2023年9月29日

ドローンが建物診断に提供できる価値とは|メリットや活用例を解説!

リフォームや塗装、火災保険の損害算定まで、建物診断(インスペクション)は多くの業種で見積や工数算定の前提となる重要な業務です。
建物診断でチェックすべき項目は屋内外の建材建具が劣化・故障していないか、設備の動作が正常か等、多岐にわたりますが、その中で、ドローンによって診断の役割を果たせる部分があります。また、診断の実務に限らず、集客の増加や工事案件の受注率向上など、ドローン建物診断によって実現できるメリットは多くあります。
本記事では、ドローンが建物診断に提供できるメリットを解説し、具体的にどのように診断業務を行うことができるのかを説明します。

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建物診断において、ドローンは何ができるのか?

ドローンを安定的に飛行させるためには人工衛星からのGPS信号が必須であるため、屋内での活用はできませんが、屋外の建材や建具の状態を把握するために、ドローンを活用することが可能です。本章では、建物診断の中でのドローン活用を具体的にイメージするため、ドローンをどのような場面で活用でき、どのような場面では活用できないのかを解説します。

1.ドローンで診断できる項目

前述の通り、ドローンが安定的に飛行するためにはGPSの信号が必須であるため、ドローンで診断できる項目は屋外で行うものに限られ、主に以下の4箇所です。それぞれ、ドローンを使うことでどのようなメリットがあるのかを説明します。

・屋根面

屋根面は住宅の中で最も風雨にさらされ、経年による劣化や損傷が多い箇所であるにもかかわらず、ハシゴを使って屋根に登る工数や危険性等の要因から、診断が疎かになったり、場合によっては診断を請け負わない事業者もいるなど、見落とされやすい箇所です。ドローンを活用することで、屋根に登ることなく屋根面を撮影できるようになるため、より安全で効率的な診断を実現可能です。

・雨樋

雨樋もその診断のしにくさから屋根と同様、多くの場合は屋根に登っての診断ではなく地上から歪みを診断したり、金具の錆や劣化のチェックをする程度に留まってしまう箇所です。雨樋のチェックを正確に行うためには歪みや金具だけでなく、雨樋内部に水はけを妨げる泥等が溜まっていないか等を確認しなければならず、地上からでは充分な診断が出来ているとは言えません。

ドローンを使った診断であれば、建物上空から雨樋の内部を撮影できるため、泥の堆積や劣化を見極めることが可能です。

・外壁

外壁の2階や3階部分など、地上からの目視診断では限界がある箇所については、1階部分の劣化や損傷を基に状態を推定するなど、予測による診断が主流です。場合によっては高所カメラ等の手段を用いて診断を行うこともありますが、建物の立地条件によっては高所カメラを設置できないなど、撮影に際して制約があります。

ドローンは、地上の設置条件がないため高所カメラの制約も取り払うことができ、地上からと同じ目線で壁の高い部分も診断ができるようになります。

・外構

庭やカーポート、玄関前のアプローチ等の外構(エクステリア)は、地上から細部の点検はできても、全体像の把握や診断に課題がある箇所です。特にカーポート等はアクリルやポリカーボネート、FRPといった弱い素材で出来ているため人が登るわけにもいかず、地上からの目視か、場合によっては建物の2階等に登って遠距離から撮影し診断材料とするしかありません。

ドローンの活用によって、これらの箇所の状況も上空から直接確認することができるようになるため、より精緻な診断を行うことが可能です。また、全体像が見えにくい庭等の状態も、ドローンを活用することによりひと目で把握することができます。

2.ドローンでは診断できない項目

一方で、ドローンでは診断できない項目もあります。具体的にはGPSの信号が届かない屋内や、障害物等が多く安全な飛行に支障をきたすおそれのある箇所です。例えば、以下のような箇所が挙げられます。

・内壁、壁紙

・照明、空調設備

・浴槽、キッチン等の水回り

これらの項目に関しては、ドローンでの診断を行うことは出来ず、従来どおりの手法で診断を行う必要があります。したがって、ドローン診断を取り入れる際には、ドローン診断に適している箇所とそうでない箇所を見極めながら、適材適所で診断を行う必要があります。

