若年層が定着してくれないなどの理由で人材不足に困っている建設業の事業者に向けて、人材不足の大きな原因となる3つの要素と、その解決の方法を説明します。また、人材不足の主な原因のひとつである「3K」のイメージを払拭するために、ITシステムやAIといった最先端技術を導入するメリットについても紹介します。
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目次
建設業の人手不足はどの程度深刻なのか?
日本の建設業における人手不足はどの程度深刻なのでしょうか。建設業の有効求人倍率は、他の業種に比べて比較的高く、人手不足と同時に就業しやすいということを意味しています。しかし、就業者数は1997年以降減少しており、総数はピーク時よりも100万人、許可業者数は約15万業者も減少しています。建設業の人手不足は、全産業と比較しても深刻といえるでしょう。
(参照:HR NOTE)
就業者の年齢層に関してですが、30代以下の若年層が減少しており、将来に向けて先細っていくことが予想されます。また、特に鉄筋工や型枠工など、比較的専門性の高い職種において人手不足が深刻です。専門性が高い分、仕事の習得にも時間がかかり、その前に離職してしまったり、あるいは仕事の受注が難しくて廃業してしまったりと、専門性が高いことが人手不足を助長するデメリットにもなっています。専門技能を持つ職種における人材不足の影響を抑えるには、その技能を機械化するなど、最先端技術の導入が必要になるでしょう。
(参照:BUILT)
建設業界で人手不足がおこる3つの原因とは
建設業で人手不足が起こる原因は、主に「就業者の高齢化」「離職率が高い」「リーマンショック・コロナ禍による就業者数の減少」の3つが挙げられます。ここからは、それぞれの原因について解説します。
就業者の高齢化
最初に挙げられる人材不足の原因として、「就業者の高齢化」というものがあります。建設業は全産業の中で4番目に高齢化が進んでおり、その要因は若年層の少なさが影響しています。建設業で働く25~34歳の若年層は、2009年に18.8%だったものから、2019年には13.2%まで低下しています。これは、新たな若年層が就業していないことや、若年層が早期に離職していることが要因です。就業者の高齢化を解決するには、若年層の人材を確保することが喫緊の課題でしょう。
また、高齢化に伴い、新たに就業する若者とのジェネレーションギャップが生じてしまい、価値観の合わなくなった若者が離職してしまうケースもあります。
離職率が高い
離職率が高いことも原因のひとつです。「激務で拘束時間が長い」「危険を伴う作業が多い」「低賃金である」といった実情が、若年層の離職率を上げるのはもちろんですが、仕事として生涯続けることが難しかったり、事故で離職せざるを得なかったりと、全体的な年齢層の離職率を高くしています。
月給制ではなく日給制を採る事業者が多いことも離職率が高い要因でしょう。遅刻や早退、欠勤などによって月々の収入が変化することは、生活の安定に結びつかないことを意味します。職人としての将来を考えられなくなって離職するなど、安定性に乏しい収入は離職率の高さに大きく影響しています。
リーマンショック・コロナ禍による就業者数の減少
リーマンショックやコロナ禍で就業者が不況の煽りを受け、離職してしまったことも人手不足の原因に挙げられます。リーマンショックが起こった2008年からの3年間で、全体の就業者は54万人減少しました。また、コロナ禍の2020年1月から7月では、平均就業者数が13万人減少しています。
(参照:BUILT)
職人が不況で離職してしまった場合、同じ建設業に戻ってきて再び仕事をするということはあまりなく、それが減少幅の大きさにつながっています。今後の感染拡大の状況次第では、さらに不況となって離職する職人が増えるなど、あまり楽観的な予測はできません。
不況の煽りを受けやすいのが建設業ですが、その中でも職人は特に影響を受けやすいといえます。事業者は組織的に財務を管理しているので、先行きが立たなくなる前に手を打つことができますが、職人は工事が止まれば日給が得られず収入がなくなります。建設業の人手不足を防ぐには、不況が真っ先に職人に影響する状況を解決しなければなりません。建設業は職人によってほとんどの成果物が作られます。不況でも職人を守るように業界の価値観を変えるべきでしょう。
