外装案件の成約率80%を実現!ドローンと現場知の融合で、高付加価値のリフォーム提案を実現
小杉 忠様、遠藤 紀男様、新井 駿様
大阪府を中心に、全国で戸建て・マンション向けリフォーム事業を展開するアートリフォーム様は、外装リフォームにおける現地調査の安全性と効率性を高める手段としてDroneRoofer(ドローンルーファー)を導入。これにより足場を組まずに屋根の現地調査を行える体制を確立し、提案の説得力を高めながら、外装案件の成約率向上にもつなげています。今回、同社でDroneRooferの運用を担う小杉 忠様、実際の営業を担う遠藤 紀男様、新井 駿様に導入の背景や実際の活用法、そして今後の展望についてお話を伺いました。

貴社の状況に合う適切な、
DroneRooferの活用方法がわかります。
- ・外装点検を誰でも、安全に実施したい
- ・積算や見積など提案準備を効率化したい
- ・リフォーム提案で他社と差別化したい
目次
リフォーム業界の未来を見据えた事業戦略。アートリフォームが挑む、価値あるリフォームの実現
——事業概要についてお聞かせください。
小杉様:弊社では戸建て住宅やマンション向けのリフォーム事業を全国に展開しています。2025年現在、社員数が300名の規模まで拡大し、ようやく中堅企業の仲間入りを果たしたところです。とはいえ、これはあくまで通過点でしかありません。2030年には売上300億を目指しており、その実現に向けて日々組織体制や戦略の最適化を進めています。
また、「業界の先頭集団へ」というビジョンを掲げ、リフォームのサービスや業界そのものの魅力を高めるための取り組みも特徴です。従来の小中規模リフォーム領域において弊社は大手ではありますが、一方で、性能向上型の大規模なリフォーム案件を中心にみますと、大手ハウスメーカーさんや大手ビルダーさんといった競合が強く、弊社はまだまだ後発です。10年後には、真にこのリフォーム業界の先頭に立つため、その実現のために社員の待遇改善や商品戦略、そして今回のドローン活用といったデジタル技術の強化といった全方位の挑戦を続けています。
——リフォーム業界の特徴と課題について、どのように捉えていますか?
小杉様:リフォーム業界は今、低単価・高回転型の水回りリフォームと、高単価・高付加価値型の性能向上リフォームと、大きく二極化しつつあります。弊社は後者、つまりフルスケルトンや断熱・耐震といったリフォームとしてのサービス価値がより高い領域に注力する方針です。
この二極化の背景には、2025年4月の建築基準法の改正に関わりがあり、経験技術や資格を持たない者による欠陥工事や違法建築の排除、耐震工事や省エネ対策の加速、カーボンニュートラルの達成などがその目的ですが、大型リフォームや性能向上リフォームが簡単には行えなくなるという非常にハードルが高いものとなりました。
こうした市場の変化を受けて私たちは法令遵守を徹底し、性能や品質、安全性が担保されたリフォームを提供することで、業界の信頼性そのものを高めていきたいと考えています。
足場を組まず、屋根を安全に現地調査する代替案として浮上したドローン活用
—— ドローン活用の背景には、どのような課題があったのでしょうか?
小杉様:そもそも足場の無い状況での屋根調査は労働安全衛生法で禁じられておりますが、無料見積調査の段階で高額となる仮設足場設置費を誰が負担するのかという問題が存在し、業界ではグレーゾーンでした。しかし言うまでもなく、現地調査中に屋根から転落するといった事故は、絶対に起きてはなりません。もし一歩間違えて転落事故が起きてしまえば重大な労働災害となり、大切な従業員が取り返しのつかない事態になる可能性もあります。また、それがお客様の敷地内にて起こることは万が一でもあってはならないことです。そのため、これ以上現場での転落リスクは許容できないと判断し、職人が屋根に登らずに現地調査できる代替案としてドローンの活用にたどり着きました。
リフォームにおける屋根の現地調査では、大まかに瓦の材質や工法、重量や劣化具合などを調べる詳細確認と、屋根の形状及び面積を計算割り出しする2つの作業があるのですが、だいたいの所要時間は30~40分ほどです。さらに職人が屋根に登って現地調査をしたとしても、全てが屋根工事の成約に繋がるわけではありません。しかも耐震工事や性能向上工事においては、特に現状雨が漏れておらず、お客さまの要望に屋根調査があるわけでもない中で、既存状況の確認(インスペクション)として屋根や外装調査を行なう必要性があるわけです。1時間もかからず終わり、受注につながるかどうかも不確かな現地調査のためだけに、20万円前後の費用をかけて足場を組むことは、お客さまと私たちにとって双方に非合理的です。
——ドローンの導入は、どのような事業インパクトが期待されるのでしょうか?