3.建物診断業務フロー内でのドローンの活用例

NPO法人「日本ホームインスペクターズ協会」では、住宅診断をA「外回りの状態」〜E「設備の状態」の5カテゴリに分類し、それぞれに詳細な診断項目を設けています(下図参照)。

住宅診断
参照元:日本ホームインスペクターズ協会

このうち、ドローンでは「A-1 基礎」を除く外回りの状態を診断することが可能です。ドローンを使わない手法では通常、建物下部から順番に診断するため、診断の順番としては以下のような流れになります。

▼ドローン診断を用いない場合の業務フロー

ドローン診断を用いない場合の業務フロー

この場合、診断の項目の並び順と実際の診断の順番が必ずしも一致せず、診断箇所がカテゴリの中で行き来するような状態になるため、効率的な診断ができているとは言えません。

一方で、外回り(カテゴリA)についてドローンを活用した建物診断では、業務の流れは以下のようになります。

▼ドローン診断を活用した業務フロー

ドローン診断を活用した業務フロー

ドローン診断を活用すると、建物の階数によらず外回りを一括で診断できるようになるため、カテゴリごとにまとまった形で診断を行うことができます。一般的な一軒家に対するドローン診断は通常15〜20分程度で完了するため、診断の効率を向上させることも可能です。

ドローン診断の価値:画像の解像度と説得力

前章で、ドローンを活用すると建物診断の流れがどのように変化するかを解説しました。本章では、実際のドローン撮影画像を基に、屋外の同じ箇所をドローンで診断した場合と、目視や地上からのカメラで撮影・診断した場合の差を示し、診断業務の中でのドローンのメリットをご紹介します。

▼屋根面

ドローンで撮影した屋根

屋根の全景を画角に収める写真は、ドローンでなければ撮影できないものの代表です。このような写真を診断時に撮影してお施主様に説明することで、全体的な状況説明にも使えますし、その後の細部の写真についても「全体像の中の、この部分です」等と説明がしやすくなります。

▼雨樋

地上から撮影した雨どい

雨樋を地上から撮影する際、画角の影響もあり、雨樋の歪み等を認識するのは困難です。こういった場合、ドローンが無ければ、屋根に登って確認を行うか、足場を設置した際に併せて確認するしか方法がありません。

ドローンで撮影した雨どい

ドローンを活用することで、上空から雨樋の状態を確認できるようになりますので、上の写真のような歪みを視認することができるようになります。また、画角をさらに調整することで、雨樋の中に溜まってしまっている泥についても確認することが可能です。

▼外壁

地上から撮影した外壁

下屋根が障害物となってしまっている外壁は、奥がどのような状態なのかを判定できず、従来の方法では実際に屋根に登って目視点検を行うしか方法がありません。

ドローンで撮影した外壁

ドローンを活用することで、傾斜がついていて不安定な下屋根に登ることなく、地上から安全に外壁の奥部分の状態を確認することが可能です。

▼外構

地上から撮影した外構

庭等の外構についても、屋根面と同じく全体像を地上から撮影するのは難しく、細部の写真を複数撮影してお施主様に説明するのが従来の一般的な手法です。診断にあたっては写真撮影から説明までの工数が大きくなり、効率化の余地があります。

ドローンで撮影した外構

ドローンを用いた診断を行うことで、まずお施主様に全体像の説明を行うことができるため、診断後の修繕等の箇所がわかりやすくなり診断と説明の工数を削減することが可能です。

このように、ドローンで撮影した画像によって、お施主様が普段見ていない箇所の状態をわかりやすく説明できるため、診断工数の削減、より精緻な画像の撮影、お施主様への説明説得力向上といった効果があります。

ドローン診断の価値:集客と収益化

前章では、ドローンで建物診断を行うことで診断にかかる工数を削減でき、画像の解像度やお施主様への説明の説得力等の面でメリットがあることを示しました。ドローンを建物診断に活用することで、診断の実務面だけではなく診断の集客段階からもメリットがあります。この章では、診断実務の前段階の集客と、ドローン診断後の収益化について解説します。