人手不足を解消する3つの方法
建築業の人手不足を解消するには、どういった方法があるでしょうか。ここからは、その解決の鍵となる3点を詳しく解説します。
若者のイメージ改善
若者は、キツい・汚い・危険という、いわゆる「3K」のイメージがある仕事を避けるといわれています。このイメージの代表的なものとして建設業が挙げられており、人手不足を解消するには、3Kの印象が強く定着している現状を解消しなければなりません。建設業が扱う業務内容に3Kが伴うのは仕方がないといえなくもありませんが、ITシステムやAI、ドローンなどを活用すれば、単純作業の危険を減らし、長時間労働の改善も図れます。最先端技術の導入で業務効率も改善でき、3Kのイメージ払拭にも近づくでしょう。
また、何よりも雇用条件が悪いというイメージが若年層の就業を妨げます。労働環境を整え、労働時間もきっちりと守り、可能な限り仕事についての危険をケアするといった、基本的な雇用条件の整備や賃金を上げるなどの待遇改善を行うべきです。この改善をするには「キャリアアップシステム」の導入がおすすめです。キャリアアップシステムについては、以下で詳しく説明します。
将来にわたってこの仕事を続けられると感じなければ、若者は離職してしまいます。日給制ではなく月給制で職人を雇ったり、日給制だとしても労働時間の管理や拘束時間を短くしたりといった工夫が必要です。危険を避けるために最先端技術を使って、工程の機械化を行うことも、3K労働のイメージを払拭するのに有効です。現代的な企業の経営倫理にアップデートすることで、若者は魅力を感じ、新規就業も増えるでしょう。
そして、SNSなどで情報発信し、企業の魅力をアピールすることも大事です。業界全体のイメージアップも必要ですが、その企業で働きたいと感じてもらえなければ、若者の就業にもつなげることは難しいでしょう。
キャリアアップシステムの導入
人材不足の解消に向けて、建設キャリアアップシステムの導入も検討すべきです。建設キャリアアップシステムは、建設業に関わる職人の資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などを登録し、職人の適正な評価や事業者の業務負担軽減に役立てるシステムです。国土交通省も導入を推奨しています。
職人は適正な評価を与えられることで、キャリアアップに役立てることができ、処遇改善にもつながります。そして、建設キャリアアップシステムは第三者機関による評価であるため、キャリアプランも立てやすくなるでしょう。また、就業状況を逐一システムに登録するため、建設業退職金共済制度の掛金を確実に受け取れるなど、就業者に大きなメリットがあると同時に、事業者にとっても就業者の就労状況管理の手間を省きながら、雇用の確保ができるというメリットがあります。
昔ながらの大雑把なやり方ではなく、適正に評価されれば、収入も安定し退職の際にもしっかりと実績が残ります。建設業者のなかには、このような当たり前のことができていなかった実情があり、それが就業を妨げていた部分も大きいでしょう。
従来の大工仕事的価値観ではない職人が増えているということを理解しなければ、やはり若年層の人材不足は解消できません。世代間のジェネレーションギャップを埋めると同時に、新しいシステムをしっかり導入して、現代的な基準で仕事を評価し、福利厚生なども職人に保障するといった価値観のアップデートが必要です。
省力化による生産性の向上
人手不足を解消するためには、人の手でやっている仕事を機械化するということも必要です。測量や部材の切り出しを機械化するなど、機械でできることは昔よりも格段に増えています。新たにやってきた職人よりも正確かつ無駄なく仕事ができる場合もあり、導入すれば業務の効率化が図れます。
また、図面や仕様書などをタブレット端末に保存して持ち歩いたり、労働時間管理をできるだけ正確に記録するためにスマートフォンで出勤退勤の管理をしたりなど、いわゆるDXをして生産性を上げることも重要です。
建設業の人手不足を解消するデジタル化
建設業の人手不足を解消するために、様々な面で「デジタル化」を検討してみてはいかがでしょうか。最先端システムを導入することで、課題の解決に近づきます。
ITシステムの利用
