2025年1月、DJIが発表した産業用ドローン「Matrice 4(以下M4)」は、Mavic 3 Enterpriseと大型機の中間に位置づけられる、新たな高性能モデルです。
コンパクトさとパワーを兼ね備え、従来機では埋められなかった“性能と携帯性のギャップ”を解消します。
本記事では、M4に新たに搭載された機能や、そして業務に与える費用対効果について詳しく解説していきます。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
機体選定クイックチェック Matrice 4シリーズ 6つの主要進化ポイント
Matrice 4シリーズが前モデルから進化した、現場の生産性と安全管理に直結する6つの革新的な新機能を以下に整理します。
Matrice 4シリーズ 6つの主要進化ポイント
| 進化ポイント | 機能概要 | 現場でのメリット |
|---|---|---|
| AI検知・トラッキング | 人・車両・船舶を自動で識別し、追いかける機能。 | 点検時の侵入者検知や、災害時の要救助者検索の効率化。 |
| レーザー距離計(LRF) | 最大1800m先の対象物までの距離・高度・座標を即座に測る。 | 現場にいながら、屋根の面積や建物の高さを画像なしで概算見積もり可能。 |
| Smart 3D Capture)※M4Eのみ | 簡易3Dモデルをその場で作り、飛行ルートを自動で最適化。 | 複雑な形のビルやマンションでも、安全かつ正確な自動撮影が可能。 |
| AI暗視・NIR補助ライト | ノイズを減らし、近赤外線ライトにより、真っ暗闇でも見えるようにする。 | 夜間の雨漏り調査や警備業務において、確実な証拠映像を撮影可能。 |
| 観測記録(Live Mission) | 撮影済みの範囲をリアルタイムで地図上に色を付けて表示。 | 広大な工場屋根の点検で「撮り漏らし」や「重複撮影」を防ぎ、やり直しを防ぐ。 |
| 遠隔操作連携 | クラウドシステムと連携し、遠い場所からの指示や操作が可能。 | 本部のベテラン診断士が、現場の映像を見ながらリアルタイムで指示出しが可能。 |
これらの機能進化は、ドローン操作のハードルを下げ、誰でも扱いやすくなる効果ももたらします。
また、レーザー距離計による即時計測や遠隔連携機能により、点検時にその場で状況を把握し、すぐに判断・対応できるようになります。
例えば、現場で状況を確認しながら即座に概算見積もりを提示したり、本部の専門スタッフが遠隔で操作指示を出すことで、業務スピードが大きく向上します。
機種選定ガイド Matrice 4E vs 4T — 目的別最適解とスペック比較
Matrice 4シリーズは、測量に特化した「Matrice 4E」と、点検・診断に特化した「Matrice 4T」に分かれています。どちらを選ぶかが、効率と利益を最大化するカギです。
Matrice 4E/4T センサー・カメラ機能詳細比較
| 比較項目 | Matrice 4E (測量・計測特化) |
Matrice 4T (診断・点検特化) |
選定の決め手となる長所 |
|---|---|---|---|
| 広角カメラ(基本撮影) | ブレずに高速で撮れる仕組み(20MP) 4/3インチCMOS |
高画質のセンサー(48MP) | 4E:高速で動いても画像の歪みを防ぎ、正確な測量が可能。 4T:高精細な点検画像や、暗い場所での鮮明な撮影に強い。 |
| 中望遠/望遠カメラ | 高性能ズーム(光学3倍/7倍) | 高性能ズーム(光学3倍/7倍) | 両機種とも高性能ズームで細部確認が可能。離れた場所からの雨樋金具などの確認に。 |
| サーマルカメラ(赤外線) | なし | あり(高解像度640×512、超解像対応) | 4T:雨漏り診断、ソーラーパネル点検、夜間捜索といった専門診断に必須。 |
| NIR補助ライト(赤外線ライト) | なし | あり(照射距離100m) | 4T:近隣にまぶしい光を出さずに夜間作業や暗所の確認が可能。 |
| レーザー距離計 | 標準搭載(最大1800m) | 標準搭載(最大1800m) | 両機種とも即時見積もりや正確な位置特定に必須。 |
業務目的別の選び方チャート
| 業種・コア業務 | 向いている機体 | おすすめの理由(現場でのメリット) |
|---|---|---|
| 一般戸建てリフォームの点検 | Matrice 4E(M4E) | 【コスト重視ならM4E】基本機能で十分な現場に適しており、導入コストを抑えつつ測量・点検業務を実施できる経済的な選択肢。 |
|
公共工事・大規模測量 |
Matrice 4E(M4E) | 【計測精度・スピード重視ならM4E】ブレずに高速で写真が撮れるため、測量精度を維持しながら広範囲を短時間でカバーし、工期短縮に直結する。 |