小杉様:住宅のリフォームは大きく内装工事と外装工事に分かれます。内装工事はデザイナーや設計部門による工数が多く、かつ工事期間も長くなりがちです。その一方、外装工事は打ち合わせや現地調査の回数が比較的少なく済み、お客さまの在宅時間に縛られずに工事できるため、かかる経費や時間が圧倒的に少ないのです。故にリフォーム事業の売上、利益率を高めるために外装工事は欠かすことができません。そのため、ドローンによって外装工事の作業を効率化することができれば、リフォーム事業の実績にも大きく貢献することができると考えました。
資格や保険、飛行許可など、ドローン操縦の不安を解決するパッケージを評価
——「DroneRoofer」をお知りになった当時の状況を教えてください。
小杉様:以前からドローン自体には興味があったのですが、私の中で「屋根職人の目線に匹敵する現地調査が、ドローンで本当にできるのか?」という疑念があり、なかなか踏み切れずにいました。
また、ドローンを単体で購入して自己運用することも検討しましたが、操縦ライセンス制度に則った国家資格(技能証明)の取得や飛行許可の申請、万が一の保険対応など、多くの管理業務が発生することもネックです。将来的には私だけでなく、現場の社員もドローンを操作できる環境を思い描いていたため、ドローンをシステムとして一括管理・運用できる仕組みを求めていました。
そんな疑念と理想像を考えていた頃に展示会で出会ったのが、「DroneRoofer(ドローンルーファー)」です。ドローンの操縦から撮影・積算・報告書の作成までがパッケージ化されており、さらに法令対応も任せられるという、ドローン操縦の技術頼みではなく、仕組みで安全性を担保できる点が魅力的であり、これであれば私が抱えていた課題や悩みを一括で解決できると判断しました。
——「DroneRoofer」を導入いただいた決め手をお聞かせください。
小杉様:「DroneRoofer」の価値は、単にドローンを飛ばせることではなく、その撮影データを通じて屋根の状態を正確に伝え、お客さまの不安を解消し、納得感のある提案につなげられる営業ツールとして活用できる点にあります。私が撮影した画像・映像から報告書を作成し、それをもとに営業担当者がお客さまに説明するというプロセスを確立することで、属人性を排除しつつ、提案の質を保てる体制が整えられると判断しました。戸建て住宅における耐震性や性能向上需要が今後ますます高まる中で、安全性と提案力を両立させる基盤となることを期待し、導入を決定しました。
元瓦職人の知見とドローン撮影の組み合わせ。いざというときのサポート体制を高く評価
——「DroneRoofer」の活用状況や工夫しているポイントについて教えてください。
小杉様:関西エリアを中心に月5〜6件ほどの頻度で、戸建ての性能向上リフォームや外装改修工事案件でドローンを活用しています。実際の流れは、各地の営業担当者が屋根の現地調査が必要と判断した際に連絡してもらい、私がドローンを飛行・撮影し、報告書と見積書の作成までを行います。その結果をもとに、営業担当者がお客さまに屋根のリフォームをご提案するという流れです。
私はかつて瓦職人として現場に立っていたこともあり、ドローンの撮影と報告書の作成にはその頃の経験を活かしています。台風や雨漏りなど、屋根の欠損や今後のリスクを正しく伝えるためには、屋根の材質や構造、立地、気候までを理解した上で撮影角度や構図を工夫することが重要です。
たとえば、沿岸部の住宅においての金属瓦は錆びの進行を早めたり、景観条例のある地域においては施工可能な瓦の種類が決まっていたり、ドローンによる空撮で建物だけでなく、俯瞰で周辺環境も撮影することで、より正確な報告につなげています。
——ドローン運用面でのサポートや、トラブル対応に対する評価はいかがでしょうか?
小杉様:過去に一度だけ、お客さまの敷地内にドローンを落としてしまったことがあります。まずはマニュアル通りにCLUE社の担当の方へ連絡したところ、冷静な指示をいただいたことで冷静に対応することができました。その後の保険対応もとてもスムーズで、代替機もすぐに届き、安心して再飛行に移れたのが印象的です。
また、人口密集地や空港周辺など、飛行可否に迷いがある場所では「DroneRoofer」のアプリがGPS連動で規制情報を自動表示してくれるので、その場で判断が可能ですし、「この場所は警察に相談すべきか」など、細かなアドバイスもCLUE社に頼れるのが心強いですね。ドローン機材というハードだけでなく、その裏にある仕組みとサポートのおかげで安全な現地調査を実現できています。
ドローンを活用した外装案件の成約率は80%。他社提案と差別化し、説得力ある提案を実現
—— 「DroneRoofer」の導入によって、どのような成果が得られていますか?