ITシステムの導入は、業務の効率化につながります。労務管理や給与計算の機械化は無駄なコストを省くことができ、図面のデジタル化は紙に印刷しない分、経費が削減できます。また、通信回線に接続して、図面や仕様書のデータをクラウドに保管しておけば、スマートフォンでもその図面にアクセスができ、いちいち印刷したものを持ち歩かずに済みます。
人がやっていた作業を機械が処理するようになれば、効率化はもちろん、「その人にしかできない仕事」を減らすことにもなり、熟練した職人にしかできなかった、属人化した仕事の損失を防ぐことができます。職人が長年培った経験に基づく技術を、新たに覚えさせるのには時間がかかります。最先端技術なら、正確にデータを与えて再現できる仕組みを構築すれば、1日もかからずに作業の機械化を可能にします。
また、危険な作業を可能な限り機械化することで、キツい・汚い・危険という3Kのイメージを払拭できます。人材不足に悩む建設業界全体において、ITシステムをうまく導入できれば、作業の効率化だけではなく若年層の新規就業も期待できるでしょう。
AIの利用
建設業の人手不足を解消するなら、AI技術の導入も検討すべきでしょう。AI技術の魅力は、単純作業の効率化ができることです。単純作業も人の手でやればケアレスミスが発生しますが、AIに任せればミスは格段に減らせます。
例えば、ヒビやクラックの判定、赤外線カメラを活用したタイルの浮きの判定など、画像認識・画像処理が必要な作業を人の手で行うよりも、AIに行わせれば正確かつ素早く行うことが可能です。 AIは、人間のように疲れたり、集中力が切れたりすることがないので、作業が安定し業務の効率化を実現するでしょう。
AIを機械学習させるには、しっかりとしたデータと適切な学習の仕組みづくりが必要です。そのノウハウはIT企業などの営利団体から非営利団体まで、さまざまなところで研究開発がなされています。業界全体のことも考えると、そういった団体にデータの提供をしたり、結果を活用させてもらったりするためにも、AI技術の導入は早い方がいいでしょう。
建設業におすすめ!ドローンの利用
建設業につきものである高所作業をドローンに任せると、業務の効率化が格段にすすみ、職人の安全確保も可能です。ドローンを使えば、たとえば屋根点検などで、職人がいちいち屋根に上がらずに、ドローンに備わったカメラで点検できます。
屋根点検は、職人がハシゴをかけて屋根を目視し点検するのが一般的ですが、慣習として命綱をつけることは少ないようです。それゆえ、年間で800件を超える事故が報告されており、建設業における主な危険業務のひとつであると言えます。命綱をつけるにも、それを固定するための工程が増え、手間がかかるばかりです。
しかし、ドローンによる屋根点検では、ハシゴをかける必要がなく、また人が屋根に登らないため、もろくなった屋根材を踏んで壊してしまうなどのダメージも与えません。ドローンで屋根全体を撮影し、地上で確認すればいいので、撮影時間さえ確保できれば、職人が登って点検するよりも迅速に作業ができます。屋根点検以外にも、たとえば外壁点検なら、大掛かりな足場を組む必要がなくなるという、大きなメリットがあります。
ドローンを導入する場合は、強風や雨など、考慮すべき点はいくつかありますが、技術の発展によって、多少不安定な環境下であっても安全な飛行を実現してくれるシステムが開発されています。荒天時に職人がハシゴや足場といった不安定なところで点検する危険性に比べれば、ドローンの飛行で安全かつ迅速に点検できるメリットは明らかです。
株式会社CLUEでは、ドローンを使用した点検向けに「DroneRoofer」というパッケージサービスを提供しています。機体はもちろん、飛行許可書も一括で入ったサービスですので、誰でもすぐにドローンを利用した点検を行うことができます。点検にドローンを使用してみたいとお考えの方はぜひDroneRooferの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
東日本大震災の復興需要や、東京オリンピックによる五輪特需はすでに収まりつつあります。人材不足を抱える建設業界の中でも、自社の課題が何であるかを明確にし、改善することで、解決の兆しが見えてきます。人材不足は建造物の品質にも関わるため、ITシステムやドローンの導入を含めた早急な対応が必要でしょう。