2021年3月16日

ドローン測量のメリットとは?測量方法の種類と導入時の注意点

土木や建築の現場で、ドローン測量はこの数年でかなり普及してきました。とはいえ、詳しいメリットや、具体的な方式の違いなど、不透明な部分がまだまだ多いことも事実です。
この記事では、ドローン測量の基礎知識やメリットに加えて、ドローン利用が適している現場の解説や地上測量との違いなどについて説明していきます。必要な資格や、法律的な観点からみた注意点まで触れていくので、ドローン測量に関する知識を深めたい方はぜひご覧ください。

目次

そもそもドローン測量とは?ドローン測量の誕生背景と、業務上のメリット

近年、従来の方法に取って変わる新しい測量方法が広がっています。ドローンに搭載されているカメラを使用した、ドローン測量です。
従来の測量と比べて、ドローン測量のメリットとは何でしょうか。この章では、ドローン測量に対するイメージを具体化するため、ドローン測量の基礎知識を紹介していきます。ドローン測量の概要や、従来の測量方法との違いなどについて学んでいきましょう。

ドローンを用いた新しい測量方法

センサーやカメラが搭載されたドローンで上空から地上を撮影し、地形を測ることをドローン測量といいます。地上にいながら広範囲の測量を行うことができる手軽さから、新たな測量方法として注目されています。
また、撮影したデータをもとに三次元データを作成できるところもポイントです。体積の計算や3Dモデル制作も可能になり、測量だけにとどまらないさまざまな活用方法ができることでも知られています。

キーワードは「ICT活用」! ドローン測量が誕生した背景とは?i-constructionの重要性から考える

2015年から、国土交通省によって建設や土木の現場におけるICTの活用が促進されており、ICT活用の指針である「i-construction」を通した生産性の向上が目指されています。
i-constructionによってさまざまなICTの活用が期待されていますが、測量技術においてはドローン(小型無人機、UAVともいう)の活用が期待されており、測量における効果的なドローンの活用方法や、ドローンを用いた測量にあたっての注意点等が要領にまとめられています。また、ドローンそのものの機体性能向上や、ドローンと組み合わせて使うハードウェア等の開発により、事業者にとってもドローンでの測量を導入しやすくなっています。

ドローン測量と、従来の地上測量・有人航空機測量は何が違う?

ドローン測量が登場するまで従来の測量方法は、専用の機器で直接測量を行う地上測量や、航空写真やレーザーを使って実施する有人航空機測量が主流でした。これらの測量方法とドローン測量を比較すると、短時間・低コストで測量可能という相違点があります。
ドローンは無人航空機であり、準備や解析にかかる時間もあまりかかりません。人件費も最低限に抑えられることに加えて、人間が直接足を踏み入れることができない場所まで測量できます。

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/content/001336357.pdf

ドローン測量の導入によって得られるによって実現できるメリット

従来の方法にない特徴が詰まったドローン測量には、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。実際にドローン測量を導入した際に得られるメリットを、2つご紹介します。

・何度もTSを立てる必要がなく、従来の方法と比べて効率的に測量ができる

従来の測量方式では、測量機器であるTS(トータルステーション)を軸に、標定点や検証点にターゲットプリズムを持った人が立ち、逐一計測作業を行います。また、現場の条件によってはTSの設置作業を複数回行う必要があり、これらの業務が測量を煩雑にする一因となっています。
ドローンでの測量により、TSを設置し直す手間や、標定点に人が立つ必要がなくなり、測量業務の大幅な効率化を実現することができます。

・土砂崩れの現場や山林などでも安全に測量ができる

土砂崩れ等の災害現場や、土木工事が必要な山林等は、人や機材が入りにくく、ターゲットを任意の位置に設置できないなど、測量が難しい、という課題があります。
ドローンを活用した測量の場合は、標定点に人が立つ必要がなく、土砂崩れ等の危険なエリアでも上空から測量を行うことができるため、安全な業務遂行が可能になります。

さまざまなドローン測量の方法方式

ひとくちにドローン測量といっても、撮影方式や画像データの処理方法はさまざまです。また、それぞれの方式によって、活用できる現場の性質は異なります。この章では、ドローン測量のさまざまな方式をわかりやすく整理し、各方式の特色やメリットをお伝えします。

ドローン測量の種類分類

ドローン測量は大きく分けて、「空中写真測量」と「レーザー測量」の2種類に分類されます。また、空中写真測量に関しては、さらに写真の撮影位置特定方法別に以下のように分類することが可能です。

①標定点設置方式

この方式は、ドローンを用いない従来の方法と同じく地上に標定点と検証点を設置し、ドローンで空中から撮影を行うことで測量業務全体の効率化をはかる仕組みです。標定点と検証点の設置は必要ですが、標定点の計測作業で人が立つ必要のある従来とは異なり、現場に入ってからの計測時間の効率化は実現できますが、危険な場所や入りづらい現場の測量には向かない、といった難点があります。

