屋根に登らず、簡単かつ安全に現地調査を済ませられる方法として、株式会社CLUEが開発したのが「ドローンを自動操縦して屋根の写真を撮るアプリ」である『DroneRoofer(ドローンルーファー)』です。
iPadをタップするだけで自動飛行、位置調整、撮影を完了できるため、操縦訓練は必要ありません。ドローン1式とiPadはもちろん、飛行に必要な許可申請、使用中のドローン保険、導入とアフターサポートまでワンパッケージでご提供しています。
今回は、実際にDroneRooferを導入している山本瓦工業株式会社を訪問。代表取締役社長の山本武司様に、導入前後の変化や感じているメリット、施主の反応などを伺いました。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
今日も屋根点検が楽しみ。“登れない”現場でドローンが大活躍
ーーー まずは山本瓦工業の事業内容について教えてください。
瓦の屋根工事から板金工事、外壁工事、太陽光発電工事まで、屋根に関する工事は何でも対応します。外壁塗装や屋根塗装などリフォーム工事が中心で、テラスの設置や外壁工事もやってます。
ーーーどういった現場でDroneRooferを使用していますか?
屋根が高くて登れないときに、ドローンを活用しています。あとは、勾配が急な屋根やハシゴが掛けられない構造の建物でも利用していますね。初めてDroneRooferを使った現場は、10階建てのマンションの屋根調査でした。ハシゴはかけられないし、登れたとしても非常に危険です。
ーーー今まで登るのが難しい現場ではどのように作業されていたのですか?
足場をかけるか、高所作業車を使うかですね。しかし手間と費用が相当かかります。これらの手段でも、登れないケースもあるんですよ。高所作業車は大型の車両が入れる場所じゃないと使えないという制限があります。そうなると施工前の相談の段階で足場を組む必要があり、費用がかかってしまう。
ーーードローンを使うと、とりあえず写真を撮ってから、施主さんと相談できるわけですね。
そうです。簡易調査として非常に使える。カメラの性能もいい。飛ばしてみてびっくりしました。5〜10mくらい離れたところから撮っても、屋根が割れていたり、ずれていたりする箇所がバッチリ確認できる。人間が登って点検するのと大差はありません。
これは絶対に必要になる。待望のドローンに懸ける期待
ーーー今では現場でどんどん活用されているとのことですが、初めてドローンを使って屋根の写真を撮れるサービスがあると聞いた時どのように感じましたか?
「ついにきたか!」と思いました(笑)。以前から、趣味でドローンを飛ばしているいる人は周りにいましたし、僕もドローンがほしかったんです。けれど、専門家じゃない人間からすると、プロポ(※ドローンのリモコン)操作は怖いんです。
DroneRooferはその操作への不安を解消してくれました。点検専用のアプリを使って、ドローンを自動操縦できるというのは画期的です。
業界の勉強会でDroneRooferについて初めて聞いた時に「これは買いだ!」と即決しました。詳細を営業の方から聞いて、社員のみんなに「すぐに導入しよう!」と言いました。
ーーー社員の方からの反応はいかがでしたか?
「今は必要ない、そんなおもちゃを買う必要はない」と消極的な反応でした。
たしかに、絶対に必要なものではないかもしれない。登れない屋根はそこまで沢山あるわけではありませんし、ハシゴで登れない場合は料金をもらって点検すればいい。それにドローンというと落下事故や周りから苦情が来るというイメージが強いですからね。
ただ、僕は心の底から「ドローンは絶対に必要だ」と思ったんです。他の業界でもドローンが活躍しているし、若い人たちが、落ちる危険のある屋根にドンドン登るようにはならないでしょう。危険な作業は、人間の代わりにドローンが担うようになるはず。
これから性能もどんどん良くなって、誰でも安全に飛ばせるようになっていくだろうから、まず一台買ってみようと社員を説得しました。
ーーー導入にあたり他に戸惑ったことはありますか?
