屋根や2階、3階部分の外壁等、高所の点検を行う際に、どんなツールを使っていますか?はしごを使って高所に登るのは危険が多いため、近年は様々な高所点検用のツールが世に出ています。
この記事では、高所点検の代表的な手法、特に高所カメラやドローンのメリットとデメリットをお伝えすることで、「早く、簡単に、安全な」高所点検を行うために最適な手法を解説します。
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目次
高所カメラに求められている要件
建設業の労災事故では、高所点検時の墜落・転落が最も多く、安全な点検手法が常に模索されています。しかし、高所に登らないことで点検の精度やクオリティが下がってしまうことも避けたいものです。この章では、高所点検のリスクについておさらいした上で、そもそもなぜ高所カメラが必要なのか?高所カメラを使うことで、何を実現できれば良いのか?について解説します。
1.はじめに:高所点検にはリスクが多い
下図は厚生労働省が調査した、平成30年に発生した建設業の労働災害発生状況です。高所からの墜落・転落による死亡事故が全体の49.5%を占めていることがわかります。労働災害として申請があるだけでも毎年5,000件以上の事故が発生しており、早急に解決しなければならない深刻な問題になっています。
建設業でのこうした墜落・転落事故が多い理由は、はしごや足場で直接登って点検をする点検手法が主流であったためです。このような事故を未然に防ぐためには「高所に登らない」点検手法は有効な手段のひとつと言えるでしょう。
2.高所カメラでできること
高所に登らない点検手法として、まず思いつくのが高所カメラ(ポールカメラ)でしょう。高所カメラはその名のとおり、2メートル~10メートル程度の長いポールの先のカメラを、手元のスマートフォン等でカメラアングルやシャッターを操作して高所撮影するツールです。高所からの転落や墜落を防止できることはもちろん、足場やはしご等に比べて点検のための設置作業が簡易であることから、建設業において高く評価されています。
しかし、高所を撮影するための手段として、高所カメラが最善の選択なのでしょうか?高所の撮影をするだけでなく、より高い精度の点検のために、何を求めるべきなのでしょうか?
3.高所点検に求められる要件の本質とは
高所を安全に撮影できることはもちろんですが、それだけで十分ではありません。高所点検のために必要な要素は、次の3つです。それぞれ、詳細に説明します。
・点検速度
日々多くの業務に追われる建設事業者にとって、点検の速度は大切な要素です。いくら安全性が確保されるからといって、点検の速度が従来よりも大幅に遅くなってしまってはメリットが消えてしまいます。高所点検の新たな方法を探すのであれば、安全性は確保しつつ、点検速度や効率も同時に高められるツールを選ぶべきです。
・点検精度
高所点検を安全に行えたとしても、肝心の点検精度が疎かになってしまっては意味がありません。はしごを使った高所点検がこれまで主流だったのは「修繕箇所に対して適切な位置からの目視点検ができる」ことが理由だったこともあり、新たな点検手法を導入した結果、目視点検の精度よりも劣ってしまう、ということは避けなければなりません。
・導入のしやすさ
安全に、素早く、高い精度の点検を実現する手法があったとしても、導入するための価格が高かったり、運用にあたって資格や免許が必要な場合には、その手法をすぐに使い始められるわけではないため、結局は足場やはしごの方が簡単、ということになってしまいます。こういったことを避けるためにも、簡単で導入しやすい手法を採用すべきでしょう。
上記のように、高所点検に求められる要件は、安全・精度・導入障壁の低さといった3点が本質であり、単純に「高いところを撮影できる」だけでは不十分です。では、これらの要件を満たすためにはどのようなツールが最良なのでしょうか?次章では、さまざまな高所点検手法を比較しながら、上記の要件を満たすことができる、最良の選択肢は何なのかを解説します。
高所点検手法の比較
本章では、ひろく高所点検に用いられている4つの手法を、「点検速度」「点検精度」「導入費用」「導入のしやすさ」「安全性」の5つを比較の軸にして、それぞれのメリットとデメリットを説明します。
1.高所点検の4つの手法
・高所カメラ
既に触れたとおり、高所カメラは地上から長いポールを高所まで伸ばし、手元のスマートフォンで操作を行う機器です。メリットは安全性や導入のしやすさですが、デメリットとして点検物件1つに対し複数回設置しなければならないことや、屋根等を真上から撮影することができない等があります。
・高所作業車
リフト車とも呼ばれる高所作業車は、作業員が乗り込んだ足場が上昇し、高所の点検や作業ができるものです。足場には多くの場合、手すりが設置されているため、はしごよりも安全な点検ができる点がメリットですが、高所に登る事自体ははしごと変わらないため、危険性がゼロになるとは言えません。また、デメリットとして高所作業車を駐停車させるためには大きなスペースを必要としたり、場合によっては道路使用許可が必要など、点検速度や導入のしにくさの点があります。
・外部業者への委託
自分で高所に登らないという意味で、点検を外部業者に委託することにより、自社作業員の安全性を確保できる点がメリットです。ただしデメリットとして、外部業者にも予定や都合があるため、点検にあたっては面倒な予定調整が必要だったり、外部業者への支払いが必要であることなど、気軽に採用できる手法ではなさそうです。
・ドローン
近年注目を集めている高所点検手法にドローンがあります。メリットとしては高所カメラよりも画角の制限が少なく、真上からの写真を容易に撮影できたり、任意の箇所に近づいて撮影を行えることや、設置が必要ではないため点検の速度が上がる、という点があります。一方で、デメリットとしては航空法や小型無人機等飛行禁止法といった法律の規制や、操縦に対する不安もあるなど、まだまだ広く普及しているとは言えないツールでもあります。
2.それぞれの手法で解決できること、できないこと
それぞれの手法でできるようになることがある一方で、新たな課題が発生したり、従来の点検よりも質が下がってしまうリスクがあり、一概に「これを導入すれば全て解決する!」とも言えないことがわかります。
高所作業の新しい手法を検討するにあたって、これらの新しい課題や、クオリティの低下はどうしようも無いのでしょうか?それとも、何かの解決方法があるのでしょうか?
