2023年9月29日

「12条点検」とは?点検内容や項目を解説!

日ごろから建物設備のメンテナンスや点検など細かく気にされている建物の所有者や管理責任者の方々にとって、「12条点検」は知っておくべき内容です。しかし、「名称は聞いたことはあるが、具体的にどういう内容なのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。本記事では建築基準法における12条点検について、制度の概要や細かいチェック項目について解説します。

 

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建築基準法における「12条点検」とは?

建築基準法における「12条点検」とは、建物を利用する人々の安全を維持するために非常に重要な法定点検です。聞きなれている人も、最近建物の管理業務に携わったため知らないという方も、改めて制度の概要からおさらいしていきましょう。

12条点検制度の概要

建築基準法第8条では「建築物の所有者、施設管理者または占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」と定められています。この第8条に基づくかたちで第12条にて、建物の所有者は建物を定期的に点検し、行政に対しその結果を報告する義務が定められています。この第12条に定められている内容が「12条点検」と呼ばれるものです。

12条点検の目的は、「建物そのものおよびその利用者の安全の確保・維持」です。多くの人が利用する公共施設の図書館や病院、百貨店や映画館、ホテル、事務所などさまざまな建物が対象です。「これらの建物設備が正しく作動するかどうか」「建物自体が老朽化していないか」「有事の際に避難設備が作動するか」などの確認をおこなう必要があります。
参照元:建築基準法

対象となる建物

建築基準法第12条の条文は次の通りです。

「第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上または衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、または管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士または建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食そのほかの劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸そのほかの政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。」

非常に長くてわかりにくいかもしれません。簡単に要約すると「国等の建築物を除く「特定建築物」の所有者が、「特定建築物」の敷地や設備を、定期的に1級建築士・2級建築士・建築物調査員のいずれかに点検してもらい、結果を行政に報告してください。」という内容です。

つまり12条点検の対象は「特定建築物」と呼ばれる建物が対象であり、建物であればすべて12条点検の義務が発生するというわけではありません。先ほど具体例をいくつかあげましたが、この12条点検の対象となる「特定建築物」とは、以下の条件に当てはまる建築物のことを指します。
・5階建て以上の事務所等で、且つ延べ面積が1,000㎡を超える
・特殊建築物で、「使用目的として利用される床面積の合計が200㎡を超える」あるいは「3階建て以上で、且つ使用目的として利用される床面積の合計が100㎡を超え200㎡以下」

建築基準法で定められている特殊建築物とは、「劇場・映画館等」「病院・ホテル・共同住宅等」「学校・体育館等」「百貨店・カフェ等」「倉庫等」「自動車修理工場等」と区分されています。
この条件からさらに行政ごとに、点検と報告が必要な建物を定めているケースがあります。たとえば東京都は地下街や場外車券売場も対象です。「共同住宅であるマンションが、特殊建築物に含まれるかどうか」は、各自治体によって条件がまちまちです。必ず所有している物件が位置する自治体のサイトなどで情報を確認するようにしてください。「(自治体名) 12条点検」などで検索してみると探しやすいでしょう。

実施する周期

12条点検は点検対象とその周期も定められています。
具体的には
・建築物の敷地・構造は3年以内ごとに実施
・昇降機、昇降機以外の建築設備(照明や給水設備など)、防火設備は1年以内ごとに実施
と決まっています。こちらについても報告時期などは行政ごとに決まっているため、必ず自治体の情報を確認するようにしてください。

たとえば横浜市の情報は次のリンクから確認できます。
参考:横浜市ホームページ

こちらによると横浜市では、「劇場、公会堂、病院など」の建築物点検は、令和3年度を起点に3年ごとの周期で、5月~8月が報告期間です。
同じように「百貨店、勝馬投票券販売所など」の建築物点検が令和4年度を起点に3年ごとの周期で5月~8月、「児童福祉施設」の建築物点検は令和2年度を起点に3年ごとの周期で5月~8月、というように点検報告の期間が決まっています。
報告書の様式は簡単にダウンロードできるように、ほとんどの自治体のサイトに掲載されています。

12条点検をおこなうために必要な資格

条文中にも記載されていますが、12条点検を実施するのは誰でもよいわけではありません。実施者は、次のような特定資格が必要です。

・1級建築士
・2級建築士
これらは建物を設計するための資格であり、資格保有者は基本的な建築に関する知識を有している人です。建築士の資格を有していれば、追加の研修や手続きを必要とせず12条点検に携われます。

・建築物調査員
こちらも国土交通大臣によって認定される国家資格です。専門の知識と実務経験を有する人のみが資格取得できるようになっています。
ただし建物の所有者がこういった資格を持っている必要はなく、一般的には、資格を有する人を抱えている業者に12条点検を依頼するというパターンが多いでしょう。

