近年さまざまな機能を搭載したドローンが発売され、いろいろな場面でドローンを使用することが多くなってきました。しかしドローンはどこでも自由に飛行させられるわけではなく、「航空法」など、さまざまな規制を守る必要があります。そこで本記事ではドローンの法規制について解説します。
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目次
航空法とは
航空法とは、主にドローンの衝突や墜落の被害を防止するために制定されたものです。そのため、航空法ではドローンの飛行可能空域を制限しています。また飛行区域の制限だけでなく、飛ばし方にもルールが設けられています。つまりドローンを飛行させる際は、「航空法」が定める「飛行禁止区域」と「飛行方法」を守る必要があるのです。
なお、この改正航空法が制定されたきっかけは、2015年に首相官邸屋上にて所有者がわからないドローンが発見されたことです。この事件は現在、「総理官邸ドローン落下事件」と呼ばれています。これをきっかけに、ドローンにまつわる法律を整備しようという動きが強化されました。
この法整備によって、制限された空域でドローンを飛行させたい場合は、国土交通大臣の許可を取る必要が生じました。こうした許可の申請方法や、空域や規制内容については、また後ほど詳しく解説します。
航空法における「ドローン等」と「無人航空機」の違い
「ドローン等」とは、人が乗ることができないものを指しています。そして、遠隔操作または自動操縦により飛行できるものを指します。
「無人航空機」とはドローン等のうち、200g以上の重量のものを指します。重量は「本体とバッテリー両者の合計の重さ」で測ります。
航空法で禁止されている4つの飛行空域
航空法では、航空機への衝突の可能性がある場所や、ドローンが落下した場合に人に危害が加わる恐れがある場所で飛行を制限しています。
制限されている場所で飛行させたい場合は、国土交通大臣からの許可が必要です。自身の私有地である場合も、飛行制限空域に該当する場合は許可の申請が必要となります。
150m以上の上空
まず、150m以上の上空は飛行禁止区域として定められています。
主な理由は、航空機との衝突を防ぐためです。
そのため、地表または水面から150m以上の上空での飛行は、一律で制限されています。
150m以上で飛行をさせる場合は国土交通大臣の許可が必要です。
また、山など地表に高低差がある場合は、飛行禁止区域の上限も高低差を考慮したものとなります。
空港周辺
そして、空港等周辺の上空も飛行禁止区域とされています。
空港周辺の規制空域は少し複雑で、空港を中心にすり鉢状に設定されており、空港に近いほど規制空域は低く、遠いほど高くなっています。
航空機は、空港を基点に徐々に上昇、または下降していくためです。
そのため、空港からの距離に応じて規制される高さが異なります。
また、この規制空域で飛行させる場合も、国土交通大臣からの許可が必要です。
飛行申請時には空港設置管理者との調整が必要となります。
人口集中地区
人口集中地区も飛行禁止区域とされています。
基本的に東京などの都市部はほとんどこの地区に当てはまります。
詳しい人口集中地区は、下記の国土地理院のサイトで確認できます。
参考:国土地理院
人口集中地区では、たとえ自己所有地や河川敷であっても国土交通大臣の許可が必要となります。
ただし例外として、屋内での飛行や、周囲にネットが設置されている屋外であれば、国土交通大臣への申請は必要ありません。
緊急用務空域
緊急用務空域も飛行禁止区域として定められています。
緊急用務空域とは、火災などの災害が発生した場合に、消防や救急といった緊急用務を航空機が行う可能性のある空域のことです。こういった緊急業務を、ドローン飛行が邪魔してしまわないように、定められています。
飛行空域を問わず順守すべき7つのルール
また先程も述べたとおり、飛行区域の制限だけでなく、飛ばし方にもいくつかルールが設けられています。具体的には、以下のような飛ばし方は禁止されています。
飲酒時の飛行禁止
アルコールの影響で正常な運転ができない可能性があるため、飲酒時の飛行は禁止とされています。こちらは国土交通大臣の承認対象ではありませんが、すべての飛行行為に対してこれを遵守する必要があります。航空法上の義務であるため、違反した場合は罰則の適用対象です。
危険な飛行禁止
飛行する上では必要ないような動きなど、他人への迷惑が掛かる飛行方法は禁止されています。
こちらも航空法上の義務であるため、違反した場合は罰則の適用対象となります。
