「赤外線カメラ搭載のドローンに興味があるが実際どれくらい活用できるの?」といった疑問をお持ちではないでしょうか?
本記事ではリフォーム会社経営者向けに、従来の打診法との違い、内製化と外部委託の判断基準、お施主様が納得する報告書の要点、費用対効果を専門家が解説します。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
赤外線ドローン調査の費用対効果は「目的次第」で大きく変わる
赤外線ドローンは、「足場不要」「高所作業のリスク削減」「調査スピードの向上」「受注率アップ」といった複数の効果を、目的に応じて活かすことができれば、十分に投資価値のある手段となります。
ここからは、赤外線ドローン調査が注目されている理由や、リフォーム会社が赤外線ドローンを導入する際の「費用対効果」について、導入目的別の活用事例・収益性の考え方・注意すべき落とし穴などを交えて、わかりやすく解説します。
赤外線ドローン調査が、屋根・外壁調査に活用されている理由
屋根や外壁の点検業務は、コスト・安全性・競争力といった多くの課題を抱えています。こうした状況の中、赤外線ドローン調査は、足場不要・非接触・高精度という特性を活かし、調査の在り方を根本から変えつつあります。
課題1:高騰し続ける「足場コスト」と「利益率」の問題
従来の外壁や屋根の高所点検では、足場の設置が不可欠でした。しかし、資材費や人件費の高騰により、この足場コストが利益を著しく圧迫しています。赤外線ドローン調査は、この「足場」という最大のコスト要因を原則不要にするため、利益率の改善に直結します。
課題2:職人不足と「高所作業リスク」という安全管理コスト
経験豊富な職人の不足や高齢化に加え、高所作業には常に墜落・転落という重大なリスクが伴います。ドローン調査は、作業員が危険な高所に上る必要をなくし、安全管理コストの低減と作業員の安全確保を両立させます。
課題3:他社との「相見積もり」で差別化が難しい現実
リフォーム市場では相見積もりが常態化しており、価格競争に陥りやすいのが現実です。赤外線ドローン調査を導入することは、お施主様に対して「客観的なデータ」に基づいた精度の高い診断を迅速に提示できる、という明確な「差別化」につながります。
赤外線カメラで「何が」見え、従来の点検と「何が」違うのか
赤外線ドローン調査の価値を理解するために、従来の点検との違いを明確にしておきましょう。
赤外線が可視化する「タイルの浮き」「漏水箇所」
赤外線カメラは、目に見えない「熱」を可視化するカメラです。建物の外壁タイルに「浮き」が生じている箇所は、内部に空気層ができるため、健全部と比べて熱の伝わり方が異なります。日射を受けると、浮き部は周囲より高温になる傾向があり、赤外線カメラはその「温度差」を捉えて異常箇所として特定します。同様に、壁内部の漏水や湿り気も、蒸発熱の関係で周囲と温度差を生じさせるため、発見が可能です。
可視光ドローン点検(目視)と赤外線点検(内部診断)の決定的な違い
通常のカメラ(可視光)を搭載したドローンは、主に「目で見える」ひび割れやサビ、欠損などを発見するのが得意です。一方、赤外線カメラは、目視では判別不能な「外壁の内部」や「屋根の下地」に潜む、浮きや漏水といった重大な不具合の兆候を「温度差」として検知できる点が決定的な違いです。
リフォーム事業の「新たな強み」となる赤外線活用事例:太陽光発電メンテナンス
赤外線ドローンの活用は、外壁や屋根の調査だけに留まりません。特にリフォーム事業と親和性が高いのが「太陽光発電(ソーラーパネル)」のメンテナンスです。
経済産業省が推進する「スマート保安」の流れもあり、従来は目視や手作業で時間をかけて行っていた点検が、ドローンによって劇的に効率化されています。
ドローン点検がもたらす具体的なメリット
ドローン活用は、従来の点検が抱える課題を解決します。
・圧倒的な時間短縮と安全性
従来、住宅用設備で約1時間かかっていた点検が、ドローンなら約20~40分で完了します。高所に登る必要がなく、安全かつ短時間で調査が可能です。
・コスト削減(人件費の抑制)