| 大規模修繕・工場・倉庫の点検(広い現場) | Matrice 4T(M4T) | 【安定性・長時間飛行重視ならM4T】飛行時間が長く、雨や風に強いため、広い現場でもバッテリー交換の手間や点検の中断が減り、人件費を抑えられる。 |
| 雨漏り診断を高単価で提供したい | Matrice 4T(M4T) | 【診断能力重視ならM4T】高解像度の赤外線カメラで、水の侵入箇所など目に見えない原因を特定でき、「誰が見ても納得できる証拠データ」を作成できる。 |
Matrice 4TとMatrice 4Eの具体的な活用事例
▼Matrice 4T(診断特化型)の活用事例
M4T vs M3T サーマルカメラの決定的差異
Matrice 4T(Thermal)は、雨漏り診断や断熱不良の調査において、従来のMavic 3 Thermal(M3T)を大きく上回る診断能力を備えています。
最大の違いは熱画像の解像度です。M4Tは超解像モードにより、実質1280×1024ピクセル相当の画質を実現。これはM3Tと比較して約4倍の情報量にあたり、遠方からでも微細な温度異常を正確に特定できます。
さらに、可視光ズームとサーマルズームが連動して表示されるため、熱異常を発見した瞬間に光学ズームで即座に目視確認でき、現場での判断スピードと確実性が向上します。
AI暗視性能とNIR補助ライトの活用
Matrice 4Tは、夜間や暗所での運用性能において、従来機とは一線を画します。
搭載された「AI暗視(Night Scene Mode)」は、夕暮れや街灯だけの環境でもノイズを抑え、昼間のように明るく鮮明なカラー映像を撮影可能。さらに、標準装備のNIR(近赤外線)補助ライトは、最大100m先までを照らし出し、肉眼では見えない光で屋根や建物の状態を確認できます。
可視光を使わずに点検できるため、住宅街や都市部でも周囲に配慮した運用が可能です。屋根裏の害獣調査、夜間警備、災害時の緊急対応など、暗闇での作業においてM4Tは非常に高い実用性を発揮します。
▼Matrice 4E(測量特化型)による計測・営業効率化
メカニカルシャッターと高速撮影がもたらす「時短」革命
Matrice 4Eの核となる、ブレずに高速で写真が撮れる仕組み(メカニカルシャッター)は、0.5秒という驚異的な撮影インターバルを実現しました。
M4Eは、より高速で飛行しながらブレのない写真を連続撮影できるため、広範囲の屋根や敷地を測量する場合、飛行時間を大幅に短縮できます。
これは、現場の回転率を最大化したい測量業務において、お金を稼ぐ力を高める重要な要素です。
レーザー距離計を活用した「即時見積もり」の実現
M4シリーズに搭載されたレーザー距離計により、営業の現場対応力が大きく高まります。
ドローンをホバリングさせた状態で、送信機の画面上から屋根の四隅をタップするだけで、アプリが面積を即時に自動計算。現場での調査が終わった直後に、概算見積もりをその場で提示できます。
お客様は具体的な金額をすぐに把握できるため、判断が早くなり、その場での契約獲得につながりやすくなります。リフォーム営業のスピードと説得力が格段に高まる機能です。
「観測記録」による広域点検の品質担保
新機能「観測記録(Live Mission)」は、ドローンのカメラが映している範囲をリアルタイムで送信機の地図上に色分けして表示する機能です。
広い工場や倉庫の屋根点検などで、「どこを撮影したか」「まだ撮っていない場所はどこか」が一目で把握できるため、撮影漏れや無駄な重複を防げます。これにより、作業の効率化だけでなく、点検品質の確保にも大きく貢献します。
Matrice 4シリーズを最大限に活かす、周辺機器の実力とは
Matrice 4シリーズの真価は、刷新された周辺機器との連携によって最大限に引き出されます。
DJI RC Plus 2 視認性と操作性を革新する専用コントローラー
M4シリーズに標準付属する「DJI RC Plus 2」は、現場での使いやすさを大きく進化させた送信機です。7.02インチの高輝度ディスプレイは、直射日光下でもフードなしで視認性を確保でき、長時間の点検作業でも目が疲れにくくなります。
さらに、バックライト付きの物理ボタンは暗所での操作ミスを防ぎ、HDMI出力を標準装備しているため、外部モニターへの映像共有もスムーズ。複数人でのリアルタイム確認や、お客様への現地説明にも活用できます。
純正ライト・スピーカーによる柔軟な現場対応
ジンバル連動スポットライトは、カメラの向きと連動して動き、常に撮影対象を照らし続け、屋根裏や北側の軒下点検で威力を発揮します。
リアルタイム・録音再生対応スピーカーは、上空から近隣への注意喚起アナウンスを行うことで、安全管理の徹底をアピールし、現場の円滑な進行をサポートします。
D-RTK 3 多機能ステーション 測量の常識を変える