小杉様:2025年に私がドローンによる現地調査を実施した案件はインスペクション含めおよそ30件でした。そのうち、屋根と外壁のみの外装案件に絞ると現在成約率は約80%にもなります。弊社はもともと内装案件の割合が高かったのですが、「DroneRoofer」の導入によって内装・外装の複合工事の受注を増やしていきます。
遠藤様:ドローンによる現地調査によって、他社の提案との差別化にもつながっています。他社の報告書では、ベランダから棒を伸ばして撮影した屋根の写真が使われており、正確に屋根の状況を把握できているかは疑問です。どうしても撮影できる角度や範囲が限られますし、屋根全体を俯瞰した写真は撮影できません。それに対してドローン撮影による空撮では、屋根全体、物件の立地を俯瞰で可視化することができるため、説得力が違います。
また、瓦は形状やデザイン、保証や重量以外にも判断すべき基準がたくさんあります。「DroneRoofer」は、勾配計測の機能も備えているため、屋根勾配に適した瓦を選定することも可能です。
——「DroneRoofer」の活用で、印象に残っているエピソードを教えてください。
新井様:私がご担当したお客さまから「屋根は5年前に塗装したばかりだし、大丈夫だと思う」とのお話があったのですが、実際にドローンを飛ばして屋根を調査してみると複数のひび割れや劣化が見つかりました。「屋根の上までしっかり調査してもらえた」という安心感と現地調査の精度を評価いただき、競合4社との競合の末に発注をいただくことができています。
また、別の戸建て住宅でドローンの現地調査をしていたところ、その様子を見ていた近隣の方から「うちの屋根も見てほしい」とお声掛けをいただき、それをきっかけにリフォームのご相談をいただくことができました。
小杉様:当初は、弊社の経営層の中でも「ドローンの導入は本当に必要なのか」という空気がありました。私が複合工事案件に同行して屋根の調査提案をしても、その効果が売上や成約率に直結するかは疑問視されていたのです。
しかし、戸建て住宅における複合工事とは、内装+外装であり、外装の調査や提案をおろそかにするわけにはいかない、という信念を信じ導入に押し切りました。その中で出た結果のひとつとして、外装単体のリフォーム工事で成約率80%という驚異的な結果が得られました。「DroneRoofer」の導入とドローンによる現地調査で、リフォーム案件の成約率の向上には間違いなく貢献できています。とはいえ、まだまだ小さい数字しか作れていませんが、外装を苦手としていた弊社にとっては、大きな一歩を踏み出せたと実感しています。
リフォーム業界の先頭集団を目指して。アートリフォームが描く、ドローン活用の未来像
—— 今後の展望についてお聞かせください。
小杉様:現在進めている大型の案件や性能向上案件において、より正確な提案をより安全により効率的に形にしていくことが目先の目標です。そして、これまで以上に外装リフォームの売上を着実に積み上げていき、5年後、10年後の会社全体の目標売上を達成するための伸び代として、社内に可能性を示していきたいと考えています。
また、私ひとりとドローンひとつで対応できる範囲には限界があります。ドローンの操縦そのものは比較的誰でも習得可能ですので、操縦や撮影は若手に任せつつ、撮影したデータの解析や報告書の作成、そして現場へのフィードバックなど、分業体制についても構築していきたいですね。ドローンの運用から報告書の作成までを私ひとりが担っている状態に対して「無理をしないように」「代わりを早く育ててね」と、社長から心配の言葉もありました。
小杉様:長期的には、ドローンによる現地調査と提案書や見積書の作成といったノウハウや知識を次の世代に継承していきます。「DroneRoofer」とドローンはツールに過ぎません。この有用なツールをいかに扱い、いかにリフォームの価値につなげていくかは、私たちアートリフォームの力にかかっています。
弊社はこれまで内装リフォームを得意分野としてきましたが、「業界の先頭集団へ」を標榜するのであれば、外装についても得意分野としなければなりません。「リフォームなら、アートリフォームに任せれば間違いない」と評価いただけるよう、外装領域の強化をひとつの柱として今後もドローン活用に取り組んでいきたいですね。