空中を自由に飛行するドローンには、さまざまな面白い使い方があります。本記事では、各業界の実際の現場で産業用ドローンがどのように活用されているか、具体的な例を挙げて紹介します。また、ドローンの手軽な導入方法についても触れています。本記事を読めば、ドローンの使用法について基本イメージを具体的に固めることができるでしょう。ぜひお役立てください。
貴社の状況に合う適切な、 DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
分野別のドローン活用方法
近年、ドローンの活用事例は各分野で広がり続けています。ドローンは「小型・軽量で、比較的手軽に無人飛行させられる」という特性から、従来の方法では不可能だった分野や用途で、たくさんの成果を上げているのです。本記事ではそんなドローンの、分野ごとのさまざまな活用法を紹介します。
それでは以降、実際の現場でどのように利用されているのか、分野ごとに大まかな傾向を見ていきましょう。
農業
農業の分野における従事者数は年々減り続けており、なおかつ高齢化が進んでいます。そのため、従来のままのやり方では「従事者一人あたりの労働の量的負担が増えすぎてしまうこと」が非常に危惧されているのです。
農林水産省が発表した『農業分野におけるドローンの現状と今後の展望』でも、農業従事者数が近年では毎年10万人ほど減少し、従事者全体の7割近くを65歳以上が占めることが指摘されています。ドローンをはじめとした先端技術の導入によって、作業負担を減らすとともに、業界への新規参入者を増やすことが必要であると述べられています。
参照元:農林水産省
農業分野において、ドローンは主に農薬散布に活用されています。産業ヘリと比べてドローンが特に優れている点としては、コンパクトかつ軽量であることです。そのため一人でも農薬の積み下ろし作業ができます。
従来の産業ヘリでは不可能だった山間部周辺などの小規模な農場での散布も、小回りが利き、狭い範囲の散布でも細かく制御できるドローンなら行えます。騒音も少なく、時間帯も気にする必要がありません。
防除を業者に委託した場合、春のうちに散布する日程を決めるため、必ずしも最適のタイミングで防除できませんでした。自分でドローンを導入していれば、防除用の薬剤をいつでも散布可能な点もメリットです。
物流
オンライン通販を利用する人は年々増え続けており、それに伴って物流業界の負担も大きなものになっています。配送を担うドライバーの就労環境の悪化は深刻な問題となっており、長時間労働や賃金の安さからくる人手不足が叫ばれています。
もし配送にドローンを使用することができれば、ドライバー不足への改善策として非常に有用なものになりうるとして注目を集めています。
日本国内でのドローンの飛行高度は150m未満と定められていますが、上空150m程度を飛行できれば地上の渋滞を避けることは可能です。障害物の影響も受けづらいため、直線的な配送ができ、配達速度も上がります。
日本ではまだドローン物流の導入は進んでいません。一方、ドローン先進国の中国では、コーヒーのデリバリーにドローンを利用している都市もあります。アメリカやスイスでも、ドローンは医薬品の配送に活用されています。
点検・整備
建築物の定期点検の際、特に目視が難しい高所においてドローンが撮影した高解像度の写真を利用する事例が出てきています。
これまでは足場を組んで担当者がそこに登り、目視での高所点検を行っていました。むろん危険が伴いますし、交通量の多い場所などでは大規模な交通整理も必要になってしまうため、費用もかさんでしまう点が問題でした。
しかしドローンを利用すればコストが抑えられますし、人間が高所に登ることもないので、作業の安全性も大幅に高まります。また、作業時間も格段に短くなりました。
空撮
近年、広告のメインストリームが動画に移っていくにつれて、「大量に配信される広告動画の内容を他社と差別化していくこと」が重視されるようになっています。その観点で言えば低空・狭所での撮影ができるドローンを用いた空撮は、映像のクオリティアップを考える上で新たな可能性を秘めています。
また、従来のヘリコプターを用いた空撮と比べると、破格の低コストで撮影できるのも大きなメリットです。
測量