D-RTK 3は、ドローン用の基準局であると同時に、地上で正確な位置を測る「GNSSローバー」としても活用できます。手に持って目的のポイントに立つだけで、その地点の高精度な位置情報を即座に取得可能です。
この機能により、従来は別途必要だった測量機器を使わずに、測量用の基準点(GCP)の設置や位置計測が行えるようになり、測量業務における機材コストと現場対応力の両面で大きなメリットをもたらします。
Mavic 3 Enterprise vs Matrice 4 の性能比較と費用対効果
屋根・外装点検業務における両機種の特性を比較し、事業戦略に応じた最適な選定判断の一助となる情報を提供いたします。
Mavic 3 Enterprise vs Matrice 4 性能比較
| 比較項目 | Mavic 3 Enterprise(M3E) | Matrice 4(M4) | 弊社(Drone Roofer)の判定・推奨 |
|---|---|---|---|
| 機動性・準備 | ケースから出して1分で離陸可能。 | 展開に2〜3分。重量あり。 | 戸建て住宅の現場を多く回るなら、M3Eの方が圧倒的に機動性が高い。 |
| 雨漏り診断力 | 解像度不足で「怪しい」止まり。PCでの解析待ちが必要。 | 超解像サーマルで「原因」を特定。 | 有料の診断レポートとして販売するなら、M4Tの診断能力が必須となる。 |
| 見積もり速度 | PCでの解析待ちが必要。 | LRFでその場で面積算出。 | 即決営業のスタイルには、現場で即座に見積もりが可能なM4が最も強力なツールとなる。 |
| 悪天候対応 | 小雨で撤収、風速10m/sで危険。 | 小雨で撤収、風速10m/sで危険。 | 雨天時や強風時の飛行は控える。 |
| コスト | 本体約60〜80万円程度。 | 本体約90〜120万円程度。 | M3Eは導入ハードルが低い。M4は初期投資が高く、**費用対効果(元が取れるか)**の計算が必要。 |
Matrice 4導入が推奨される事業者・現場の条件
Matrice 4シリーズの導入は、事業をさらに成長させるための大きな一歩です。次のような事業者には、M4の導入をおすすめします。
1.「雨漏り診断」を収益の柱にしたい企業:M4Tの圧倒的な画質と診断精度は、高単価で信頼性の高い診断サービスを提供する上で不可欠です。
2.大規模修繕・工場・倉庫案件が多い企業:49分の飛行時間によりバッテリー交換の手間を削減し、広域点検の生産性と品質(観測記録)を向上させるため、人件費を抑えられます。
3.公共工事・入札案件を扱う企業:発注者からの厳しい機材要件(IP等級など)をクリアし、M4の雨や風に強い丈夫さと計測能力によって信頼性を獲得する上で、M4の採用は重要となります。
作業時間短縮と顧客提案力向上による費用対効果
すでに導入した企業からは、「1つの現場にかかる時間が約30%短くなった」との声もあり、たとえば年間200現場を回る会社であれば、年間100時間以上の時間削減につながります。これにより、機体の価格差は1年以内に回収できる可能性も十分あります。
さらに、M4Tで撮影した高解像度の熱画像は、「見えないものが見える」体験を施主に与えることができ、異常箇所を直感的に伝えられます。このわかりやすさは信頼につながり、成約率アップや提案の単価アップにも貢献します。結果として、長期的に大きな利益を生むツールとなります。
将来展望と法的環境への適応
M4シリーズは、現在の業務効率化だけでなく、将来的なドローン運用環境の変化を見据えた設計がされています。
レベル3.5/4飛行への対応
M4シリーズは、リモートIDの内蔵や機体認証への適合を見据え、将来的な「レベル3.5/4飛行(目視外飛行)」に対応可能です。
法規制が緩和されれば、オフィスから遠隔操作で屋根点検を完了させる「完全自動化」時代の中核を担う機体となり、企業の競争優位性を高めます。
サードパーティエコシステムの拡大
DJIのSDK公開により、屋根点検特化の「AI自動劣化判定アプリ」や「積算ソフト連携機能」などの開発が加速しています。
まとめ:Matrice 4で実現する現場DX
Matrice 4シリーズは、これまで職人の「勘と経験」に頼ってきたリフォーム業務を、客観的な「データと科学」に基づく新しい次元へと導きます。まさに、建築・点検現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を体現する計測機器です。
戸建ての点検業務が主な用途であれば「Mavic 3 Enterprise」も有力な選択肢となりますが、事業の拡大、高付加価値の診断サービス提供、そして「天候に左右されず業務を遂行する」信頼性を重視する工務店や大規模修繕業者にとって、Matrice 4への投資は、将来の安定した収益と事業成長を実現するうえで、有効な選択肢となるでしょう。


