2025年12月17日

【DJI Matrice 400】建設・点検現場の業務革新┃最新機能の全貌と導入メリット徹底ガイド

2025年に登場したDJIの新型産業用ドローン「Matrice 400(M400)」は、効率性・安全性・汎用性を高いレベルで備えた最新モデルです。

現場で課題となっていた「作業の複雑さ」「安全管理の不安」「限られた活用範囲」などを根本から改善します。

本記事では、M400の主な機能と導入によるメリットを解説。特に「人手不足」「工期短縮」「安全確保」といった現場の三大課題に、どう貢献できるかを詳しくご紹介します。

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M400が誇る最上位モデルならではの性能

Matrice 400は、「長時間の安定飛行」と「重機材の搭載」を両立した、現場効率化に最適な産業用ドローンです。最大59分の飛行時間と最大6kgのペイロードに対応し、写真測量用のP1搭載で約47分、レーザー測量用のL2搭載でも約45分の飛行が実現可能。これにより、バッテリー交換や準備の手間を大幅に削減し、広範囲の作業も1回のフライトで完了できます。

また、O4 Enterprise Enhanced Video Transmissionにより安定した映像伝送を確保。さらにIP55の防塵防水性能により、埃や雨にさらされる現場でも安心して運用可能です。

天候や環境に大きく左右されず、計画通りに作業を遂行できる点において、大きな強みとなります。

現場での作業をガラッと変えるM400の新しい機能

Matrice 400は、飛行性能だけでなく、これまでにない革新的な機能を多数搭載し、現場の柔軟性と安全性を飛躍的に高めています。

基準局がいらないPPPモード:急いでいる時や簡単な仕事での便利な使い方

M400に搭載されたPPP(高精度単独測位)モードは、基準局を使わずに高い測位精度を実現する機能です。電源を入れて約15分間、衛星から信号を受信することで、水平・垂直方向ともに30〜40cm以内の精度を確保できます。

これは厳密な公共測量には対応しないケースもありますが、基準局設置の手間が不要な“迅速性”が最大の特長です。特に、災害直後の緊急対応や、早急な状況把握が求められる現場において、M400は即時対応可能なツールとして高い効果を発揮します。

時間優先・多用途対応が必要な現場にこそ、有効な選択肢となるでしょう。

手動リアルタイム地形フォロー:山やデコボコした場所でも安定して飛べる理由

起伏の激しい山岳地やダム周辺での測量・点検では、常に一定の高度を保つことが困難でした。M400に搭載された手動リアルタイム地形フォロー機能は、スティック操作だけで、地形に合わせて自動的に飛行高度を調整します。

これにより、山間部でも安定した飛行と均一なデータ取得が可能になり、測量における大きな課題の一つが解消されます。

360度すべてを見張る障害物検知の進化

M400は、安全性の面でも大きく進化しました。LiDAR-SLAM、カメラ、CSMレーダーの組み合わせにより、ほぼ死角のない360度の衝突回避を実現。これにより、従来は検知が難しかった電線や細い枝のような障害物も正確に把握できるようになりました。

さらに、夜間でも障害物を検知できるため、暗所での運用安全性も向上し、狭い空間(橋の下や鉄塔周辺など)での点検業務にも、安心して活用できる信頼性を備えています。

Matrice 400 搭載新機能の実用性評価と現場メリット

新しい機能 機能の概要 現場で使うメリット こんな場面で役立つ
手動リアルタイム地形フォロー 地形に応じて高度を自動/手動で調整できる 山などデコボコした場所で安定して飛べ、データ品質が均一になる。 山間部の測量、送電線の点検
PPPモード 基準局なしで30〜40cmの正確さを確保できる 緊急時や準備時間が限られる仕事で、素早く正確な運用ができる。 災害対応、素早い体積計算
強化された障害物検知 LiDARとレーザーで360度、衝突を避けられる 電線や枝など細いものも夜間でも検知可能。安全性が大きく向上。 狭い場所の点検、インフラ構造物の近くを飛ぶ時
IP55 保護等級 高い防塵・防水性能がある 雨や粉塵の多い建設現場でも使える。年間でドローンを使える日が増える。 建設現場、天気が少し悪い時の点検

