務店も新たな経営方針を立てることで、経営を継続することが必要です。
工務店の経営課題とその解決策を考えることで、今後の工務店経営に求められるものが見えてくるでしょう。
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目次
工務店を取り巻く環境の変化
人口減少などの原因により、工務店を取り巻く環境が大きく変わってきています。工務店を支える人手が不足しつつあり、人口減少による住宅着工数の減少も顕著です。国土交通省が公開している令和2年度の住宅経済関連データによると、1999年度は122万戸だった新設住宅着工数が、令和元年には88万戸に減少しています。こうした環境の変化に応じ、工務店も経営のあり方を見直し、柔軟に対応していく必要があるでしょう。
(参照:国土交通省)
工務店経営の課題
工務店経営で集客、資金運用、人材不足に頭を悩ませる経営者は多くいます。工務店経営は、職人気質の技術を磨けばそれでよいわけではなく、営業・財務・労務についても熟知していることが大切だからです。
これらの現状を理解し、その解決策について考えていきます。工務店経営者の頭を悩ませる課題が具体的に見えてくるでしょう。
工務店経営の課題:人口減少による着工数の減少
2019年の国立社会・人口問題研究所の予測では、世帯数は2023年に5,419万世帯でピークになり、2040年に5,076万世帯になるという結果が出ました。世帯数が減少するということは、住宅を建てる人が減るということです。
2021年6月に出された野村総合研究所の住宅市場予測によると、新設住宅着工件数は、2020年度の81万戸から2040年度には46万戸に減少するという結果が出ています。新規で住宅を建てる件数が、約6割に減少するのです。
また、戸建て住宅を建てて家族で住むという風潮も強くはなく、賃貸住宅に生涯住むライフスタイルも普及しています。このことは、持ち家率を減少させるため、工務店の経営環境に直接影響を与えます。
このように、人口の減少が住宅着工件数の減少につながり、工務店を取り巻く環境は厳しくなることがわかるでしょう。住宅着工件数の減少対策をしないで、従来通りの工務店経営をしていると、多くの工務店が経営に行き詰まる可能性があります。来るべき着工数や持ち家率の減少に備えて、何らかの施策を早めに打つことが重要です。
(参照:国立社会保障・人口問題研究所、株式会社野村総合研究所)
工務店経営の課題:集客面
工務店の集客は地域性が高いためかつては地元の人脈からの紹介が多く、積極的な営業をしなくても仕事がなくなることはありませんでした。他業種のように、経営戦略から営業目標を立てることも比較的少なかったため、集客や営業に対してあまり注視していなかった工務店も多いのではないでしょうか。
しかし、住宅の着工が減り、仕事数が少なくなってくると、営業力を高めることが必要になってきます。たとえば、地元出身でないお客様が新築住宅を建てる際などは、地元の人脈からの紹介ではないため、工務店の営業が求められる場面です。地元出身でないお客様は、地域の口コミによる紹介ではないルートで工務店を探すからです。
このようなケースが増えてくることを想定して、今後は営業面での新しい取り組みを行うことが、工務店の存続には重要でしょう。
工務店経営の課題:資金力不足
工務店に限らず、資金が底をつくことがなければ、会社は持続していけます。そのためには、会社の財務に強くなることが不可欠です。
工務店はお金の出入りが大きく、仕事を請け負ってから入金までの時間もかかります。こうした工務店特有の資金の流れを理解しておかなければ、施工技術に自信があっても経営を持続していくことが難しくなってしまうでしょう。
また、資金的に問題がなくても、その資金を活かせていない場合もあります。たとえば、従業員が会社に長くいてくれないなどの問題があるならば、その資金を従業員の福利厚生に充てることは有意義な資金の使い方ともいえるでしょう。また、時代の変化で成長が見込める分野に対する投資を行うことも、後々の大きな成功につながってきます。
工務店経営者は、施工技術に自信がある方は多いと思いますが、経営の基礎である財務の知識が乏しい方も少なくないのが現実です。財務の知識を身に付けて経営を数値的にとらえることが必要でしょう。
工務店経営の課題:人材不足
