多くのリフォーム会社や工務店で利用され始めているドローン。
空撮などに便利なドローンを現場で利用するにあたって、「事故を避けるためにはどのようなことに注意すればよいのか」「どんな練習をすれば効率よくドローンを操作できるようになるのか」などについてまとめました。
これからドローンを導入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
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目次
送信機の仕組み
送信機とは、ドローンのコントローラーのことです。一般的にはプロポ(プロポーショナルシステム)と呼ばれています。プロポはもともとラジコン用語で、ドローンのコントローラーにラジコンのものを流用したことから、現在でも送信機をプロポと呼んでいます。
プロポーショナル(proportional)は「比例する」という意味です。操作用のスティックを倒した量と比例してラジコンのアンプやサーボモーターを動かせることから、コントローラーをこのように呼ぶようになり、今に至っています。
プロポの操作は電波としてドローンへ伝達されます。このドローン操作に使用する電波は、総務省が使用を認めたものでなければなりません。現在ドローンやラジコンに利用されている電波は、ほとんどが2.4GHz帯です。この電波帯が認可された時期は比較的新しく、2000年代後半から利用されるようになりました。2.4GHz帯が採用されるようになったことから、それまでラジコンを運用する際に問題となっていた電波の混信がほとんど起こらなくなったという経緯もあり、現在もこの帯域の電波が広く使用されています。
操作前の確認ポイント
実際にドローンを飛行させるにあたって、先に確認しておきたいことがいくつか存在します。思わぬ事故を引き起こしてしまわないように、注意点を以下にまとめました。
機体をチェックする
ドローンを飛行させる前に、あらかじめ機体の状態を確認しておきましょう。それまでに墜落や衝突といった事故を起こしていなくても、「保管の際や移動の過程でフレームが歪んでいないか」
「プロペラが曲がっていないか」「破損やヒビが入っていないか」などを入念にチェックします。プロペラの表面を目視して、経年劣化が起きていないかどうかにも気を配っておきましょう。
モーターの動作確認も必須です。プロペラをセットして、手で回転させてみましょう。スムーズに回るようなら問題ありませんが、少しでも引っかかりを感じるようならモーター内部に異物が混入している恐れがあります。
これらの機体チェックは、飛行の前日には必ず毎回行うようにしましょう。
バッテリー状態を確認する
一般的なドローンに搭載されているリチウムポリマーバッテリーは小型かつ大電力ですが、衝撃で壊れやすいほか、過充電や過放電にも弱いという特徴があります。
そのため、バッテリー残量については定期的に確認しておきましょう。また、外傷や凹みなどもバッテリーの機能に異常をきたしてしまう要因になります。バッテリー残量だけでなく、バッテリーの外見もよくチェックしておいてください
周りに人や障害物がないか確認する
ドローンを飛行させる際には、あらかじめ飛行ルートを作成しておくと便利です。ドローンはそのルートに沿って自動飛行してくれます。ただし、実際に飛行を開始する前には周囲の状態をよく確認しておきましょう。
周囲の上空に電線やワイヤー、木の枝などがないかはもちろんのこと、ドローンの操作に影響を及ぼす電波干渉についても注意が必要です。大きな鉄塔や鉄橋などの金属の塊や、携帯電話の基地局が近くにある場合などは電波干渉が起こりやすく、飛行途中で操縦不能に陥る恐れすらあります。墜落事故を避けるためにも、事前の確認を怠らないようにしましょう。
気温や天候を確認する
ドローンの飛行は気象状況に大きな影響を受けます。ドローンは精密機器であり水に弱いため、降水確率の確認は絶対にしなければなりません。ほかにも、気温や風速なども細かく調べておく必要があります。ドローンのバッテリーは寒さに弱く、温度が10度を下回ってしまうと極端に性能が落ちることもあります。気温が低い場合はバッテリーヒーターを利用したり、飛行の直前までカイロで温めたりするなど対策し、トラブル発生を避けましょう。
また、周辺の風速についても注意が必要です。非常に軽量な精密機器であるドローンは、「風速5メートルを超えるような強風のもとでは飛行させない」ことが推奨されます。天気予報の確認だけでなく、飛行当日にも簡易的な風速計を用意して、飛行実施の是非を判断するようにしましょう。
このように、ドローン使用時には周囲の状況に気を配ることが必要であり、特に気象条件が芳しくない場合には、飛行中止を選択することも重要です。
送信機の2つのモードとは
ドローン操作に使用する送信機には複数のスティック操作モードが存在し、任意に切り替えることが可能です。
それぞれにどのようなメリットがあり、どちらのほうがよりドローン初心者におすすめなのかなどを解説します。
国内で資格を取得するならモード1がおすすめ
日本国内でドローン操縦士の資格を取得するならば、基本的にはモード1がおすすめです。
日本のラジコン業界では、古くからモード1での操作が基本になっていました。そのため、ラジコンを基に発展したドローンにおいても、モード1を選択する人が主流であり、後から参入する初心者にとっても馴染みやすくなっています。
モード1のデメリットとしては、前後移動の操作を左スティックに、左右移動を右スティックに振り分けられているため、あまり直感的に操作できないことです。
