通常、太陽光発電設備をメンテナンスする際には、人が目視で確認します。一方で、昨今では現代ならではの点検方法として、ドローンを活用した効率の良い点検方法が注目されています。
経済産業省もIoTやAIなどのIT技術を用いて、保安作業の安全性や効率性を高める「スマート保安」を推進しており、保安規制の見直しを進めているのが現状です。
そこで今回は、ドローンを使った太陽光発電設備点検のメリットやデメリット、費用などについて解説します。建設会社やリフォーム会社の方で、ドローンを使用した太陽光発電設備点検を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
通常の太陽光発電設備メンテナンスにおける課題
従来の人力による太陽光発電設備のメンテナンスには、実は様々な課題があります。まず、それぞれの問題点を挙げていきましょう。
長い時間がかかる
従来の太陽光発電設備のメンテナンス方法では、作業に時間がかかってしまうという難点があります。
一般的な住宅の屋根に取りつける「住宅用太陽光発電設備」を点検する場合、人が目視で確認する方法があります。目視点検では、パネル表面の汚れの清掃から架台の破損確認、ブレーカーや配線まで、作業者は幅広くメンテナンスしています。
このように多くの項目を点検する必要があるため、住宅用設備のメンテナンスには、広さにより変動はありますが、だいたい約50分~1時間の時間を要します。調査時間が長くなればその分、お客様とのメンテナンス日のすりあわせが難しくなるという弊害も生じるでしょう。
人件費などの費用がかさむ
太陽光発電設備のメンテナンスには、最低でも2人の作業員が必要です。発電設備の規模が大きくなれば、必然的に必要人数も増えていきます。
人件費の高騰は、そのままお客様が支払うメンテナンス費用にも反映されるでしょう。それにより、お客様が他の業者に乗り換えてしまうことも考えられます。
また、人力での点検では、作業員の確保も課題のひとつです。少子高齢化により、日本国内の働き手が減少するなか、危険な高所作業を含む現場作業員の人材確保もまた難しくなっていくと言われています。経済産業省の調査でも、電気保安などの将来的な人材不足が懸念されているのです。
参考:経済産業省 産業保安グループ 電力安全課
見落としが発生しやすい
太陽光発電設備をメンテナンスするのは「人間」です。人が点検する以上、どうしても細かな見落としが発生してしまうケースもあるでしょう。
太陽光発電設備のメンテナンスで、たとえば「パネル表面の清掃不足」のような見落としがあれば、発電効率の低下につながります。発電効率が低下すれば、家庭への供給電力量の低下や、売電収入の減少を招きます。
このような、目視点検ならではのミスが発生してしまうのも、直接人が太陽光発電設備を点検する上での課題です。
ドローンの導入でメンテナンスにおける課題を解決
人が目視で太陽光発電設備をメンテナンスするには、時間もお金も掛かり、かつ細かな見落としが発生するケースも考えられます。
そこで、これらのデメリットを払拭できる点検方法として注目されているのが「ドローン」による点検です。カメラを搭載したドローンを飛行させることで、上空から太陽光発電設備を点検できます。具体的には、パネル表面の汚れや傷、フレームの破損や変形などの症状を確認できます。
また、ドローンが撮影した映像は、タブレットなどの端末を使ってリアルタイムで確認できます。そのため、太陽光発電のメンテナンス時に、お客様と一緒に点検内容を共有することも可能です。
ドローンで検知できる異常
点検で使用するドローンには、太陽光発電のさまざまな異常を感知する機能がついています。
具体的にドローンは 、「ホットスポット異常(落ち葉などがパネルに付着し発熱する状態)」「クラスタ(パネルを構成するセルの組)異常」「ジャンクッションボックス(太陽電池モジュールの中継ボックス)異常」「パネル全体の異常」の4種類の異常を検知することができます。
たとえば、クラスタの故障が発生すると、故障部分は発熱します。そこで、ドローンの赤外線カメラを用いてパネルの発熱箇所を検知することで、クラスタの異常に気づけるのです。
このように、ドローンを用いたメンテナンスでは空中から撮影するだけで異常を検知できます。太陽光発電設備のメンテナンスにおいてドローンは高い利便性を秘めているのです。
ドローンによる点検のメリット
ドローンによる太陽光発電設備点検には、前述したようなリアルタイムの画像共有ができたり、異常を検知することが可能だったりと、様々なメリットがあります。
ここではそのほかのメリットについて詳しく説明していきます。
短時間での点検が可能
ドローンは上空から一気に太陽光発電設備を確認するので、短時間での点検が可能です。