工務店や建設業への就業は、高齢化と若者離れの傾向があります。建設業の労働環境は、長時間労働や体力的にもきついものがあり、若者にとって必ずしも魅力的な仕事といえないからです。一流の職人になるまでには時間もかかります。工務店がそこまで育てるのに手間も時間もかけようとしても、一人前に育つ前に辞めてしまうこともあります。
若者が職場に入ってこない状況が長く続くと、職人の高齢化が進み、将来の技術承継に不安を感じる経営者の方も多いでしょう。
このように、工務店の人材不足、技術承継の問題は、何もしなければ経営の持続可能性を危うくすることにつながってしまいます。
工務店経営における改善ポイント:集客
工務店経営者が集客に課題を感じているとき、まず何をすることが必要でしょうか?着工数の減少が見通されるなかで、最適な集客法について考えてみましょう。ここでは、口コミ、チラシ、WEBの3種類の集客法について詳しく説明します。
集客方法(1):口コミ
工務店の多くは地域密着で営業しています。そのため、近隣住民がお客様になる場合が多いといえます。
たとえば、A工務店で住宅のリフォームを請けたとき、お客様が満足した仕事を行えば、お客様は知人にそのことを伝えます。そのことを聞いた知人が次にリフォームを行うとき、A工務店に見積もりを依頼する確率が高くなります。
こうした口コミ集客は、地域に根ざした営業を行う工務店には大切です。口コミ集客の場合、宣伝広告費がかからず、質の高い仕事を行い、お客様の満足を得ることが最重要です。地域性が多少薄れてきたとしても、口コミからの集客は依然として工務店の営業の多くを占めるといえるでしょう。地元で大切にされる工務店を目指すことは、今後も重要です。
集客方法(2):チラシ
工務店の地域性を活かす集客に、チラシの配布は有効な方法でしょう。チラシ集客では、チラシの目的やターゲットを決定し、チラシを配布する地域を限定することが必要です。
チラシ集客で大切になることは、見込み客に認知してもらい、まずは無料相談会に誘導することなど、いきなり高額な売り込みをしないことです。また、単価が低いリフォームの場合は、見込み客に明確に伝わるようにチラシを作成することが大切です。
チラシ集客では、チラシの効果を計測するなどして、顧客ニーズを把握し、費用対効果を考えるマーケティング戦略として実施することも重要と言えます。
近年のドローンの普及で、ドローンを活用した住宅の点検が注目されています。このドローン点検のチラシを打ち出すことも有効であり、大きな反響が期待できるでしょう。
集客方法(3):Web
情報化社会の進展で、スマートファンなどのデバイスを多くの人が所有し、携帯しています。住宅を建てたい人やリフォームしたい人は、自分が望む住宅をすぐにスマートフォンで調べることが可能です。
自社ホームページを作り、得意分野や過去の実績を適切に伝えることで、ホームページを集客としても活用できます。さらに自社ホームページに誘導するためのWEB広告を打つことも有用です。
このようなWEB集客を行う場合は、顧客からの問合せの導線に配慮し、顧客がアクセスできるようなフォームを作成しておくことが大切です。また、お客様は一度広告を見ただけでは行動をすることは稀です。そのため、複数のメディアを活用するメディアミックス戦略を取ることも有効といえるでしょう。
工務店経営における改善ポイント:資金力
工務店経営者の方は、職人としての技術力には自信がある方が多いでしょう。しかし、会社の財務や定量的な考えに対しては苦手と感じる方も多いかもしれません。実際、工務店経営が行き詰まる原因は、資金繰りが大きな要因を占めています。ここでは、工務店経営者にとって重要な、財務や資金について考えていきます。工務店経営の財務知識の重要性が分かってきます。
ポイント(1):工務店経営に必要な計数感覚を身に付ける
工務店経営を行うとき、会社の売上高や利益率、施工完了までの期間や施工完了後に支払われる報酬、従業員の勤務状況まで、計数的に把握しておく必要のある事項が多くあります。
各種スケジュール管理でも、作業工程ごとにかかる日数から施工全体でどのくらいの期間がかかるかなどを適切に把握して、納期や施工金額、従業員の配置を決めていきます。さらに、スケジュールを逆算して考えられるようになることで、仕事の最適な期間での完了見通しが立てられ、円滑な経営を実現できます