点検はドローン操縦者1名で実施可能なため、少人数での運用が実現します。これにより人件費を抑え、結果としてお施主様へ低価格な点検サービスを提供できる可能性が生まれます。
・高精度な異常検知(赤外線カメラの役割)
ソーラーパネルの異常(ホットスポット、クラスタ異常など)は、多くの場合「発熱」を伴います。赤外線カメラは、この発熱箇所を目視では不可能なレベルで正確に検知し、他の正常なパネルとは異なる色で表示します。
・「受注につながる」付加価値
ドローンによる高精度な点検は、それ自体が他社との強力な差別化要因となります。屋根リフォームの提案時に、同時にソーラーパネルの健全性診断も「客観的なデータ」として提示できるため、顧客の信頼を獲得しやすく、アップセルやクロスセル(例:パネルの洗浄や交換提案)にもつながります 。
参考:太陽光発電のメンテナンスを効率化 ドローンによる点検の費用やメリットを紹介
法改正で広がる12条点検ビジネス|赤外線ドローン導入の可能性と課題
2022年の建築基準法改正により、10年ごとの特定建築物の定期報告(12条点検)において、ドローンによる赤外線調査が正式な手法として認められました。
安定した点検業務に取り組むチャンス
この改正により、ビルやマンションのような大型建物の点検業務に、新たに取り組めるようになりました。12条点検は10年ごとに必ず行う必要があるため、需要が安定しています。これまでは「打診調査」と呼ばれる方法が主流でしたが、ドローンを使えば、より短時間で、コストを抑えた点検が可能になります。
導入後は「体制づくり」が重要に
ただし、ドローン調査を法定点検として認めてもらうには、国が定めたガイドラインに沿った正確な調査と、信頼できる報告書の作成が必要です。また、法律やルールが変わるたびに、社内のマニュアルを見直し、担当者に研修を行うことも求められます。こうした準備や仕組みづくりが、導入後の大きな課題となります。
「内製化」か「外部委託」か――導入時に求められる経営判断
赤外線ドローン調査を導入する際には、まず「機材や人材を自社で揃えて内製化するか」「専門業者にその都度依頼するか」という、事業の進め方に関わる判断が必要になります。
1.自社導入(内製化)の場合
メリット:利益率の最大化と「見積もりスピード」という競争力
最大のメリットは、外注コストがかからないことによる利益率の最大化です。また、顧客からの調査依頼に対し、他社を介せず自社で即座に対応できるため、見積もり提出までの「スピード」が格段に向上します。
デメリット:高額な機材投資と「解析スキル」を持つ人材の育成
高性能な赤外線カメラを搭載したドローンは高額であり、数百万円規模の初期投資が必要です。また、ドローンを安全に飛ばす「操縦スキル」以上に、撮影した熱画像を正しく分析し、異常かどうかを判断する「解析スキル」を持つ人材の育成が不可欠であり、これには時間とコストがかかります。
内製化の「失敗例」と「成功例」
内製化の「失敗例」として最も多いのが、この「解析スキル不足」です。高額な機材を導入したものの、解析担当者のスキルが不十分で「異常を見落とす」「正常な箇所を異常と誤診断する」といった事態を招き、お施主様の信頼を失うケースです。
一方、「成功例」に共通するのは、単なる個人のスキルに頼るのではなく、解析フローの「標準化」や「ダブルチェック体制」を構築している点です。経営者としては、機材導入と同時に、この「品質担保の仕組みづくり」までを投資と考える必要があります。
2.専門業者への委託(外部委託)の場合
メリット:初期投資ゼロと「最新機材での高精度調査」の担保
初期投資や機材のメンテナンス費用、人材育成コストを一切負うことなく、必要な時だけサービスを利用できるのが最大のメリットです。専門業者は常に最新かつ高解像度の機材を使用しているため、調査品質も担保されます。
デメリット:外注コストと「対応スピード」の低下、ノウハウが蓄積しないリスク
当然ながら、調査ごとに外注コストが発生し、その分、内製化に比べ利益率は低下します。また、業者とのスケジュール調整が必要なため、顧客の要望に即応するスピードは落ちます。何より、調査や解析のノウハウが自社に蓄積されないため、事業の「強み」として確立しにくい点が最大のリスクです。