人力での点検作業の課題点として挙げたように、従来の方法では平均的な住宅用の発電設備で、約50分〜1時間の作業時間が必要でした。しかし、ドローンの場合、住宅用太陽光発電だと約20~40分で作業が完了します。短時間で済むので、その分、お客様側もスケジュールを組む際の負担が少なくなるでしょう。
少人数での点検が可能
ドローンの場合、操縦者が1人いれば太陽光発電設備を点検できます。少人数で点検を実施できる分、人件費を抑えられるため、結果的に利益が増えたり、低価格で点検を提供できたりするメリットがあります。
また、高所作業をドローンが代替してくれるため、現場作業員への負担が減るという点もメリットです。これまで2人でやっていた作業が1人でできるようになれば、その分作業員1人あたりの作業量も減少し、ほかの作業へ注力できたり、私生活を充実させたりできるでしょう。現場作業員への負担が少なくなれば、人材確保も容易になります。
見落としを防止できる
目視点検では見落としてしまうような箇所でも、ドローンの機能を使って高精度で点検できる点もドローン点検のメリットです。
ドローンは赤外線カメラを使って、太陽光発電設備が正常に稼働しているか確認します。異常箇所は温度が高くなる傾向があり、ほかとは異なる色で表されます。
この色の違いは、誰が見てもわかるようになっています。そのため、専門知識のない方でも、簡単に異常を確認できるのがドローンの強みです。
点検履歴を詳細に残すことができる
ドローンによる点検では、カメラを使って太陽光発電設備の状態を確認するため、点検記録を詳細に残せます。万が一点検後に異常が発生したとしても、映像や画像での記録を遡って原因を探れます。
また点検記録をクラウド上に残しておけば、いつでも記録を確認できます。そのため、お客様から問い合わせがあったときにも、早急な対応が可能でしょう。
集客や売上アップが見込める
ドローンには高画質のカメラが搭載されており、低コストながら高精度の点検が可能です。そのためドローンには、一種の集客装置として売上を伸ばす可能性を秘めています。
実際に、ドローンを使った屋根点検は他社と差別化しやすく、工事の受注につながるほどの集客効果を発揮しています。「ドローン調査を低コストで提供できるので、集客が増えた」という声もあります。
このように、ドローンを使った点検を全面に打ち出すことで、集客や売上アップを見込める可能性があるのです。
ドローンによる点検のデメリット
メリットがあれば、反対にデメリットもあるものです。ここでは、ドローン点検におけるデメリット部分について紹介します。
操縦に慣れるまでに時間がかかる
ドローンの操縦は一朝一夕で習得できるものではなく、現場で作業できるようになるまで時間がかかってしまいます。
ドローンは通常、地上から上空の機体を操作します。そのため、操縦者が「下から見ている景色」と、「ドローンのカメラに映る映像」の違いによって、前後・上下・左右の感覚に狂いが出てしまうのです。
遠近感の違いに慣れるには、練習を積むしかありません。まずは、許可が不要な場所や許可を受けた施設で、ドローンの発着陸や8の字飛行などの練習をしてみましょう。
また、業務技量を常に向上させるために、従業員が定期練習できる環境を作るのもおすすめです。毎回発行記録を取り、反復練習を繰り返してみましょう。
法律などによる飛行の規制がある
ドローン飛行でネックになるのは、法律による規制です。法律を無視した場合、罰金や懲役に処せられる可能性もあります。
ドローンの飛行は、「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」による法規制を受けています。法律では、たとえば次のようなドローン飛行が禁止されています(申請すれば飛行可能なケースもあります)。
①夜間飛行
②目視外飛行
③空港や国会議事堂などの周辺の上空飛行
④人口集中地区の上空
ドローン飛行にかかわる法規制を理解するには、知識が必要です。操縦者となる方は、ドローンスクールへ通うなどの方法をおすすめします。たとえば、JUIDA(国土交通省の要件を満たした管理団体)に属するドローンスクールに通い、操縦方法や法律を学ぶとよいでしょう。認定スクールに通い、操縦技能が認められれば認定証を発行してもらうことも可能です。
ドローンでの点検に関するよくある質問
ドローンでの点検に関してよくある質問について、回答します。
安全性を確保できている?
安全性の確保については、ドローンの機体にもよります。弊社で販売しているドローンの場合は、急に落下しないために正確に組み立てられています。
ただし、万が一のドローンの落下に備えて、飛行可能条件を満たした環境で飛ばすことを強く推奨します。悪天候で飛ばした場合、操縦不能で設備に激突し、損傷を与えるケースも考えられます。
点検の精度は大丈夫?