前後左右の移動を左右の指で別々に行うため、慣れないうちは思ったようにドローンを操作できず、思わぬ事故の元になってしまう場合もあります。
海外の標準操作方法はモード2
日本ではモード1が主流であるという点に触れました。しかし海外ではモード2が主流です。そのため、海外製のドローンにはモード1への切り替えが不可能な製品も存在します。海外での利用を考えるならばモード2での操作に慣れておくのもよいでしょう。
操作が比較的直感的で馴染みやすいモード2ですが、右スティックに移動系を振り切っているため、やや微調整しにくいというデメリットも存在します。
初心者向けの基本操作方法
初めてドローンを操作する人に向けて、基本的な操作方法を解説します。
なお、以下の解説はモード1のパターンを想定しています。
離陸方法
モーターを始動させた状態から、右スティックを上に倒すとドローンが上昇を始めます。
右スティックをニュートラルに戻すとホバリングを始め、空中に機体を固定できます。この際、ドローンが風に煽られてしまうようなら右スティックを左右に動かして微調整を行い、安定するポジションを探るとよいでしょう。
前後左右への移動方法
前後への移動には左スティックを使います。左スティックを上方向に倒せば前へ、下方向に倒せば後ろへ進みます。
左右への移動には右スティックを使います。右スティックを左に倒せばドローンも左へ、右に倒せば右へ進みます。
左右への回転方法
左スティックを左に倒すと左方向へ、右に倒すと右方向へ旋回します。
ドローンを回転させると、当然ドローンの向きが変わるため、前後左右への移動方向も変わります。頭が混乱しないよう、「ドローンの現在の向き」を意識しながら動かせるよう、練習しておきましょう。
着陸方法
右スティックをゆっくり下へ倒すとドローンが下降を始めます。
倒し続ければ機体が着地します。ドローンの脚部が接地すると、モーターは出力を低下させていきますので、モーターが停止するまで、右スティックを最下点まで倒して数秒待機してください。
電源を切る際には、電源を入れるときとは逆に、機体の電源を落としてから送信機の電源をオフにします。
ドローン操作のコツ
ドローンを思い通りに操作するには、地道な練習が必要不可欠です。
ここでは、知っておくとドローン操作の上達に役立つ、ちょっとしたコツをいくつか紹介します。
ゆっくり操作する
ドローンは非常に軽量です。また、飛行中は地面との摩擦などもなく、急な制動が不得手と言えます。特に急停止を苦手としており、勢いがつきすぎたドローンはしばしば意図しない場所まで飛んでしまい、制御不能の一因となります。これを避けるためにも、極力ゆっくりと落ち着いて操作するようにしましょう。
また、ドローンの用途の多くは写真や映像を空撮することにあります。急な動作が多くなると、どうしても撮影した画像や動画がブレてしまいます。これではドローンを使っている意味がなくなってしまうので、そういった理由でも急な動作を行わないよう心がけましょう。
微力な入力がどうしても苦手な場合は、スティック操作を親指だけで行うのではなく、親指と人差指でつまんで操作する方法を試してみてください。
送信機の背面のボタンが押せなくなるなどの問題はあるものの、精密な操作が可能になるでしょう。
高さや奥行きの感覚をつかむ
ドローンは航空法上、最高で高度150メートル未満までの飛行が許されています。それほどの高度までは上昇させない場合でも、数十メートルほど上空に移動するだけで風向きや風速が地上とまったく変わってくるのです。
そのため、私たち人間が空を飛ぶドローンを操作するための空間認識能力を身につけるには、「空中での高さ・奥行き」を意識する必要があります。
具体的には、スティックの倒し方と高度の推移についての感覚を身につける練習を行うとよいでしょう。右スティックを操作して、3メートル上昇させたと思ったところでホバリングさせ、アプリなどで現在の高度を確認します。この練習により、実際の移動距離との誤差を確かめ、高度の感覚を養っていけるのです。操作感覚と共に、ドローンの高度を体で理解できるようになるのが理想です。
奥行きについても同様で、「どの程度スティックを倒せば、ドローンがどれぐらいの距離を進むのか」という感覚を体に染み込ませるようにします。練習方法の一例としては、一定感覚にカラーコーンを置いて、その間隔を越えないようにドローンを飛行させるというものがあります。
高さと奥行きの感覚が身についてきたなと思ったら、今度は「8の字飛行」に挑戦してみるとよいでしょう。最初は横方向に8の字飛行、慣れてきたら縦方向にも8の字を描くように飛行させて、飛行ルートでキレイな8の字を描けるように操作してみましょう。
初めはいびつな軌道になってしまうでしょう。しかしむしろ「スムーズに飛行できていない部分」を見つけることが、この練習法の目的でもあります。カーブで膨らみすぎてしまったり、逆にしぼんでしまったり、直線をまっすぐに進められていないなど、自分の苦手な操舵が浮かび上がってくるので、そういった苦手なポイントを重点的に練習するようにすると上達が早くなります。
まとめ
本記事では、ドローンを操作するにあたって、事故を防止するための基本的な知識を中心に解説してきました。ラジコンが前身となっている日本のドローン界隈は、独特の用語や常識なども多いため、知識として身につけておきたい事項を本記事から得ていただけたなら幸いです。
正しい知識を得て、安全にドローンを運用していきましょう。