どうやって飛ばせばいいのか、どの種類を選べばいいのか、飛行の申請方法など分からないこともありましたが、DroneRooferを開発している株式会社CLUEさんから説明があり、助かりました。
申請から全てパッケージになっても、一件リフォームの仕事が取れたら元が取れる値段だったので、すぐに申し込みました。
屋根点検が“命がけ”の仕事じゃなくなる日が来る
ーーー実際に初めてドローンを飛ばしてみて、いかがでしたか?
こんなに面白いのか!と感動でした。いやぁ、ほんと面白かったですね。
想像していたよりもはるかに高性能。上空まで上昇する速さや、ホバリング、衝突を防ぐセンサーや自動制御機能など、素直に「すげぇな」と驚きました。カメラの性能も想像以上。撮った写真を見るだけで、屋根材に異常があるかどうかがすぐに分かります。
ーーー実際に使ってみて周囲からの反応はいかがでしたでしょうか?
施主さんは感動していましたね。ドローンで撮った写真を見せると「うちってこんな屋根なんだ…」といって喜んでくれました。なかなか自分の建物の屋根を上空から見る機会ってないですからね。
近所の人たちも面白がって外に出てきます(笑)批判的な声は聞かないですね。
先週は地元のケーブルテレビの密着取材を丸一日受けました。2018年6月から1ヶ月間、特集される予定です。元々DroneRooferの導入に関するプレスリリースのために相談に行った先で、地元ケーブルテレビの方を紹介してくださったんです。
他にも新聞や情報誌でも取り上げてくれました。会社の外でも「あ、ドローン使ってるんだって!」と声かけられることも増え、期待以上の反響を感じています。
ーーードローンを使うことで、屋根の点検をより正確に行えるし、住民の方々からも好反応だったんですね。
そうですね。人間の目だと、うっかり通り過ぎてしまうこともある。けれど、ドローンで撮影しておけば、あとで全体を見直せる。画像を他の人と一緒に確認すれば、「あ、ここにもあった!」と抜け漏れを防げます。
ドローンで調査するとちゃんとした調査ができないのではと思っている屋根屋さんも多いようですが、あとで見直せるため、むしろ人の目で確認するよりも正確なんです。
また、ドローンを飛ばすことで屋根点検が命がけの仕事じゃなくなります。職人さんが命綱もなく、ハシゴで屋根に登るのは本当に危険です。全国では悲しいことに落下事故に遭っている人がいます。
ドローンが落ちる心配をする気持ちもわかります。けれど転落事故に遭っている人が沢山いることを考えると、ドローンを活用した方が安全だと思います。
ーーー正確性と安全性のほかに、DroneRooferを利用するメリットは何でしょうか?
一つは「誰にでも利用できる」ことですね。DroneRooferなら誰でもボタンを押すだけで作業が出来ます。
もう一つは「スピード」ですね。屋根の上での調査を人間が行う場合、素早く移動するのは危険ですから、30分以上はかかります。それが、ドローンだと5〜10分で終わります。
ーーーこういった機能も加わったらいいなと感じるところはありますか?
現場でドローンで撮影し、アプリで調査書を作成・送付できたり、遠隔で映像を見ながら調査の指示を出したりといった機能があれば、更に効率がよくなるんじゃないでしょうか。技術的には可能だと思うので期待しています。
今は一瞬で情報を得たり、モノが買えたりする時代なのに、屋根業界は時間とコストがかかり過ぎている。職人さんは最も技術が必要な工事の部分に注力すべきなのに、今はやらなくていい作業もせざるを得ない。
ただでさえ人手不足の業界です。6割でも7割でも作業をドローンがやってくれるだけで変わると思います。ドローンの導入を今更始める時点で、まだまだ屋根業界は遅れを取っている。
ーーー近しい業界ではすでにドローンの活用が進んでいるのですか?
測量の世界では導入が進んでいると聞きます。屋根屋が取り組むメリットは沢山あるのに、導入コストを気にしていたり、必要性がないと決めつけたりしている。
ドローンを使うと今までできなかったことが出来るようになる。それが他者との差別化やサービスの向上に繋がると知ってほしいですね。
ーーー導入のコストは実際、負担にはならなかったのですか?