12条点検の項目

制度の概要を押さえたところで、ここからは具体的な点検項目とその実施例を見ていきましょう。

特定建築物

特定建築物の点検項目は大きく5つあります。
・敷地や地盤(通路、塀なども含む)
・建築物の外部(基礎なども含む)
・屋上や屋根
・建築物の内部(床や壁、天井など)
・避難施設
建築物そのものや建築物の周囲の環境が点検ポイントです。
具体的な点検の方法としては、目視による確認のほかに、「建築物の設計図など図面を用いて現物と比較する方法」や、「ハンマーを用いて壁面などを打診する方法」「メジャーを用いて長さを測定してシミュレーションする方法」などがあります。

特定建築物の点検実施例

では、これらの項目はどのようなポイントに注意して点検をおこなえばよいのか、例を挙げていきます。

敷地や地盤
・建物が建っている周囲の地盤が沈下によって傾いていないか、あるいは陥没してしまっている部分はないか
・敷地の塀がひび割れを起こしていないか
・擁壁に水抜き穴がしっかり確保されているか
・排水管などから悪臭がしていないか

建築物の外部
・外壁が剥がれたりひび割れを起こしていないか
・建物そのものが地盤沈下によって沈んだり傾いたりしていないか

屋上や屋根
・屋上のコンクリートがひび割れを起こしていないか
・防水のためのモルタルが剥がれてしまっていないか
・高架水槽がある場合、風雨にさらされて脆くなっていないか

建築物の内部
・床や壁がひび割れたりはがれている部分や腐食している部分はないか
・地震の影響などで天井が剥がれたり落ちたりしていないか、また地震の際天井材が落ちてこないようになっているか
・照明を妨げるものがないか

避難施設
・避難器具を作動させる際に妨げになる位置に物が置かれていないか
・避難時に通路の妨げになるようなものや可燃性の高いものはないか
・非常階段などの手すりが腐食していないか

建築設備

建築設備の点検項目は大きく4つあります。
・給水・排水設備
・換気設備
・非常照明設備
・排煙設備
建築物の内部にある、「利用者が快適に過ごせるための基本的な設備」が点検対象です。
目視以外の点検方法のほかにも、「建築物の確認で用いたような設計図やメジャーの使用」「実際に機器や設備を作動させる動作確認」や「触って確かめる触診」などの方法があります。特に換気設備は紙などを用いて空気の流れを確認したり、非常照明は図面を用いて確認したりとそれぞれの設備に合った適切な点検方法を選定することが重要です。

建築設備の点検実施例

これらの項目を点検する際の、具体的な点検実施例を挙げていきます。

給水・排水設備
・受水槽や汚水槽、給排水管や高架水槽など、給排水に必要な設備が正常に運転しているか、腐食を起こしていないか、わずかでも漏れが生じていないか

換気設備
・給排気口は正しい位置にあり、正常に作動しているか
・特に火気を扱うような場所や窓がない部屋は十分に換気体制があるか
・空調設備に異音や異臭も含めて異常はないか
・防火ダンパーは正常に作動するか

非常照明設備
・建物内に用意されているものすべてを点検すること
・電池内蔵型のものは、内蔵電池の寿命が来ていないか
・設備の保守点検書は正しく記載されているか
・誘導灯はきちんと点灯しているか
・普段使わないからと言って電源を抜いたり電球を取り外したりなどしていないか
・自家発電設備があれば保守点検書のチェックも実施

排煙設備
・排煙機は正常に作動するか
・可動排煙壁も同様に正常に作動するか、消防点検書は正しく記入されているか
・段ボールがうずたかく積み上げられているなど、排煙口から排煙する妨げになるものはないか

防火設備

防火設備の点検項目は次の4つです。
・防火扉
・防火シャッター
・耐火クロススクリーン
・ドレンチャーやそのほかの水幕を形成する防火設備

防火設備もそのほかの設備と同様、目視以外にも「図面を用いて現地と比較する」「機器を作動させる・触診する」といった方法を交えて点検をおこないましょう。
特に防火設備の場合は、熱感知や煙感知の機能が正常に作用するか、入念に確認します。単純にシャッターが下りるか・扉が動くかだけではなく、「いち早く異常を感知して、適切な信号を流せる環境にあるか」を確かめることが重要です。

後述しますが、防火設備の点検は比較的近年に義務化された項目です。ニュースではときおり、ビルや建物の火災が報道されています。もし自分の所有する建物内で実際にそうした事態が生じた際、防火設備に不備があれば、被害者数は大幅に増えてしまうでしょう。不特定多数の人々が利用する施設を所有する者の責任として、防火設備の点検は特に密に業者とコミュニケーションを図りながらおこないましょう。