1.集客

建物診断において、診断項目の細やかさや診断の丁寧さはもちろん重要な要素であり、診断を行う職人のノウハウや信頼度をアピールすることが重要です。しかし、これらは重要であるからこそ、どの事業者も同様のアピールをすることになり、大きな差別化が見込める要素ではありません。一方でドローンは、業界としてもまだまだ目新しいため、集客の起爆剤としての役割が期待できます。ドローン診断を集客の目玉にしている事業者は多く、診断の際の差別化材料としての活躍が見込めます。

ドローン点検の広告

具体的には上の写真のように営業車にドローンで建物診断を行う旨を記載したステッカーを貼付けたり、営業チラシにドローン診断について記載する、といった方法が考えられます。

2.収益化

ドローンを使った建物診断の導入にあたり、重要なのが価格設定です。ドローン診断のアピールによって集客できた層の顧客から収益を作り出すために、ドローン診断の価格設定に対してどのような考え方があるかを紹介します。

・無料診断

診断そのものでは利益を見込まず、工事や修繕の受注を見越してより多くの診断をこなすことが目的である際には、ドローン診断での追加料金を発生させない、という設定も可能です。

この場合、「ドローン診断に追加費用は不要」や「無料ドローン診断」等の広告文言での集客や、ドローン診断を受けたお施主様からの声等をウェブサイトやチラシに記載することで、ドローン診断そのものだけを押し出したものより集客効果を見込むことができるでしょう。

・有料診断

通常の建物診断に対するオプションメニューとして、ドローンでの建物診断を有償メニューに加えるのもアイディアのひとつです。ドローンでの診断によって前章のような診断工数削減、地上からは見えない部分の診断、お施主様への説明のしやすさといった付加価値が生じるため、工事業務を行わず、点検や診断のみを業務として行っている事業者(ハウスインスペクター等)は、診断をいかに収益化するか、いかにメニューを多様化させるかが重要です。したがってドローン診断は、通常の手法では撮影できない箇所や角度を撮影できる新規サービスとして集客の手段にできます。

・有料診断+工事受注時の診断費用キャッシュバック

工事受注できた場合には実質ドローン診断が無料になる方式は、工事までを請け負うことのできる事業者が多く採用しています。工事受注ができなかった場合でも診断費用は発生するため、診断工数が無駄になるリスクを負わずに済むことや、診断を有料にすることで見込みお施主様の診断に対する本気度を測ることもできるため、受注に繋がりにくい診断依頼を受けることも減少し、メリットの多い手法になっています。

ドローン診断を行うために

ここまで、建物診断にドローンを活用することで、実際の診断前から診断実務に至るまで、様々なメリットがあることを説明しました。しかし、実際にドローンを活用し始めるためには、ドローンの操縦方法や、ドローンに関する法律についてなど、知識と技術の習得が必要になります。本章ではまとめとして、ドローンの活用を始めるために必要なステップを解説します。

1.機体について

ドローンは大きく「トイドローン」「空撮用ドローン」「産業用ドローン」の三種類に分類でき、診断に使うドローンは「空撮用ドローン」と呼ばれる種類のものです。トイドローンの多くはGPSを搭載しておらず、場合によっては搭載されたカメラの角度を思い通りに動かすこともできないため診断には向きません。また、産業用ドローンは非常に高性能のカメラを搭載可能ですがサイズが大きく、持ち運びも不便なため住宅地等での飛行には不向き、といった特徴があります。

空撮用ドローンは1,200万〜2,000万画素程度のカメラを搭載しており、カメラの角度を飛行中に自在に動かして任意の画像を撮影することができます。また、多くは折りたたんで持ち運びが可能なため、診断を行うにあたり最適なタイプと言えます。

空撮用ドローンの価格は1機あたり15〜25万円で、機種のカメラ性能や飛行性能、追加するオプションパーツによって費用が変動します。

屋根点検用ドローン

2.操縦について

ドローンの操縦は通常、下図のように操縦機のスティックを動かして行います。この操縦は習得が難しく、上空に飛行しているドローンと操作画面の両方を確認しながら操縦を行うには技術を要します。

一般的にはこのような操縦を習得するにはドローンスクールに通ったり、任意のドローンフィールド等で練習をする必要があり、その場合には1人20万円前後の費用がかかります。