建設業界でのドローンの活用方法の1つとして測量があります。各種センサーやカメラを搭載したドローンで上空から測量を行い、広い範囲の地形を三次元的に測れるのが特徴です。低コストかつ少人数での測量が可能で、地形の3Dモデルを容易に作成できます。
また、有人航空機を用いた測量と比べて、より低空から撮影を行うため、得られる画像データの解像度が高い点もメリットと言えます。
スポーツ
スポーツ分野では、アメリカを中心にドローンを活用する事例が増えてきています。サッカーやラグビーなどでは、選手一人ひとりの動きを上空から録画し、それぞれのプレーを後から俯瞰的に確認できるようになりました。そのため、より大局的な戦略を意識した練習を行えて、試合内容の分析も容易にできるなど、選手たちの技術向上にも一役買っています。
もちろん、試合を観戦しているファンにとっても、ドローンがもたらす上空からの視点は、ゲームの新たな楽しみ方だと言えるでしょう。
業界別のドローン活用事例
ドローンが活用されている事例について、業界別に具体的な事例を紹介します。ドローンの特性を活かした、従来では考えられなかった新しい視点での業務を見ていきましょう。
インフラや橋梁などの点検
交通インフラの整備・点検においてもドローンの活躍の幅は広がっています。
アメリカの例を見てみましょう。多数ある橋梁の点検は定期的に行う必要があります。従来の方法では、「検査官が目視で点検し、打診を行って橋梁の老朽化の状態を確かめていく」という手段が採られていました。この方法は、点検する部分まで検査官が接近する必要があるため、特殊なトラックに搭載したゴンドラに乗って点検を行ったり、ロープで体を固定して橋桁まで降りていったりと、危険を伴う上にコストのかかるものでした。
これら手作業で行っていた膨大な数の橋梁の点検が、近年ではドローンによる動画撮影とそのデータ解析に切り替えられています。ノースカロライナ州が利用するドローンを運用しているSkydio社の下記発表によれば、同州において「橋梁の老朽化を感知するための点検にかかるコスト」を75%削減できたとのことです。
参照元:DRONELIFE.com
参照元:Drone Autonomy for Bridge Inspection. The Newest Tool on the Inspector’s Belt.
屋根外装工事やリフォーム事業での活用
外装工事を受注する際に、屋根に上ることなく簡単に、かつ安全に現地調査を済ませるためにドローンを活用している事例もあります。
株式会社CLUEが開発したドローン操縦アプリ「DroneRoofer」は、複雑な操作体系を必要とせず、ドローンを自動操縦して屋根の上の写真を撮影できるものです。ドローン一式とiPadだけでなく、飛行のために必要な許可申請とドローン飛行に際する保険、ドローンの導入とアフターサポートまでがパッケージ化されています。
DroneRooferを導入しているある株式会社コトブキは、高所など点検できる範囲が広くなり、新しい仕事の受注につながったとのことです。ドローンを導入していること自体やドローンで作業している様子が興味を引き、宣伝になるという側面もあります。
参考:所要時間は5分!ドローンで「足場不要の屋根調査」が実現し、ミニクーパーで訪問する営業スタイルに
自治体でのドローン活用例
日本国内の自治体で、ドローンが活躍している事例もあります。日本でのドローンの導入は遅れ気味であるとされています。しかしそれは、使用上の安全を確保してから慎重に導入しようとしているから、という側面もあります。
以下では、活用例を紹介していきましょう。
福島県における長距離配送でのドローン活用
以前、東日本大震災で被害を受けた福島県では、被害にあった地域に新たな産業を生み出すことを目的とした取り組みの一環として、ドローンおよび災害対応ロボットの実証実験拠点「福島ロボットテストフィールド」の整備が進められています。
また、同県の南相馬市では、2017年に世界で初めて完全自律飛行ドローンを用いた長距離荷物配送を成功させています。
千葉県における宅配ドローン
千葉県では、千葉市内に存在する国家戦略特区において、ドローンを用いた宅配サービスの実現に向けて実証実験を進めています。