こうした定量的な分析によって工務店の仕事を把握することで、会社経営と財務を結び付けて考えることが可能になります。慣れてくれば計数感覚で経営を考えられるようになり、資金繰りに強い工務店になっていくでしょう。工務店経営者は、まずは、目標に必要ななる要素を逆算的に把握し、自身の見積もりと現実がどのくらいずれるのかを把握することから始めるのがおすすめです。
ポイント(2):資金繰りの改善
工務店では、仕事の完成までの期間が長く、施工報酬が会社に振り込まれるまでに時間がかかります。そのため、資金繰りを適切に行わないと資金不足に陥るおそれがあります。
しかし、工務店経営者は現場の職人としてのキャリアが長い場合が多く、会社の財務面での知見が不足しているケースが少なくありません。工務店の財務に強くなるには、売上額・利益率、仕事完成後の入金時期など、定量的な感覚を身に着けることが大切です。従業員の給与や材料費の支払いの日程を把握し、その期日までに必要になる資金を手元に用意できるように、期日から逆算してキャッシュフローを管理します。財務状況がよくないと、資金繰りが悪化することで取引先からの信用が低下し、取引停止などの可能性が生じます。
また、個別現場ごとの粗利を適切に把握していない場合、薄利ばかりの仕事を受注することになり、資金繰りは厳しくなるでしょう。そのため、経営者は個別現場ごとの仕事完成後、入金時期までの期間や粗利を頭に入れながら、資金繰りを行うことが必要です。
こうした財務やキッシュフローの管理には、資金繰り表を作成することも有効です。資金繰り表は、金融機関から融資を受けるときにも活用できます。
工務店経営における改善ポイント:業務の効率化
工務店経営の課題に人材不足もあげられます。現場の職人を育てるのには手間も時間もかかるため、多くの労力をかけて一人前の職人を育てることは欠かせません。しかし、会社の経理や労務管理部門などはITを活用し、業務の効率化を進めることが可能です。また、家の屋根や外壁の点検にドローンなどの先進技術を活用することで、作業工程の効率化を進めることも考えられます。
ポイント(1):業務のIT化による事務作業の負担軽減
工務店の仕事も、ITを活用することにより簡略化して生産性を上げることが可能です。事務作業はIT化に向いているため、その多くをシステムで代用できるのです。
IT化による恩恵は、事務作業者数の減少による人件費削減と人的ミスが減少することがあげられます。また、事務作業の負担を減らせれば、現場作業に力を注げるため、施工の完成度も上がっていくでしょう。
IT化は、システムを活用できるまで時間がかかりますが、システムの活用が1度できれば作業工程の大きな短縮につながります。
IT化による事務作業の負担が軽減することで、営業や現場など、マンパワーが必要な仕事に人手を割けるため、工務店全体の生産性も向上し、持続可能な会社となっていくでしょう。
ポイント(2):ドローンなどを活用した作業工程の効率化
最近では、IT化の一環として屋根や外壁の点検にドローンを活用する取り組みも少しずつ普及しつつあります。点検にドローンを活用することで、屋根や外壁の劣化をお客様が実際に目で見て確かめることも可能です。また、工務店の従業員が屋根に上り、劣化箇所を点検するための作業時間がないため、人手不足に悩む工務店に有用といえます。
直接ドローンで撮影した画面をお客様に見せることで、効果的に施工の必要性が伝わり、スムーズに提案して仕事につなげることも可能です。
株式会社CLUEでは、建築事業者向けドローンサービスである「DroneRoofer」を提供しています。誰でもすぐにドローンを扱うことができるサービスで、すぐに点検にドローンを取り入れることが可能です。
工務店が施工前の屋根や外壁の点検を行い、作業工程を簡略化するのにドローンの活用は有用といえるでしょう。最新のテクノロジーの活用は、工務店の新たな可能性につながります。ぜひ、IT化を考えている工務店の方はDroneRooferの使用を検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
戸建て住宅の減少や人手不足など、工務店を取り巻く経営環境は少しずつ厳しく変化しているのが現状です。そのため、経営を近代化させて洗練された資金管理や営業を実現したり、事務作業をIT化して生産性を向上させたりすることが大切になってきます。また、ドローンによる屋根点検など、時代を先取りした施策を行うことで、工務店の新たな可能性が見えてくるでしょう。