②RTKユニットをドローンに搭載する方式

ドローンに搭載されたRTKユニット(リアルタイム・キネマティック)を通してドローンが保持する位置情報をより正確なものとし、地上に標定点を置くことなく測量を可能にします。
ドローンの位置情報は通常、通信衛星から送られるGPSの信号を基に測定されますが、ネットワーク型RTKは電子基準点が受信する座標データの差異を利用することにより、正確な位置情報の取得を可能にします。この技術により、GPSのみを利用していた従来の位置情報測位では2メートル程度発生していた誤差を、数センチメートルの誤差にまで縮めることが可能にしています。

従来もRTK-GNSSローバー(RTKユニットが取り付けられたポールのような器具)と、単純なGPSを搭載したドローンを用いて、このRTK方式の測量を行うことはできましたが、ローバーは人の手で運ぶ必要があり、危険が伴うエリアでの測量はできませんでした。また、従来のRTK-GNSSローバー方式では計測範囲に標定点を置く必要があるため工数削減はできない、という性質があります。
RTK機器をドローンに取り付ける、あるいは取り付けられているドローンを利用することで、撮影位置が精度高く特定できるため標定点の設置が不要となり、ローバーを人が持ち運ぶ必要がなくなったので、大幅な効率化を実現しました。

http://www.qsr.mlit.go.jp/ict/technology/jitsugen_3.html

③自動追尾TS方式

従来は人が手持ちしていたターゲットプリズムをドローンに搭載し、ドローンをTSで自動追尾することで、地上に標定点を置くことなく撮影作業を実現可能にした方式です。前述の株式会社トプコンが開発した「TSトラッキングUAS」の手法がこれにあたります。
TSとプリズムの組み合わせはGPSやRTK-GNSS等と比べても非常に位置測定精度が高いですが、計測作業にかかる時間が多くかかることが課題でした。この自動追尾TS方式により、ドローンとTSを組み合わせることで、TS測量の正確さを維持したまま、カメラ位置特定のための標定点設置を省略することができるので、高い効率で計測を行うことができます。

※標定点設置方式と、TSトラッキングUAVとの差を表した図
※画像出典:株式会社トプコン
https://www.topcon.co.jp/positioning/products/product/3dscanner/TStrackingUAS_J.html

④特別なシステムを使わず、画像だけで測量する方式

厳密には「測量」と呼べる精度ではありませんが、ドローンの画像のみから面積を計算できるアプリも存在します。このような方式はTSやRTKを使わず、ドローンのGPSを用いたり、撮影画像の任意のポイントに長さや座標を入力することでの面積計算を可能にしているものなので、他の手法に比べて導入や撮影が安価で容易なことがメリットですが、一方で位置測定や測量の精度はTSやRTKを用いた方法に及ばない等、デメリットもあります。

また、撮影方法によらず写真測量は撮影後、「SfM(Structure from Motion:2次元画像から3次元構造のグラフィックモデルを作成する技術)」を用いた別システムを使って、無数の点で立体を表現した「3次元点群データ」への変換を行う必要があります。このシステムの代表的な物としてはPix4D株式会社が開発したソフトウェアの「Pix4D mapper」やAgi soft社の開発した「Photoscan」があります。

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/content/001336357.pdf

一方、レーザー測量の場合には、秒間数万〜数十万を超えるレーザーの照射によって地上の草や障害物を除外した正確な測量ができるため、測量現場の草木の伐採などを行うことなく、樹木下地表の正確な測量が可能です。ただし、ドローンに搭載するレーザー照射機材は非常に高価であり、導入のハードルが高いという難点があります。

特にドローン測量が活用されている業務分野

前述のようなドローン測量は、実際にはどのような現場で使われているのでしょうか。
建設業では、ビルや倉庫等の大規模物件の建築前に土地測量を行う必要があり、建築物の土台工事に移る前に、然るべき精度で行った測量数値を報告する義務があります。
また、土木の現場では工事前(起工測量)と工事中(岩線計測、出来高測量)工事後(出来形測量)にそれぞれ測量を行う必要があります。各測量で必要な測量精度や要領は国土交通省によって厳格に定められており、「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」に則った施工ができているかどうかを管理する必要があります。

※土木工事施工管理基準の一例(路体盛土工の場合)
※画像出典:https://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/300327kouji_sekoukanrikijun01.pdf

どの方法方式を取り入れるべき? 現場ごとの考え方なのか?

ここまで、ドローン測量の概略とさまざまな方式について、またそれぞれのメリットについてお伝えしました。紹介した手法はどれも実際にさまざまな現場で用いられているものですが、現場の性質や予算等によって、取り入れやすさや効果的な手法は異なります。
基本的には前述の「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」の基準を満たせる方法で、かつ予算や現場の性質に則った手法を用いるべきです。この章では記事のまとめとして、工事規模や現場の性質によってどのドローン測量手法が考えられるかを、例を挙げながら解説します。

1.測量面に草木等が茂っている現場の場合

この場合、測量にあたっては「草木等を考慮せず、地表面を正確に測定できるか」が重要です。したがって、写真測量は適切ではなく、草木が茂っている現場でも膨大な数のレーザーで多角的に測量することにより正確な距離や高さを測ることができるレーザー測量が適切です。