ドローンのリモコン

3.航空法/飛行許可について

空撮用ドローンは、バッテリーを含めた重量が200gを超えるため、航空法で定められる「無人航空機」にあたります。無人航空機を日本国内で飛行させる場合、国土交通省航空局が発行する飛行許可証を取得する必要があり、また飛行許可証を持っている場合でも、航空法や小型無人機等規制法によって空港周辺や高度150m以上の空域について等の制限があります。

飛行許可を個人で取得する場合には別段の費用はかかりませんが、個人で行うには手続きが難しく、行政書士等に依頼して取得を行うことになります。この場合、サービスにもよりますが、1年に1回の取得につき5万円程度の費用がかかります。

さらに、航空法だけでなく、飛行させる地域によっては民法や公園法、河川法、各種自治体の条例等、注意を払うべき法制度は多岐にわたり、これらの情報も国内外のドローン普及状況にとって刻々と変わるため、常に最新の法制度に適応した形で飛行させるには膨大な知識の習得が必要です。

このように、ドローンでの建物診断を導入するためには多くの知識や技術の習得が必要であり、変化する法制度にも常に対応しなければなりません。これら全てを自力でキャッチアップすることは困難であるため、最新の情報提供を受け取れる仕組みを作っておくと良いでしょう。

ドローン診断で費用対効果を生み出すには

前章では、ドローンの活用を実際に始めるにあたって準備しておくべき物事と、その価格等について説明しました。本章では、記事のまとめとして、ビジネスとしてのドローン診断を考える際に必須となる費用対効果の考え方について、ご説明します。

前述のとおり、ドローンを導入するにはコストがかかります。機体や操縦技術、法律のクリア等を個別で考える場合、機体が15〜25万円程度、ドローンスクールが1人あたり20万円程度、さらに行政書士への飛行許可申請代行依頼が5万円だとした場合、1人1台ドローンを導入するにあたっては、50万円程度の費用が必要になります。さらにパイロットを増やしたり機体を増やす場合には倍々で費用が増えていくことになります。

その他の選択肢としてはプロのドローンパイロット派遣サービスを活用し飛行を代行してもらう(業者にもよりますが、1回あたり5〜10万円)、機体や操縦、法律等を一括で提供するサービスを活用する、といったパターンがあります。弊社のドローンサービス「DroneRoofer」は機体や操縦アプリ、飛行許可取得、保険をワンパッケージでご提供しており、前章で触れたドローン導入の前提を一括でクリアすることが可能です。DroneRooferの費用については、是非お気軽にお問合せください。

これらのコストを回収するにあたって、収益をどのように設計するかのヒントになるよう、2つのパターンを紹介します。例として、初期コストを1年で回収することを前提とします。

1.ドローン診断のみで収益化を目指す場合

ドローン診断のみでコスト回収をおこない、収益化をはかるにあたっては、1年で少なくとも50万円程度の売上を確保する必要があります。第3章で触れた有償診断のパターンを用いる場合には、例えば1診断あたり2万円、1年で25回の診断を行うことができればコストは回収できると言えます。

ただし、当然ですがコストを回収するだけでは収益化はできないため、収益化を2年目以降の目標とするか、1年で収益化を実現するために診断単価を高く設定するか、診断回数を増やすかの判断を行う必要があります。

前述したドローンパイロットの派遣サービスを活用する場合、1回の診断ごとに5万円〜の費用がかかるため、ドローン診断のみで収益化を目指す場合には不向きです。

2.ドローン診断+工事案件で収益化を目指す場合

自社で施工まで行える事業者にとっては、第3章の無償診断や、有償診断+工事受注時の診断費用キャッシュバックの方法がヒントになるでしょう。もちろんキャッシュバックのない有償診断を行うこともできますが、工事受注が取れた場合、例えば屋根の葺き替え工事であれば単価100万円程度の工事となるため、ひとつの工事案件を受注できればドローンに投資した費用を一挙に回収し収益化も実現できます。

本記事で触れた通り、ドローンでの診断を行うことでお施主様への説明がしやすくなるため、工事受注を取るための強力なツールとしてドローンを活用することが可能です。

MOTTOBEでは、ドローンに関する知識や法制度について等、幅広い情報を今後もお届けします。また、この章で触れた弊社のドローンアプリ「DroneRoofer」を活用した建物診断や、収益化の方法についてより詳細な情報が欲しい方は、以下のフォームより、是非資料請求ください。

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