昨今、急激に普及しているドローンですが、ラジコンとの違いを知っていますか?ドローンとラジコンは航空法では定義が同じで、無人航空機または模型航空機に分類されます。一方で、搭載されている機能などから、操作性や自律性に違いがあるのです。
本記事では、ドローンとラジコンの違いを法律面や機能面から比較し、詳しく解説します。また、屋根点検にドローンを活用するメリットや注意点、導入の際におすすめしたい機種やサービスも紹介しています。
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目次
「ラジコン」は商標登録されていた
子どもの頃から馴染みのある「ラジコンカー」や「ラジコンヘリ」などの「ラジコン」という単語が、商標登録されていることはご存じでしょうか?玩具メーカーの増田屋コーポレーションが、1995年に無線操作玩具「ラジコンバス」を開発し、「ラジコン」が商標登録されました。そのため、ラジコンのような商品を「ラジコン」と名乗り増田屋コーポレーションの許可なく発売することは本来できません。また、有名プラモデルメーカーのタミヤは、無線操作のミニカーを「Radio Control」から頭文字を取り、「RC」として発売しています。
一方で、無線操縦というカテゴリの中で「ラジコン」と似ている「ドローン」は、商標登録されている単語ではなく、無人航空機を指す単語です。
航空法の定義ではドローンとラジコンは同じ?
同じ無線操作機器であるドローンとラジコンは、単語の意味合いに違いがあることがわかりました。一方で、航空機の安全や航空機に起因する障害防止のために制定された日本の法律「航空法」の定義に違いはあるのでしょうか?ここでは、航空法や航空法に定義される無人航空機について、そして別用語の「模型航空機」についても解説しています。
航空法とは?
航空法とは、「航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定めることで航空機の発達を図る」という目的のため、1952年に制定された日本の法律です。
参照:昭和二十七年法律第二百三十一号航空法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000231
近年、一般人にもドローンなどの無人航空機が普及し始めました。そして2015年、総理官邸の屋上に正体不明のドローンが落下した事件が起こったことをきっかけに、改正案も制定されたのです。
改正案では、無人航空機の飛行空域・場所の規制、飛行の方法に関する規制、機体の機能・操縦者・安全確保に関する規制などがまとめられ、新たなルールが設けられています。さらに、2021年9月には、航空法施行規則の一部改正によりドローン飛行に関する許可・承認の見直しも行われ、娯楽用や産業用として、個人、法人問わず幅広く活用されていることがうかがえます。
航空法に定義される「無人航空機」とは?
航空法の中で、無人航空機として定義される条件は、「航空の用に供することができるものであって、構造上人が乗ることのできないもののうち遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの(100g以上)」とされています。
参照元:小型無人機・無人航空機と航空機の分類について
これにはドローンやラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなどが該当し、条件を満たしていればドローンもラジコンも同じ「無人航空機」に分類されます。これらは、航空法で決められた無人航空機の飛行ルールを守って操縦しなければなりません。
重量が100g未満であれば「模型航空機」に分類される
一方で、100g未満のドローンやラジコンは、航空法上では「模型航空機」として扱われ、無人航空機の航空法は適用されず、「小型無人機等飛行禁止法」が適用されます。小型無人機等飛行禁止法とは、重要施設やその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における、小型無人機等の飛行を禁止するという法律です。また、航空法の中にも模型航空機に適用される規制がいくつかあり、飛行機の妨げになることや影響を与えてしまう行為、地上や水上にいる人または物の安全を損なう行為は規制対象になります。