夜間での飛行禁止
日の出前または日の入り後、夜間に飛行させる場合には、国土交通大臣からの許可が必要です。
この場合の日の出、日の入り時間は国立天文台が発表する「日の出」、「日の入り」の時刻となり、地域により時刻が異なります。
見通しの悪い夜間よりも、日中の方がドローンを安全に飛行させることができるためです。
そのため航空法では、国土交通大臣の承認がない場合は、ドローンの夜間での飛行を禁止しています。夜間にドローンを飛行させたい場合は、必ず国土交通大臣に申請するようにしましょう。
目視外飛行の禁止
ドローンと周辺物の位置関係を捉えるために、視界の確保は重要です。
そのため航空法では、国土交通大臣の許可がない場合は、目視できる範囲外での飛行を禁止としています。目視できない範囲でドローンを飛行させたい場合は、国土交通大臣に申請しましょう。
距離の確保
人または物との距離が30m未満になる距離での飛行は、国土交通大臣からの許可がない限り禁止とされています。ここでいう「人」とは「関係者以外の者」のことで、「物」とは「関係者の所有するもの、または管理するもの」以外の事物です。つまり、ドローンを飛ばしている当人と無関係な人・物には接近させすぎてはならない、と規制されています。
ドローンと人や物との距離が近くなれば近くなるほど、衝突するリスクは高まります。そのためドローンを飛行させる場合は、周囲と十分な距離を取ることを心掛けましょう。そして、人や物から30m未満の距離でドローンを飛行させたい場合は、国土交通大臣に申請し許可を得る必要があります。
催し場所での飛行禁止
多くの人が集まる催し場所の上空では、国土交通大臣の許可なしでの飛行が禁止とされています。この催しとは、特定の場所や日時に開催されるものであり、突発的に多くの人が集まってしまった場合などには当てはまりません。
また、規制がかかる時間は原則として催しの開場時から閉場時までとされています。
多くの人が集まる場所では、ドローンが人に接触するリスクや、何かに衝突するリスクも高まるため、このような規制が定められています。そのため多くの人が集まる催し場所でドローンを飛行させたい場合は、国土交通大臣から許可をもらい、安全に注意して飛行させましょう。
危険物輸送の禁止
ドローンで危険物を輸送する場合は、国土交通大臣の許可が必要となります。
許可が得られない場合は危険物の輸送は禁止です。輸送禁止とされる危険物とは、爆発性または易燃性があり、人や物に危害を与える危険性があるとされるものです。詳しくは国土交通省令で定められています。
ドローンにより危険物を輸送する場合、危険物の漏出や爆発により、ドローンの墜落などのリスクを伴うため、こちらの規制がされています。
航空法違反時の罰則
これまでも述べたように、ドローンの飛行は航空法にてさまざまな規制がされています。
それらの規制を違反してしまった場合はどのような罰則があるのでしょうか。
航空法違反時の罰則には懲役刑はありませんが、書類送検がされます。また最大で50万円以下の罰金も発生します。
また立件・送検・裁判の過程を経て罰金刑が科されるため、判決までにとても多くの時間がかかり、多額の罰金を請求されます。
さらに実名公表・前科がつくため、割にあわない社会的制裁を受けます。
そのためドローンを飛行させる場合は、航空法をきちんと理解し、誤っても違反しないよう細心の注意を払いましょう。
ドローン関連の法律
ドローンに関する法律は航空法だけではありません。ドローンの飛行を規制するこれらの法律に違反すれば、罰則を受ける恐れもあります。以下に紹介するので、参考にしてください。
小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法とは、国が定める重要施設付近での小型無人機等の飛行を禁止とする法律で、2016年4月7日に施行されました。具体的な重要施設とは、国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館、原子力事業所などであり、詳細は警視庁のサイトにてまとめられています。
これらの敷地や区域、またその周辺300メートルの地域の上空において、小型無人機等の飛行が禁止とされています。
このような禁止区域での飛行など、小型無人機等飛行禁止法の違反者に対し、警察官等は機器の退去やその他必要な措置に関する命令ができます。禁止区域での小型無人機等の飛行を行った場合はもちろん、これら警察官からの命令などに違反した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