上の表で「✕」がついてしまっている「高所作業車」「外部委託」についてはメリットである「◯」も多くなく、手段自体が避けようのない問題点の原因になってしまっているため、デメリットの払拭は難しいでしょう。そこで次章では、比較表の中でメリットが多く、現在、高所点検の手法として多く使われている「高所カメラ」と「ドローン」に選択肢を絞って、それぞれのデメリットを払拭できるのか、どちらが優れた点検手法なのかを紐解きます。
高所カメラとドローン、どちらが優れているのか?
改めて、前章の表を基に、高所カメラとドローンのどちらが優れた点検手法なのかを分析していきましょう。表によると、高所カメラでは「点検速度」と「点検精度」に、ドローンでは「導入費用」と「導入のしやすさ」にそれぞれデメリットがありました。本章ではそれぞれのメリットとデメリットについて詳しく触れ、デメリットが払拭できるかどうかを説明します。
1.点検速度
高所カメラの点検速度には「△」がついています。理由は、一つの物件を点検するために、少なくとも4回の設置が必要であるためです。高所カメラは上下の動きには強いですが、横の移動ができないため、屋根や外壁の複数面を点検したいときには再度の設置が必要となり、この作業が点検時間の長さにつながってしまうのです。また、点検する物件が隣接物件と極端に近い場合には、ポールの設置ができない場合もあります。このデメリットは高所カメラの特性の裏返しなので、払拭は困難でしょう。
一方、ドローンの点検速度は「◯」となっており、この理由は設置の手間がないことと、1回の飛行で全ての屋根壁の面が撮影できるからです。ドローンの1回の飛行時間である15〜20分程度で、十分に高所の撮影や目視ができることがメリットと言えます。
2.点検精度
点検精度も、高所カメラは「△」の評価です。高所カメラが横の移動に弱いことは前述しましたが、これは壁面撮影だけではなく、屋根等の奥行きがある撮影対象についても同じことが言えます。屋根の棟部分や、真上から見下ろした画像等、高所カメラの構造上撮影をすることができない画像は多くあるため、これも払拭することができないデメリットと言えます。
この項目でもドローンは「◯」となっています。上の画像のとおり、ドローンは真上からの写真を撮影することができ、また高所カメラでは画角が届きにくい部分にも近寄って撮影できるため、屋根の棟板金や釘浮きなど、細かい部分までドローンのカメラで視認できる点がメリットです。
3.導入のしやすさ
導入のしやすさについては、ドローンの評価が「△」となっています。ドローンはまだまだ一般的に普及しておらず、ドローンを取り巻く法律や操縦方法、近隣住民からのトラブル等、知識面での導入のハードルが高いと言えます。一方で、高所カメラの場合は特別な資格や条件はないため、購入後すぐ使える、という点で優れていると言えます。導入のしやすさについては、ドローンのハードルを払拭できない限り、高所カメラの方が優れていると言えそうです。
ここまで、高所カメラとドローンを比較し、そのデメリットを払拭できるか、ということを解説してきました。高所カメラは構造上、撮影できる画像についての制約や設置できる場所の問題と、ひとつの物件に対する点検の工数がかかることがデメリットとして挙げられ、そのデメリットは払拭することができないものでした。
では、ドローンのデメリットである「操縦や法律等に対する不安からの導入のしにくさ」は本当に払拭できないデメリットなのでしょうか?
次章では、ドローンのデメリットをさらに分解し、それぞれのデメリットの払拭方法について、説明します。
ドローンのデメリットを払拭する手段とは?