注意しておきたいのは、航空法や小型無人機等飛行禁止法とは別に、地方自治体の条例によって規制される場合もあることです。また、私有地などの場合は土地の管理者にも許可が必要なので、飛行前に必ず確認しておかなければなりません。
最大の違いは自律性の違いにある
ドローンとラジコンは、航空法などの法令等から見ると重量による違いだけで、同じ無人航空機や模型航空機に分類されることがわかりました。それでは、実際の性能による違いはどこにあるのでしょうか。ドローンの最大の特徴は自律性です。一方でラジコンはすべて手動で操縦しなければなりません。
ここでは、ドローンの機能による自律性や、ラジコンの操作性について解説します。
ドローンには自律性がある
ドローンの特徴として挙げられるのは、優れた自律性があるということでしょう。この自律性は、ドローンに搭載されたさまざまな機能によって確立されています。以下に、ドローンの自律性を構成するおもな機能を解説します。
・GPS機能
機体の位置情報の検出や経度・緯度設定による自動飛行、定位置でのホバリングが可能です。
・加速度センサー
機体の速度の変化量を測るセンサーです。速度や傾きを知ることができ、機体の姿勢維持に欠かせない機能です。
・ジャイロセンサー
機体の角度の変化量を測るセンサーです。この機能により、安定した平行な飛行が可能です。
・気圧センサー
空気の圧力を測ることで、高度がわかる機能です。高度の維持が可能になります。
・電子コンパス
機体が東西南北どの方角を向いているか、検出できる機能です。
・フライトコントローラー
ドローンの中枢と言える部分です。上記の各センサーによる情報を元に、機体の飛行制御や、ほかの端末に情報を送受信する役割を持っています。この性能によってドローンの性能も左右されると言える部分です。
ほかにも、超音波センサーや赤外線センサーなどもあり、ドローンはこれらの機能によって自律性のある無人航空機として、さまざまな産業やアウトドアの娯楽として活躍できるのです。
ラジコンヘリはすべて手動で操作する必要がある
ラジコンヘリは、すべてプロポ(送信機)を使って手動で操縦しなければなりません。ドローンのように各種センサーによる姿勢維持や動きの制御を機体が行ってくれるのではなく、すべて手動で制御するため、操作が難しくなることは必至です。
ラジコンヘリの操作の基本は、その場に静止させるホバリングです。ホバリングの際、操縦者は機体が動こうとする向きとは反対の舵を打ち静止させています。基本とはいえ、高度な技術が必要で、誰でも簡単に操縦できるものではありません。
以上のことから、ドローンとラジコンの違いは操作性が第一に挙げられるでしょう。
プロペラ回転の仕組みの違い
ドローンとラジコンは、どちらもプロペラを回転させて飛行しますが、回転の向きや動きについて違いがあります。ここでは、ドローンとラジコン、それぞれのプロペラ回転の仕組みについて解説します。
ドローンのプロペラ回転
ドローンの精密な動きは、プロペラの回転方法にも秘密があるのです。4枚羽が特徴的なドローンは、対角線上にプロペラを回転させてバランスを取っています。仮にすべてのプロペラが同じ方向に回転すると、離陸もできないでしょう。それぞれ回転方向が違うことで、回転による力を打ち消しあい相互作用させることで、バランスのよい飛行が可能になります。
ドローンがホバリングや多方向に移動できるのは、各プロペラが回転数を変えているためです。また、4枚のプロペラのうち1枚でも破損してしまうと、墜落してしまいます。そのため、飛行前に確認・点検は必須事項です。
ラジコンヘリのプロペラ回転
ラジコンヘリのプロペラ回転の特徴は、中央にある大きなプロペラ回転とテール部分にある小さなプロペラの回転です。中央の大きなプロペラを回転させ「揚力」を得て、それぞれの回転方向を逆にすることでバランスを取っています。それぞれのプロペラの回転数を変えて移動するドローンと違い、ラジコンヘリは方向転換させるためにプロペラを傾けなければなりません。このようなことからも、ラジコンヘリは複雑な操作が必要ということがわかります。
自由自在なドローンは屋根点検に向いている? 5つのメリットとは
娯楽だけでなく、さまざまな分野で活用され始めているドローン。自由自在に移動できることから、住宅などの屋根点検の分野でも需要が増えています。ここでは、屋根点検にドローンを用いることによるメリットを5つ紹介します。