うちはまず最初にドローンを飛ばして10階建のマンションの調査をして、それが何百万円のリフォーム工事の受注に繋がったんです。
今まではそういった大きなマンションだと最初の調査だけで足場をかけてたり、かなりの費用がかかっていましたが、ドローンを使えば必要なくなる。そう考えるとDroneRooferは安いなぁと思います。そもそも、このドローンだけでも本当は20万とかしますからね。
CLUEの方に「こんなので儲かるの?」と聞いたら「いやぁ全然」と笑顔で話していたので、みんなに勧めています(笑)
ーーーもし導入を迷っている人がいたら、どのようにアドバイスしますか?
このまま人間の職人さんに危険な作業をさせたままでいいのか、熟練の職人さんが減っても技術力を保てるのか、何より世の中の変化に対応できているのか。この3つは必ず聞くでしょうね。
何より「考え方を変えないとだめですよ」と伝えたいですね。これまで職人さんのやっていた「危険・技術がいる・時間のかかる」作業が、ドローンでは「安全・簡単・速い」作業になる。全く逆です。ただドローンが点検を代替するのではなくて、点検という作業の性質が変わるんです。
それでも「うちには必要ない」という会社もあるでしょう。でもこうした先進的な取り組みにチャレンジすることは、業界全体を衰退させないためにも必要だと思うんです。
ドローンの導入で、屋根業界に新しい風が吹く
ーーー屋根業界に対する課題や展望について教えてください。
下請けでやってきた業界なので、頼まれたことは丁寧にしっかりとこなせるけど、自分で新しいことをやるのは苦手という人が多いですね。
でも、新築の着工数や瓦の採用率も下がっていて、従来の仕事がどんどん減っている。ドローンやIT化などの新しい取り組みと並行して、下請けから元請けになっていく必要があるでしょう。
ーーービジネスモデルから変えていく必要があるということですね。
「今までのビジネスモデルではご飯が食べれない」と屋根外装協会の会長がいつも言っていて、まさにその通りだと思います。
うちは下請けから元請けの比率を増やしていきたいと考えています。ドローンの導入も元請けとして施主さんから直接依頼を請けるきっかけになっています。話題性があるので営業や宣伝のツールにもなりますし、安全な仕事をしていると信頼してもらえている実感があります。
大手ハウスメーカーさんって安全に対する意識が高い。足場のない屋根上の点検作業は避けたいけれど、お客さんには「屋根も見て欲しい」と言われる。その両者の間で葛藤していると思います。
ーーードローンを使えばその葛藤を解消できますね!
そうなんです。「ドローンを使ったら人が屋根に乗る必要もなく安全に点検できますよ」と伝えると確実に喜ばれる。
危険を犯していつ落ちるか分からない点検をする屋根屋さんと、簡易だけどもすぐにお客さんのところにいって不具合状況をドローンで調査して写真で報告してくれる屋根屋さんだと後者がいいですよね。今後ハウスメーカーさんの点検はみんなドローン点検になるべきですし、そうなっていくと思いますよ。
安全にできないから仕方ないと考えるのではなくて、新しい技術を使ってどうやったらできるようになるか考える。そこを真剣に考えた結果、最も精度が高くて気軽に導入できたのがDroneRooferでした。
ーーーDroneRooferを使う会社が増えていけば、屋根工事業界はどのように変わっていくと思いますか?
働き方が変わる。とくに女性がもっと活躍しやすくなると思います。これまで女性は事務などの仕事を担当することが多かったと思いますが、今後現場に出かけ、ドローンで調査をする女性も増えていくでしょう。
男女問わず、経験のある職人さんじゃなくても現場に携われるというのは、業界にとって大きな可能性だと感じます。
またDroneRooferの機能もこれからどんどんアップデートされていくと思ってます。例えば屋根の測量や工事の見積もり、不具合箇所の自動検知をリアルタイムでできるようになれば、100万円でも200万円でも安いくらいです。
こうした要望を株式会社CLUEの方に伝えると「技術的には簡単です」と言われます。きっとこれまでニーズが届いていなかったから作られなかっただけで、実現できることはたくさんある。なので、先を期待する屋根業界の人たちにまずはDroneRooferを買ってほしいですね。