【数字でわかる比較】M350 RTKからの大きな進歩:作業効率が1.7倍になる根拠

M400がこれまでのM350 RTKと比べて決定的に優れている点は、作業効率が数字で見てわかるほど向上していることです。特にZenmuse P1やL2といった、現場でよく使われる機材を積んで検証した結果、M400はM350 RTKと比べて約1.7倍も生産性が高いことが確認されています。

飛行時間とカバーできる範囲が大きく広がる

以下の表は、M400が一度の飛行でカバーできる測定範囲をM350 RTKと比べたデータです。

▼DJI Matrice 400 vs M350 RTK 生産効率・飛行性能比較 (Zenmuse P1/L2使用時)

比較項目 M400 + P1 M350 RTK + P1 M400の優位性(比率)
写真測量 飛行時間 47分 29分 約1.7倍
写真測量 カバー面積 72 ha 43 ha 大幅に拡大(約1.67倍)
レーザー測量 飛行時間 45分 30分 約1.5倍
レーザー測量 カバー面積 70 ha 41 ha 大幅に拡大(約1.71倍)
データ精度 ズレが5cm以内 ズレが5cm以内 全く劣らない


このデータが示すように、M400は、Zenmuse P1やL2を使った場合、一度の飛行でカバーできる測定範囲がM350 RTKと比べて約1.7倍に拡大しました。飛行時間と作業範囲が大幅に伸びたにもかかわらず、データの正確さは従来機と全く劣らず、ズレが5cm以内に収まる高い精度が維持されています。

効率が良くなることで現場の仕事はどう変わるか

飛行時間が約1.7倍に伸びるということは、大規模な現場(例:72ha)を測る際に必要なバッテリー交換・離着陸・RTK再設定の回数が大幅に減ることを意味します。現場で最も時間を要するのは、飛行そのものではなく準備作業であり、M400がもたらすこの準備時間の削減こそが、人件費と拘束時間の削減に直結します。一回のフライトで従来機を上回る成果を出せるこの能力は、貴社の費用対効果を最大化する重要な要素となるでしょう。

また、1.55kgの他社製機材を搭載しても38分間の飛行が可能で、M350 RTK(22分)を大きく上回ります。これにより、特殊なセンサーやカスタマイズ機材を用いる場面でも、M400の高い対応力が証明されています。

【具体的な活用事例】Matrice 400が解決する産業課題

M400の導入をご検討の皆様が最も知りたいのは、この高性能が貴社の現場でどのように課題を解決し、利益を生み出すかという具体的な活用事例ではないでしょうか。M400が様々な産業分野で出している成果をご紹介します。

測量・マッピング分野での生産性革命

M400は、大規模エリアの測量において、「時間効率」と「データ精度」の両立を実現し、生産性を向上させます。Zenmuse P1との組み合わせにより、1回の飛行で70haを超える広域をカバー可能。P1は、基準点を使用しない場合でも水平3cm・垂直5cmの高精度を維持します。

こうした飛行性能により、太陽光発電所の建設予定地や広大な森林エリアの測量も、これまでの複数フライトを1回でカバーできるようになり、プロジェクト全体の作業時間短縮と効率化に繋がります。

インフラ点検・構造物検査の安全性と効率向上

インフラ点検は、高所作業や危険な環境での運用が必須となるため、M400の安全機能の進化が最も効果を発揮する分野です。

電力線・鉄塔点検におけるリスク軽減

M400は、進化したLiDARとミリ波レーダーの組み合わせにより、電力線のような細い障害物も正確に検知できます。

これにより、複雑なケーブルや支線が入り組んだ送電線・通信鉄塔の近接点検でも、衝突リスクを大幅に軽減。安全性が向上したことで、これまで高所作業が必要だった点検箇所にも、ドローンを導入しやすくなります。

建設現場および外壁点検の事例

建設現場や外壁点検では、急な風や予期せぬ障害物への接近が避けられません。M400の安定した性能と、強化された障害物検知機能は、このような高い場所での危険な作業をドローンに任せる際の信頼性を高め、コスト削減、時間短縮、そして安全性の向上に貢献しています。

夜間・悪天候下での運用

CSMレーダーの搭載により、M400は夜間でも障害物を検知できるため、夜間の緊急点検や、日中の作業時間が限られる現場でも柔軟な運用が可能です。

さらに、IP55対応の防塵・防水性能により、小雨や強風下でも安定した飛行が可能となり、天候に左右されずに点検を計画的に進められる運用の柔軟性が向上しています。

緊急時・災害対応における柔軟な運用シーン

PPPモードと強化された安全機能は、M400を災害対応用のドローンとしても優れたものにしています。地震や水害などで現場に近づくのが難しい場合、またはRTK基準局を設置する時間がない状況下では、PPPモード(30-40cm精度)を活用し、迅速に被害エリアの測量とマッピングを行うことができます。素早い状況把握は、初期の判断や救助計画を立てる上で非常に重要です。