防火設備の点検実施例

では、これらの項目はどのようなポイントに注意して点検をおこなえばよいのか、例を挙げていきます。
防火扉
・防火扉を動かすときに動線の妨げになるようなものはないか
・防火扉は正常に動くか、一部腐食などしていないか
取り付けられている安全装置は作動するようになっているか

防火シャッター
・シャッターを閉じる際に妨げになるものはないか
・シャッターを動かすための装置に不備や損傷はないか
・煙感知器や熱感知器の設備位置に問題はないか、正常に作動するか
・危険防止装置は正常に作動するか

耐火クロススクリーン
・設置場所に妨げとなるものがないか
・ガイドレールなどに損傷はないか
・危険防止装置は正常に作動するか
・危険防止装置の予備電源に容量不足や劣化、損傷はないか
 
ドレンチャーやそのほかの水幕を形成する防火設備
・ドレンチャーや設備付近に散水の妨げになるようなものがないか
・ヘッドや開閉弁など設備に損傷や腐食などはないか
・散水用の貯水槽の中は十分な水で満たされているか、水質に問題はないか

昇降機

昇降機の点検項目は次の4つです。
・エスカレーター
・エレベーター
・小荷物専用昇降機
・遊戯施設など

昇降機も突然痛ましい事故を起こしかねない設備です。目視以外にも触診や実際に作動させることでの動作確認を怠らないようにしましょう。この項目では特に「聴診」も必要です。「エスカレーターやエレベーターに乗っているときに、異音がしないかどうか」の確認を怠らないようにしましょう。

昇降機の点検実施例

では、これらの項目はどのようなポイントに注意して点検をおこなえばよいのか、例を挙げていきます。
これらの昇降機は基本的に共通のポイントを確認してください。
・適切な速度で作動しているか
・制御器は正常に作動するか
・機関室の外部・内部ともに問題はないか
・降下防止装置は正常に作動するか
・操作盤やかごの構造などに問題はないか

平成28年におこなわれた法改正について

近年、ホテルやビル、診療所などでの火災による痛ましい事故が相次いでいます。こうした大きな火災事故の起きる一因として、「建物の管理がずさんだった」点が指摘され、平成28年に建築基準法の改正がおこなわれました。この改正により、報告対象物と点検者の資格制度が大きく変更されています。

・報告対象物について
これまでは地域特性などを鑑みて各自治体で報告対象物を定めていましたが、改正後は「防火設備」と「エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機」も必須の報告対象物になりました。

・資格制度の変更について
改正後は「資格者」しか点検を実施できないことになりました。建築士以外の点検実施者の国家資格化をおこなうことで、「特定建築物調査員」は外壁や内部など建物の点検、「防火設備検査員」は防火設備や排煙設備などの点検、「昇降機等検査員」はエレベーターなどの点検、「建築設備等検査員」は排水や換気の設備の点検をそれぞれ担うことができることを法律で明確化しました。さらに国が資格付与時はもちろん、「不正をおこなったものからの資格剥奪」を含めて監督をおこなうこととなっています。

ドローンを用いた12条点検

ここまで12条点検について述べてきましたが、点検の基本は目視が中心です。しかし、特に外壁や屋根のチェックにおいては、高所はもちろん、回り込まないと確認がしにくい箇所などもあり、目視点検は困難な場合は少なくないでしょう。
すべての必要箇所を点検するには、足場の組み立てから全面打診まで検討する必要があるでしょう。もちろん、多くの時間と費用がかかることになります。加えて、安全に実施するように配慮していても、人身事故のリスクは完全にはなくせません。

このようなケースでは、赤外線カメラを搭載したドローンの活用が非常に効果的です。ドローンを用いれば、外壁のひび割れや剥離などをすぐ判別でき、立ち入りの困難な場所も、赤外線カメラによって視覚的に確認可能です。赤外線診断は全面打診の代わりとなるため、ドローンでの赤外線カメラ撮影は、公式に12条点検の報告書へ記載可能です。
足場の組み立てなどで時間・費用がかかり、作業員の危険性も高い従来の点検方法と比較すれば、ドローンによる点検の利点は明らかでしょう。点検担当者の安全性を容易に確保しつつ、時間・費用を節約できます。非常に費用対効果に優れた選択肢と言えるでしょう。

まとめ

人々の安心・安全を守るために建築基準法で定められている12条点検は、点検項目が細かく決められています。
12条点検にはドローンが有効です。DroneRooferなら足場の組み立てをせずとも、気軽にしかも安全に外壁や屋根の点検がおこなえます。点検費用を抑えたい、事故を減らしたいなど点検でお悩みの方はDroneRooferのご利用をご検討ください。

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