安全に行える
第一に、事故の心配がなく安全に点検できる点でしょう。屋根点検の多くは、はしごをかけて人が屋根に上り細かく確認していくという手法です。しかし、勾配が激しい屋根などは危険性が高く、実際に作業員が落下し死亡してしまった例も少なくありません。また、台風などの災害後に屋根の点検を行う際も、濡れた屋根による滑る危険が伴います。さらに、地震後の点検で二次災害の恐れも考えられます。
屋根に上らずにドローンで点検を行うことで、事故防止につなげることができるでしょう。
屋根材の破損を防止できる
古い建物の劣化が進んだ屋根の場合、少しの重みでも屋根材が破損してしまう可能性があります。また、災害後の破損した屋根は、人が上がることで、破損部を拡大させてしまうことにもなりかねません。
ドローンを使用することで、人が登る必要はなくなり、屋根材の破損を防止できます。
複雑な構造の屋根でも対応できる
人が立つことのできないほど傾斜のきつい屋根の場合、点検は困難を極めます。また、3階建てや、はしごをかけることができないほど複雑な作りの建物は、足場を組んだりしなければ点検不可能な場合まであるでしょう。そのようなときにもドローンを使うことで、準備に時間をかけることなく容易に点検を進められます。
依頼者と一緒に確認作業ができる
屋根に作業員が上がり点検をする手法では、状態の詳細を把握できるのは作業員のみです。そのため、依頼者は作業員の報告のみで現状を把握するしかありません。しかし、ドローンを使って点検することにより、詳細な映像を撮影でき、依頼者と一緒に映像を見ながら確認ができます。映像に合わせて現状を説明することで依頼者も理解しやすく、満足度の向上にもつながるでしょう。
作業時間が短い
屋根の点検は、はしごの準備や足場の準備に時間がかかります。なおかつ作業員が屋根のすみずみまで細かく目視するため、多くの時間をかけなければなりません。
ドローンで点検した場合、手間のかかる前準備や広い屋根の点検にかかる時間が、大幅に縮小されるでしょう。
ドローンで屋根点検をする際の注意点
ドローンで屋根の点検をすると多くのメリットが得られますが、一方で注意しなくてはならないこともあります。ここでは、ドローンで屋根の点検をする際の注意点について解説します。
騒音がする
ドローンは4枚羽で飛行する機体です。そのため、約80dBの羽音が出ると言われています。80dBは、走行中の電車内や近くに迫った救急車のサイレンの音とだいたい同じ音量です。そのため、近隣には騒音に聞こえてしまう場合もあります。
ドローンの場合は短時間で点検作業が終わるため、住人によっては気にしない可能性もありますが、念のため早朝などの時間帯を避けて飛ばすことが推奨されます。
点検の際に応急処置ができない
作業員が上って点検する場合、応急的な補修が必要になったときなどでも、すぐ対応可能でしょう。しかし、ドローンで点検を行う場合は空撮のみなので、応急処置ができません。また、屋根の内部を点検することはできません。前持って応急処置が必要なときや、屋根内部の点検が必要なときは、ドローンのみで点検を行うのは避けたほうがよいでしょう。
飛行を制限されている区域がある
ドローンの飛行場所は、航空法や小型無人機等飛行禁止法で規制されている区域があります。国の重要施設の周辺は飛行が禁じられており、人口集中地帯や空港周辺、地上から150m以上の飛行には許可が必要です。点検対象の周辺施設や、建物の立地により、事前に許可が必要か確認しなければなりません。
悪天候の場合は飛行できない
雨や強風の際、ドローンの飛行はできません。ドローンはフライトコントローラーや各種センサーを搭載している精密機器です。雨に濡れることは避けたほうがよいことや、周囲の安全面から強風の場合も避けるべきでしょう。そのため、前持って天気情報を把握しておくことや、急な悪天候の場合は中止することになります。
まとめ
航空法では、ドローンとラジコンのどちらも「無人航空機」に分類され、重量が100g以下の場合は「模型航空機」に分けられます。一方で機能面に違いがあり、ドローンの特徴は、GPSや加速度センサーなどによる「自律性」にあります。
ドローンは、安全面や作業効率の面からも屋根点検に向いており、導入を検討している方にはDroneRooferがおすすめです。