経営者が押さえるべき「導入形態」3つの判断基準
では、貴社はどちらを選ぶべきでしょうか。以下の3つの基準でご判断ください。
判断基準1:年間の調査件数と「スピード」の優先度
年間の調査件数が多く、初期投資を回収できる見込みが立つのであれば、内製化のメリットは大きくなります。また、相見積もりにおいて「見積もりスピード」を最重要の競争力と位置づけるならば、内製化が有利です。
判断基準2:目的(12条点検対応か、修繕提案のフックか)
法定点検(12条点検)に対応する専門的なサービスとして事業の柱にするなら、高度な解析スキルまで含めた「内製化」が求められます。一方、既存の屋根・外壁リフォームの「修繕提案のフック(きっかけ作り)」として活用するなら、まずは「外部委託」から始めてみるのも良いでしょう。
判断基準3:人材を確保できるか
貴社に、新しい技術やデジタルツールに抵抗がなく、熱画像の解析といった専門スキルを学ぶ意欲のある人材(例えば、現場をよく知る現場監督など)がいるかどうかも重要なポイントです。単なる「ドローン操縦者」ではなく、「建物診断の専門家」を育成できるかが鍵となります。
赤外線調査の「信頼性」と「受注力」を最大化する運用方法
経営者の方が最も懸念されるのは、「赤外線の熱画像だけで、本当にお施主様にご納得いただき、その後の高額な修繕契約まで結びつくのか?」という点ではないでしょうか。
調査結果の信頼性に加え、それをいかに受注につなげるかという運用の工夫こそが、導入の成否を左右します。
赤外線調査の「限界」と現実的な注意点
まず、赤外線調査は万能ではないことを理解し、顧客にも正直に伝えることが信頼の第一歩です。
調査精度を左右する「天候・日照条件」という弱点
赤外線調査は、日射によって建物表面が温められ、その「温度差」を検出する技術です。そのため、十分な日射がない曇天や雨天時、あるいは日射が当たりにくい北面の調査には不向きです。調査の実施には、天候の条件が非常に重要です。
仕上げ材や構造によって温度差が出にくいケース
外壁の仕上げ材の種類(例:金属パネル)や、断熱構造によっては、内部に異常があっても表面に明確な温度差として現れにくいケースもあります。
「打診」は不要になるのか?
結論から言えば、赤外線調査が導入されても、従来の「打診(テストハンマーによる調査)」は不要にはなりません。両者の役割を正しく理解することが重要です。
赤外線は万能ではない。「一次診断」としての活用
赤外線調査の最大の強みは、足場なしで、広範囲を迅速に「一次診断」できる点です。つまり、「広範囲の中から、異常の“疑い”がある箇所を効率的に絞り込む」ための技術です。
信頼性を担保する「ハイブリッド調査(赤外線+部分打診)」
最も現実的で信頼性が高い運用は、まず赤外線調査で「疑わしい箇所」を特定し、その特定箇所(あるいは手の届く範囲)のみ、従来の打診調査で「確定診断」を行う「ハイブリッド調査」です。この併用こそが、調査コストの最適化と診断の信頼性を両立させます。
なぜ赤外線画像だけでは「失注」するのか? お施主様の不信感の正体
赤外線調査を実施したものの、受注につながらないケースも存在します。その原因は、お施主様が抱く「不信感」です。
お施主様が抱く「本当なの?」という不信感を払拭する説明責任
お施主様にとって、カラフルな熱画像は「よく分からないもの」です。ただ「赤くなっているから異常です」と伝えても、「本当なのか?」「大げさに言って高額な工事を売りたいだけではないか?」という不信感につながりかねません。
「温度異常=即修繕」ではない。信頼される診断レベルの定義付け
温度異常が検知されたからといって、そのすべてが「即時補修が必要」なわけではありません。その異常がどのレベルなのか(例:即時対応が必要な「重度」か、経過観察でよい「軽度」か)を、専門家として冷静に判断することが信頼につながります。
調査結果を「修繕契約」に結びつける報告書
調査結果を「受注」という成果につなげるには、お施主様が「納得」し、「行動(契約)」を決断できる報告書が不可欠です。