さらに、霧や煙などで視界が悪い状況での捜索・救助活動においても、LiDARとミリ波レーダーの技術により、障害物や地形を正確に把握できるため、作業の安全性と信頼性が守られます。

M400を導入する前に知っておきたい、機材構成とコストの全体像

M400の導入を視野に入れる際には、対応ペイロードや推奨構成、初期導入コスト、そして長期的な運用メリットを総合的に判断することが重要です。特に、経営層や技術部門の方々にとっては、設備投資の意思決定に関わる重要な要素となります。

ここでは、それらの判断材料となる情報をわかりやすく整理してご紹介します。

主要ペイロードの互換性と特性:M400を最大限に活かす組み合わせ

M400は、DJIの最新かつ高性能な産業用ペイロードシリーズと一緒に使うことができます。M400の高い飛行性能と安定性が、これらの機材の持つ性能を最大限に引き出します。

・Zenmuse P1:正確な写真測量の基準:45メガピクセルのフルサイズCMOSセンサーとメカニカルグローバルシャッターを搭載しています。M400の長い飛行時間との組み合わせにより、P1の持つ「高効率で正確な測量能力」が広い範囲で最大限に発揮されます。
・Zenmuse L2:高性能レーザー測量と点群取得:L2を使っても長い飛行時間を維持できるM400は、密度の高い点群データを広い範囲で取得する際の課題を解消します。
・Zenmuse H30T:ハイブリッドセンシングによる点検能力:H30T(高倍率ズームカメラと高解像度熱画像カメラ)を搭載することで、M400は、電力設備の異常を見つけたり、広い場所から詳細な構造物の検査をしたりと、様々な点検ニーズに対応可能となります。

Matrice 400システム導入の概算コストとメリットの考え方

M400本体の価格は販売店へ問い合わせが必要ですが、主要な機材や周辺機器の参考価格から、導入にかかる総費用の目安を知ることができます。

▼Matrice 400 システム構成 参考価格(概算)

システム構成 主要な部品 参考価格帯(税込) 備考
高性能写真測量セット Zenmuse P1 + Care Plus + Terra Standard 約150万円前後 M400本体価格は要問い合わせ
高性能レーザー測量セット Zenmuse L2 + Care Plus 約200万円前後 M400本体価格は要問い合わせ
標準バッテリーシステム BS100 インテリジェント バッテリーステーション 約20万円前後 複数のバッテリーを効率的に使うために必要


M400の導入を評価する際には、最初に払うコストだけでなく、M350 RTKからの乗り換えによって得られる年間でのメリット(費用対効果)を計算することが非常に重要です。飛行効率が1.7倍に上がるという事実は、年間での労働時間短縮、人件費の削減、現場拘束時間の短縮に繋がります。

PPPモードの採用による基準局設置コストと時間の削減、そして強化された障害物検知による機体ロストリスクの低減は、長期的な運用における潜在的なコスト削減要因として、ドローンを所有するトータルコストの評価に含めて考える必要があります。

まとめ:M400がもたらす次世代ドローン運用の展望

DJI Matrice 400は、単に性能が向上した新しいドローンというだけでなく、建設業や大規模修繕の現場における生産性向上と安全性の問題を解決するための具体的なプラットフォームです。このプラットフォームは、「効率の良さ(1.7倍の作業効率向上)」「安全性(360度障害物検知とIP55)」「使いやすさ(PPPモードと地形フォロー)」の三つのポイントで、現場の課題解決を力強くサポートします。

特に、広域測量における効率性の向上は、プロジェクト全体のリードタイムを短縮し、ドローンオペレーターの現場負担を大幅に軽減します。

そのため、M400の導入を検討する際は、初期費用だけでなく、年間を通じた労働時間の削減や、現場リスクの低減、データ精度の向上といった総合的な運用効果で評価することが重要です。

現場の課題解決、そして将来の事業拡大を見据え、Matrice 400の導入もぜひ前向きにご検討ください。

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