前章で、高所カメラとドローンに利点と欠点があること、高所カメラの欠点は払拭が難しいことをお伝えしました。高所カメラの欠点は点検手法や撮影できる画像への影響が大きく、点検クオリティの担保が難しいことが特徴です。一方で、ドローンは点検のクオリティは担保できているものの、主に導入のしやすさに欠点がありました。この章では、前章で触れたドローンの欠点について、本当に払拭手段はないのか、説明します。
ドローンのデメリット(1)操縦
ドローンの導入に際して最も課題になるのが「操縦の難しさ」です。高所カメラや高所作業車と違い、これまでドローンに触れたことが無い方の方が多いですし、ラジコンのような操作が難しいと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ドローンは下から見上げた際に前後の認識が狂いやすく、操縦に際して混乱をきたす可能性もあります。
このデメリットを払拭するためには、「操縦が簡単であること」が保証される必要があります。ラジコンのような操作をするのではなく、カーナビのように画面をタッチするだけで任意の方向に動かすことができれば、操縦の難しさは感じることはないと思われます。
ドローンのデメリット(2)法律や規制等
操縦と並んでドローン導入の大きな障害になるのが「法律等に関する知識」です。ドローン飛行に関する法律・規制には航空法や小型無人機等飛行禁止法などがあり、聞きなじみの無い法律ではありますが、このような法律の知識を正しく身に着ける必要があります。法律の知識を学ぶためには、ドローンスクール等に通う等の方法があります。
しかし、ドローンスクールも自動車教習所のような費用がかかりますので、一概にドローンスクールに通うのが最も良い手段とは言えません。また、ドローンに関する法律は年々変わるものなので、常に最新の法制度を理解してドローンを運用するのは相当に難しいと言えるでしょう。最新の法律や制度を自分で調べてキャッチアップするのではなく、信頼できる第三者から随時情報発信される仕組みがあれば、このデメリットは払拭できるといえます。
ドローンのデメリット(3)近隣トラブル、故障等
操縦や法律について万全を期したとしても、ドローンはまだまだ一般に馴染みのないツールであるため、近隣からの目が気になる、というケースも多くあります。近隣住民からすれば、何を撮影しているかもわからないドローンが自宅上空を飛行していると不安を感じてしまい、通報されてしまう、という場合もあります。
法律等については操縦者自身が理解していても、周りの人が同様に理解しているとは限りません。そのような状況に対処し、自社や自社のお客様だけではなく近隣住民等に対しても、理解をしてもらえるよう努力する必要があります。ドローンによる点検でどんなことを行うのか、どこの家を撮影するのか、周りの家の撮影は行わない旨などを記入したチラシを投函しておく、場合によっては近隣挨拶を行うと良いでしょう。
ここまで、ドローンのデメリットを払拭するにはどうすればよいのかについて触れてきました。まとめると「操縦が簡単」「法律や規制等について常に最新情報をフォローできる」「近隣住民等にも説明がしやすい」ことを担保できれば、ドローンのデメリットは払拭できると言えます。
しかし、このようなデメリットを自分で払拭するのは難しく、どこから手をつければ良いのかも分からないと思います。どうすればデメリットを払拭できるのでしょうか?
高所点検の最も効率的な手法とは
DroneRooferは、高所点検手法に悩む全ての方に向けて作られた、民間用ドローンを使った高所点検サービスです。前章で説明したドローンのデメリットを総合的に払拭し、ドローン活用に向けたハードルを下げることにより、誰でも気軽にドローンを使った高所点検ができるよう、開発されました。
まとめとして、DroneRooferによるドローンのデメリット払拭方法を説明します。
1.操縦のデメリット払拭
DroneRooferは、iPadの画面をタッチするだけでドローンを任意の場所に動かし、画角やズームを調整した上で撮影ができる「タップ操縦」の技術を取り入れています。この技術により、ドローンをラジコンのように動かすのではなく、まるでカーナビで行きたいところを指定するように直感的な操作が可能になるため、誰でも簡単かつ安全にドローンを飛行させることが可能になり、操縦に対するデメリットを払拭できます。
2.法律や規制等のデメリット払拭
DroneRooferは、操縦用アプリだけでなく、ドローンを使われる方に向けた各種サポートもパッケージされたサービスです。航空法やドローン規制法の要件をクリアするための飛行許可申請の代行をはじめ、メールマガジンやLINE@を通した各種の法規制の最新情報をお届けすることで、操縦者の方が自分で最新の法律を調べる工数を削減し、法的にも安心してドローンを使うことを可能にしています。
3.近隣トラブル、故障等のデメリット払拭
DroneRooferのサービスは、前述の法律関係だけでなく、近隣や周囲の理解を得るための活動についても支援を行っています。また、機体の故障や各種のトラブルに関しても、すべて株式会社CLUEが一次窓口となり対応を行うため、ドローンで発生する各種の疑問等への対応がたらい回しになることなく、一貫したサービス提供が可能です。これにより、操縦や法律だけでなく、近隣や機体についても、安心してドローンを運用することが可能になります。