ここでいう小型無人機等とは、小型無人機や特定航空用機器のことを指します。
小型無人機とは、「人が乗ることはできないが、遠隔操作や自動操縦により飛行させることができるもの」、つまりいわゆるドローンを指します。
一方特定航空用機器とは、人が乗ることのできる気球やパラグライダーなどを指します。
また、この法律で注意すべき点は、規制の対象を小型無人機としており、「200g以上と制限していない」点です。そのため、200g未満のトイドローンなどもこの法律では規制の対象となります。もちろん、違反した場合は罰則が科せられるため注意が必要です。
また例外として小型無人機等飛行禁止法の規制の対象外となる場合もあります。
・対象施設の管理者に同意を得た場合
・飛行させる土地の所有者が飛行させる場合
・所有者から同意を得たものが飛行させる場合
・国または地方公共団体の業務の実施のために飛行させる場合
などです。
これらに該当する場合でも勝手に飛行させてよいわけではなく、飛行させるエリアを管轄する警察署を経由し、都道府県公安委員会に通報する必要があります。
その場合は飛行させる48時間前までに、所定の通報書を提出します。
あまりこのような場所で飛行させる機会はないと思いますが、規制される範囲が300メートルと広範囲なため、うっかりと規制範囲内に飛行させてしまわないよう注意しましょう。
道路交通法
道路交通法では、ドローンを公道で飛行させる場合に、必要に応じて道路使用許可が必要と定められています。許可が必要な場合とは、「道路に危険が及び、交通の円滑を阻害させる恐れがある場合」や「道路に人が集まり、一般交通に影響を及ぼす恐れのある場合」などです。
これらに該当する状況において無許可で飛行させた場合は、道路交通法違反として罰則を受けることになります。こういったリスクがない場合は、ドローンで道路上空から撮影するだけなら、道路使用許可は必要ありません。
また、ここでいう「道路」とは車道のみでなく歩道も含まれます。
そのため、歩道でドローンを使用する場合も、道路使用許可を要する場合は申請が必要になります。
具体的に道路交通法違反になる行為とは以下のとおりです。
例えば、ドローンの離着陸時に使用するランディングパットを交通妨害の可能性がある道路に置いた場合や、ドローンを操作する人自身が交通の妨害になるような行為をした場合などです。交通の妨害になるような行為とは、「ドローンを操作する人自身が、撮影のために道路に立ち止まったりしゃがんだりする行為」です。
また、それだけでなくドローンと人や自動車などの距離が30メートル未満になる場合は、道路使用許可とは別に国土交通大臣の許可も必要です。
民法
民法207条にて、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と定められています。要するに、個人や企業が土地を私有地している場合、その所有権は、その土地の上空や地下にも及ぶため、許可なく他人の私有地を飛行させてしまうと所有権の侵害に値してしまいます。地上から約300メートルまでが、土地所有権の上限とされています。
こうした侵害を受けた土地の所有者は、入ってきたドローンを離脱させたり、ドローンが入らないことを求ることができます。また何らかの損害が生じた場合には、ドローン操縦者などに対して損害賠償請求を行うことができます。例えば、「ドローンにて撮影した映像にプライバシーを侵害するような内容が写っている」「飛行していた土地内でドローンが墜落し、人や物に損害を与えた」といった場合です。
先述のように、航空法などで規制を受けている場所では国土交通大臣からの許可を得る必要があります。しかし国土交通大臣の許可があったとしても、民間人の私有地でドローンを飛行させることはできません。当然ですが、他人の私有地でドローンを飛行させたい場合は、その土地の所有者にも許可を得る必要があります。
ドローン利用時の申請方法
基本的には書類をダウンロードして紙面で提出を行います。
国土交通省が運営する「ドローン情報基盤システム(DIPS)」にてオンライン申請を行うこともできます。またこちらの申請サイトのDIPSでは、過去の事故情報も確認可能です。
まとめ
ドローンの飛行は、法律によりさまざまな規制がされています。航空法以外の法律でも規制が細かく定められており、それぞれに応じた機関に許可を申請する必要があります。
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