2016年にドローンによる物資運搬や垂直飛行を成功させたほか、2017年には市内3箇所で飛行実験場「ドローンフィールド」を開設しており、民間企業に向けてドローンの無料レンタルも行っています。さらに同県は、2030年までにドローンによる宅配サービスを実現可能にすべく、種々の実験を続けている最中です。
佐賀県における農水産業でのドローン活用
佐賀県では、農業および水産業の分野でドローンが活躍しています。
有明海で行われているノリの養殖事業において、ドローンを用いて海面を撮影し、ノリの生育に悪影響を与える病害や赤潮の発生を早期に検知して報告するシステムの実証実験が行われています。
農業の分野においてもドローンの監視システムは威力を発揮しており、水稲を枯らす害虫ウンカの被害に見舞われないよう早期発見するのに役立っています。
ドローン市場の拡大
インプレス総合研究所の下記『ドローンビジネス調査報告書2021』によれば、ドローンを扱うビジネスの市場は2016年ごろから拡大をはじめ、2019年度には1,409億円、2020年度では急成長して1,841億円まで拡大される見込みです。
さらに、同書の予測によれば2025年度には6,468億円にまで上昇していると見込まれています。これは2019年度の数字の約4.6倍にものぼる数字であり、ドローンビジネスの分野がいかに急激な成長を遂げているかを示すものとなっています。
参照元:インプレス総合研究所
ドローン活用のメリット
現場においてドローンを活用するメリットとはどのようなものなのでしょうか。ここでは要素を一つずつ挙げて、細かく解説します。
災害時などで危険な場所への進入が可能
小型無人機のドローンは、災害地や危険区域、もしくは高所などへの進入も可能であることは、大きな利点と言えます。
「災害救助のために救助隊が命を危険にさらし、二次災害に遭う」といった事例を減らすことが可能です。高所や山間部などの被災状況を確認することも容易なため、さまざまな現場で活躍できるでしょう。
高画質の写真や映像が撮影可能
ドローンは有人の固定翼機と比べると低い高度で運用でき、雲が入り込むこともなく高精度・高画質な写真や映像を撮影できます。
広範囲の撮影をする上でも、ドローンを用いた測量方法は国土交通省も推進するもので、従来の有人飛行よりもコスト・効率の両面からメリットがあると期待されています。
安全かつ低コストで行える
ドローンを利用すれば、立ち入りの難しい沼地や森林、ほかには崩落の恐れがある崖付近などの危険な場所での作業も安全に行うことが可能です。高性能なドローンが以前よりも安く入手できるようになったこともあり、従来の方法よりも低コストで地形の3Dモデルを作成することが可能となっています。作業員も少人数で済みます。
ビルの外壁や家の屋根、煙突などの点検などでは、足場を組んでの危険な高所作業も減らせるでしょう。
ドローン活用の課題
ドローンを活用するメリットが広まる一方で、運用を妨げるいくつかの課題も浮かび上がってきました。
1つ目は、バッテリーの稼働時間に制限が多い点です。現在主流となっている電動マルチローター機を例に挙げると、10kg程度の荷重がかかった状態で20km以上の距離を飛行し続けられる機体はあまり多くありません。
2つ目はドローンを運用させるための環境整備です。現行法では「ドローンが視認できない空域での運航はできない」など、ドローンの能力を活かすための法整備は不十分なままであることが問題となっています。
ドローンで効率的に調査・点検ができるDroneRoofer
屋根の点検業務において、今からドローンを導入することを考えるなら、DroneRooferの利用がおすすめです。DroneRooferには、ドローン利用の飛行許可申請の手配サービスも付属しているため、法的なステップを含めてドローン導入・活用プロセスがスムーズに進展させていけるでしょう。
またDroneRooferは、ドローン本体に加え、操作用のiPadや、アプリも一括したパッケージです。これを利用することで、知識のない状態からでもドローンを積極的に活用していけるようになります。
まとめ
産業用ドローンが各業界でどのように利用されているか、活用事例や運用上のメリットと課題を解説しました。
有翼機やヘリコプターと比べて小型かつ軽量で、運用コストも格段に安いドローンは、人材不足にあえぐ業界を救う一手になることが期待されています。