ポイント1:データ解析ソフトの活用(DJI Thermal Analysis Tool等)
撮影した熱画像(R-JPEGデータ)は、それ自体が報告書になるわけではありません。お施主様が理解できるよう「解析」する作業が必要です。
これには専用の解析ソフトが使われます。例えば、DJI社が無料で提供する「DJI Thermal Analysis Tool 3.0」や、より高機能なFLIR社の解析ツールなどです。これらのソフトを使えば、PC上で温度の幅(温度スパン)や表示色(カラーパレット)を調整し、「この温度以上の箇所だけを表示する」といった処理が可能になり、異常箇所をより明確に可視化できます。
ポイント2:温度異常箇所と可視光画像の紐付け
報告書では、解析ソフトで処理した熱画像と、同じ場所を撮影した通常の写真(可視光画像)を必ず並べて提示します。お施主様が「ああ、あの壁の、この部分が、熱画像で見るとこうなっているのか」と直感的に理解できるように「紐付け」することが絶対条件です。
ポイント3:「修繕の緊急度(即時対応/経過観察)」の提示
発見された異常箇所すべてを修繕対象とするのではなく、専門家の知見に基づき、「A(赤色):即時修繕が必要」「B(黄色):経過観察を推奨」「C(緑色):現時点では問題なし」といった形で、修繕の「緊急度」を明確にランク付けします。
ポイント4:調査結果から修繕提案へつなげる伝え方
そして最も重要なのは、調査結果から修繕に繋げるための伝え方を工夫することです。
たとえば、ランクAと判定された異常箇所に対しては、「この浮きを放置すると、将来的にタイルが剥落し、重大な事故につながる可能性があるため、修繕が必要です」といったように、調査結果という“事実”と修繕提案という“解決策”を明確に結びつけてご説明することが重要です。
赤外線ドローン調査は「儲かる」のか? 内製化の費用対効果シミュレーション
経営者の方が知りたいであろう「結局、儲かるのか?」という疑問に、内製化した場合の費用対効果シミュレーションでお答えします。
内製化に必要な初期投資(機材・資格)の具体例
内製化には、機材と人材への投資が必要です。
機材選定のポイント1:調査目的に見合った「解像度」
外壁調査で信頼性の高い診断を行うには、高解像度(最低でも640×512ピクセル)の赤外線カメラが推奨されます。この解像度があれば、ビル中層階のタイルの浮きやソーラーパネルの不具合も判別しやすくなります。
機材選定のポイント2:代表的な機体とカメラの組み合わせ
市場には多様な機材が存在しますが、リフォーム・建築業界で実績があるのは主に以下のような機体です。
・一体型ドローン(例:DJI Matrice 30T)
機体に赤外線・可視光・レーザー距離計などが一体化されています。機動性が高く、現場でのセットアップが迅速な点がメリットです。
・カメラ交換式ドローン(例:DJI Matrice 350 RTK, 国産のSOTEN(蒼天))
用途に応じてカメラ(例:DJI Zenmuse H20TやH30T)を交換できます。将来的な拡張性や、セキュリティを重視する現場(国産機)での強みがあります。
機材選定のポイント3:専門家に相談し、「互換性の落とし穴」に注意
安価なドローンに赤外線カメラを「後付け」する選択肢もありますが、機体とカメラの互換性や、撮影したデータの連携(R-JPEGのメタデータなど)が複雑で、専門知識がなければかえって運用が難しくなるケースがあります。
機材選定は価格やスペック表だけでなく、貴社の主な現場(戸建て中心か、ビルか)や運用体制を理解している、信頼できる専門の販売代理店に「どの業務にどの機材が最適か」を相談することが、導入失敗を避ける近道です。
必要な資格:「赤外線建物診断技能師」等の信頼性
ドローン操縦の国家資格に加え、調査の信頼性を担保するためには「赤外線建物診断技能師」などの民間資格を取得し、赤外線工学や建築診断の専門知識を学ぶことが推奨されます。
【経営シミュレーション】初期投資の回収モデル
この初期投資は、何件の案件で回収できるのでしょうか。
モデルケース:初期投資150万円は何件で回収できるか?