2.草木や樹木等がなく、地表が見えている現場の場合

このような現場では、写真測量とレーザー測量のどちらも使うことができます。しかし前述の通りレーザー測量用の機器は非常に高価であるため、投資を抑えるためには自動追尾TSやRTK方式といった写真測量を用いるのが良いでしょう。
※地上に標定点を設置するタイプの撮影方式も可能ですが、この方式では従来の測量方式に比べて大きな効率化は期待できないことと、RTK方式や自動追尾TS方式によって標定点設置方式の優位性は失われてしまっているため、本記事では触れないこととします。

3.建物の面積を測りたい場合

第2章④で触れたとおり、このような場合は、厳密には「測量」ではありません。したがって、上記に挙げたような測量方式をこのような現場に適用するのは機能過多です。画像のみで面積計算をおこなったり、画像に各種の加工を行ったりすることで面積計算をするソフトウェアを使って計測を行うのが良いでしょう。

3のような建物の面積計算については、図面を用いた算出や面積計算ソフトを用いる等さまざまな方法があります。例えばgoogle mapを基にした面積計算のシステムや、空撮画像を基に仮想の図形を当てはめて面積を計算するアプリ等があります。

また、弊社のドローンサービス「DroneRoofer」は、ドローンで撮影した画像をタップすることで、建物の屋根や壁の面積を計算出来るアプリです。ドローンを用いた測定や面積計算を行うにあたり導入しやすいシステムです。
DroneRooferについてはページ下部のフォームから無料で資料請求ができますので、お気軽に資料請求ください。

ドローン測量を行うために必要な資格はある?

ここからは、ドローン測量の資格について解説していきます。測量については一般的な測量と同じように、国家資格である「測量士」「測量士補」のいずれかが必須ですが、ドローン操縦に必要な資格はありません。ただし、顧客への信頼度を高めるためには、「JUIDA」などの民間操縦資格や、2022年から始まる国家資格の取得を検討することも1つの手です。
また、ドローンの種類や飛行させる環境によっては、無線資格が必要になることもあります。ドローン操縦資格に関するより詳しい記事は、以下の記事を参考にしてください。

▼ドローンの操縦に資格は必要? かかる費用を免許の種類ごとに比較
https://drone-roofer.com/mottobe/topics/column/596/

ドローン測量には課題も。導入する前に知っておきたい注意点

次に解説するのは、ドローン測量を実際に導入する前に、勉強しておいたほうがいい課題点・注意点です。特に重要度が高いものを、3つ取り上げていきます。

ドローン飛行に許可が必要なケースがある

中には、事前に許可を取っておかなければならないこともあります。現在の航空法によると、「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域」、「人又は家屋の密集している地域の上空」が例に挙げられます。夜間飛行、目視外飛行、30m未満の飛行、イベント上空飛行などに用いる場合も、別途承認が必要です。(引用元:https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000041.html#:~:text=%E7%A9%BA%E6%B8%AF%E7%AD%89%E3%81%AE%E5%91%A8%E8%BE%BA%E3%81%AE%E7%A9%BA%E5%9F%9F%E3%80%81%E5%9C%B0%E8%A1%A8%E5%8F%88%E3%81%AF%E6%B0%B4%E9%9D%A2%E3%81%8B%E3%82%89,%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82)

申請手続きにいちいち時間が取られるところは、課題点といえるでしょう。航空法の規制についてもっと詳しい情報が知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

▼ドローンに関する航空法の規制とは? 規制内容や違反時の罰を解説
https://drone-roofer.com/mottobe/topics/column/660/
▼ドローンの飛行禁止区域とは? 規制エリアを簡単に調べる方法も紹介
https://drone-roofer.com/mottobe/topics/column/615/

2022年6月以降、“未登録のドローン”は飛ばせない

航空法の一部改正により、2022年6月からドローン登録が義務化されます。屋外を飛行する100g以上のドローンはすべて登録しなければならないので、チェックが必要です。測量に使用するドローンを登録する時間と手間がかかることは、課題の1つといえます。

ドローンの操縦を学ぶためのスクール費用がかかる

ドローン操縦を扱う民間資格の中には、スクール受講が必要なものも多く見られます。スクール受講や資格受験には多額のお金がかかる場合もあるので、資金面の調整には考慮しましょう。ドローンが操縦できる人材の育成そのものにコストがかかることを理解しておかなければなりません。コスト面に不安を感じ、導入をためらってしまいがちなところは大きな課題点でもあります。

デメリットを解消するアプリ・サービスの活用も検討を!

先ほども説明した「DroneRoofer(ドローンルーファー)」なら、ドローンの課題点をまるごと解決することができます。なぜなら、申請手続きなどはすべて代行してくれますし、iPadとアプリを使用するカンタン操作でドローンを操縦できるからです。ドローン測量をまず気軽に試してみたい場合は、このようなサービスの利用を考えてみることをおすすめします。

まとめ

ドローン測量は、従来の方法よりもコストを抑えて短時間で測量できる、新しい測量方法です。さまざまなメリットがある一方で、ドローンの使用には多くの手間がかかることも課題です。そんな場合は手続き代行もしてくれるサービスを利用すると、気軽にドローン測量を試せるでしょう。

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