見晴らしの良い上空から高画質のカメラで太陽光発電設備を点検するため、従来よりも高い精度で点検を実施できます。
従来の人による目視の確認では、場所や角度によってどうしても確認しづらい箇所があり、細かな見落としが発生してしまうこともありました。
しかしドローンの場合は、高画質カメラによって、上空から太陽光発電設備全体を細かく確認できます。さらに、ドローンの赤外線カメラを使うことで、人による目視確認よりも高精度で点検できるのです。
ドローン操縦の練習はどうやってするの?
ドローンの練習方法には、主に「ドローンスクールに通う方法」と「操縦サポートツールを使う方法」があります。
まずドローンスクールについては、ドローンの操縦研修と民間資格をセットで提供するドローンスクールが増えています。ドローンスクールでは、操縦方法から法規制の理解にいたるまで、ドローンのあらゆる知識を体系的に学べるようになっています。ドローンスクールに通う際にかかる費用相場は、おおむね1人あたり15万~20万円です。
一方で、飛行補助や事前の飛行経路設定などの補助サポートツールを使う方法もあります。最近のドローンはますます便利になっており、技術が足りなくても補助サポートツールで、誰でも簡単に操作できる機体もあります。
補助サポートツールの搭載された機体で、基本的な操作のみ練習するのもおすすめです。
天候に左右されないの?
ドローンは、天候に左右されます。特に雨天時においては、太陽光発電設備点検での使用は推奨しておりません。なぜなら、ドローンメーカーは雨天時の飛行を禁止していることが大半であるためです。
また、雨天でなくても、地上風速が5m以上の日には飛行するのは控えましょう。操作不良で不意に転倒し、近隣の人・建物への墜落や、機体の落下などの被害発生が考えられます。そのため、太陽光発電設備の点検でドローンを使う場合は、天気のよい日を選ぶようにしましょう。
太陽光発電設備の点検に適したドローンを選ぶコツは?
屋根点検に最適なドローンを選ぶには、「機体の飛行安定性」「操縦性」「高品質の撮影性能」の3つを基準に選ぶのがおすすめです。
・機体の飛行安定性
ドローンの操縦は難しいですが、安定性が高い機体を選べば、その分操縦は容易になります。障害物感知センサーや、位置センサー、気圧・風圧センサーなどの機能がついたドローンであれば、操縦者の技量に関わらず、半自動的に機体を安定させてくれます。
・操縦性
操作の容易さもドローン選びには重要です。ドローンというと、操縦桿のついたコントローラーで絶えず操作しつづけるイメージですが、現在ではプログラムを利用し半自動、もしくは全自動で操縦可能な機体もあります。このような機体であれば、万が一の場合のみ手動で操縦するだけでよいので、比較的簡単に操縦できます。
・高品質の撮影性能
高画質のカメラが搭載されているドローンであれば、上空からでも太陽光パネルの細かな汚れまで確認可能です。ズーム倍率が高いカメラなら、遠方からでも設備に近づいて確認ができるうえ、光学ズーム搭載機であれば画像の劣化も最小限に抑えられます。お客様との画像共有にも、撮影性能の高いドローンがおすすめです。
DroneRooferの導入で太陽光発電のメンテナンスを効率化
弊社が提供している「DroneRoofer(ドローンルーファー)」は、ドローンでの外装点検を行うために開発された、パッケージサービスです。そのため、屋外でのドローン飛行による高所点検のノウハウに優れており、太陽光発電設備のメンテナンスにも応用できます。
さらに2019年からは赤外線カメラを搭載したドローンにも対応したため、従来の光学カメラでは把握しきれなかった太陽光発電設備の異常も検知可能になり、効率的なメンテナンスが可能です。
DroneRooferは、業務に合ったドローンの選定から、iPadで簡単かつ安定的にドローンを操縦できるオリジナルのアプリの提供、飛行許可申請、導入後の活用コンサルまでをワンパッケージで提供しています。そのため、これまでドローンによる設備点検の経験がない事業者様でも、導入直後から現場作業にドローンを取り入れられるでしょう。
ドローンでの太陽光発電設備点検では、従来の目視点検よりも効率がよく、人件費を抑えつつ、精度の高いメンテナンスが可能です。
弊社提供のDroneRooferは、機体の選定、飛行申請の代行、導入後の活用コンサルまでワンパッケージでご提供しております。ドローンでの点検に興味がある業者様は、下記フォームから資料がダウンロードできますので、ぜひご覧ください。