仮に、赤外線ドローン調査機材一式(一体型機など)に150万円の初期投資を行ったとします。
結論:足場代削減(1件20万円)と仮定した場合、約8件で投資回収が可能
貴社がこれまで1件の戸建て点検で20万円の足場費用をかけていた場合、ドローン導入によってこの足場代が「削減」されます。この削減額(=浮いたコスト)だけで計算しても、8件弱(150万円 ÷ 20万円 = 7.5件)の調査を実施した時点で、初期投資は回収できる計算になります。
これは、あくまで「コスト削減」の側面だけであり、受注率の向上や新規案件の獲得による「売上増」は含まれていません。
見落としがちなランニングコスト(保険、機材メンテナンス、解析ソフト代)
ただし、初期投資以外にも、ドローン保険(対人・対物10億円規模など)、機材の定期メンテナンス費用、そして「解析ソフト代」も考慮に入れる必要があります。前述の通り、DJI社のように無料の解析ツールを提供しているメーカーもありますが、FLIR社のように高度な解析機能を持つ有料ソフトもあり、どのレベルの報告書を作成するかによってランニングコストも変動します。
費用対効果を最大化する運用のポイント
投資を早期に回収し、利益を最大化するには、単に調査を行うだけでは不十分です。ここが内製化の「成功」と「失敗」を分ける最大のポイントです。
調査プロセスの「標準化」と「AI・自動化」の活用
内製化に失敗する企業の多くは、調査が「属人化」しています。Aさんが撮ったデータとBさんが撮ったデータでは品質が異なり、解析の精度も安定しません。
これを防ぐには、調査プロセスの「標準化」が不可欠です。例えば、弊社が提供する「DroneRoofer」のようなアプリケーションは、「半自動飛行」機能によって、誰が操作しても一定の飛行ルート・撮影角度・距離を保つことを支援します。AIや自動化技術を活用し、ヒューマンエラーを減らす仕組みこそが、安定した品質の第一歩となります。
機材の「管理体制」と「記録の見える化」が信頼性を支える
ドローンや赤外線カメラは非常に繊細な機器です。定期的なキャリブレーション(校正)やバッテリーの管理を怠ると、現場での不具合につながるだけでなく、正確な温度データが取れず、調査結果そのものの信頼性が損なわれてしまいます。
そのため、「いつ・誰が・どの機材に、どんなメンテナンスを行ったか」を記録に残すこと、さらに撮影した画像や解析の記録を正しくひも付けて管理すること(=トレーサビリティ)が欠かせません。こうした管理体制は、調査結果の正確さを裏付ける根拠となり、お施主様に安心してもらうための重要な要素となります。
「解析のダブルチェック」と「報告書のクラウド連携」
解析スキル不足による誤診断を防ぐため、解析者による一次チェックと、管理者による「ダブルチェック体制」の構築が推奨されます。
また、現場で撮影したデータをクラウドに即時アップロードし、オフィスの解析担当者がすぐに作業を開始できるような「クラウド連携型」の報告書作成ツールを活用することで、現場からオフィスへの移動時間を削減し、報告書提出までのスピードを飛躍的に向上させ、業務効率化を図ることも可能です。
赤外線ドローン調査導入の具体的な流れ
最後に、赤外線ドローン調査を導入する際の具体的な流れを5つのステップで解説します。
Step.1:目的の明確化
最初のステップは、貴社が「何のために」導入するのかを明確にすることです。「コスト削減」「相見積もりでの差別化」「12条点検への新規参入」など、経営戦略上の目的を定めます。
Step.2:導入形態(内製化 or 委託)の決定と業者・機材選定
Step.1の目的に基づき、「内製化」か「外部委託」かを決定します。内製化なら機材選定(専門家への相談を含む)と育成担当の選定を、委託なら信頼できるパートナー業者の選定を行います。
Step.3:調査計画と法規制の確認
調査を実施する際は、航空法などの法規制を遵守し、必要に応じて飛行許可申請や近隣への事前告知を行います。安全管理体制の構築は非常に重要です。
Step.4:調査実施とデータ解析
最適な天候・日照条件を見極めて調査を実施します。弊社の「DroneRoofer」のような自動飛行アプリを活用して標準化されたデータを取得し、専用の解析ソフトと専門知識(赤外線工学、建築知識)を用いて解析します。
Step.5:報告書作成と顧客への「修繕提案」
解析結果を、前述した「受注につながる報告書」のポイント(可視光との紐付け、緊急度の明記、論理的な橋渡し)を押さえて作成し、お施主様へ具体的な修繕提案を行います。
まとめ:ドローン赤外線調査は「どう活かすか」が重要
ドローン赤外線調査は、導入すれば自動的に儲かるものではありません。単なる「便利な技術」として導入しても、その費用対効果は限定的です。
しかし、足場コストの高騰」「職人不足と安全リスク」「価格競争からの脱却」といった深刻な課題に対し、「調査の信頼性」と「見積もりのスピード」で他社との差別化を図るための手段として有効です。
弊社では、どなたでも安全に簡単にドローン活用ができる「DroneRoofer」を提供しております。赤外線ドローンの活用を検討の際は是非お気軽にお問い合わせください。


