現在、さまざまな分野で活躍しているドローン。その歴史は、意外と知られていません。一体、誰が何のためにドローンを作り出したのでしょうか。今回は、ドローンの開発秘話や、誕生以降の進化の歩み、現在の活用例や最新の動向、ドローンが築く未来について解説します。
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目次
ドローン開発について
ドローンと聞いて、多くの人は、複数のプロペラで飛ぶ小型の機体を想像するのではないでしょうか。実はそれに限らず、遠隔操縦や自動操縦で飛行する無人航空機を総称してドローンと呼びます。では、いつからドローンが使われ始めたのか、開発の歴史から見ていきましょう。
ドローンが開発された理由
最初のドローンが誕生したのは、今から80年以上前のこと。第二次世界大戦の際に、イギリスとアメリカで本格的な研究が始まって、開発された無人飛行機が現在のドローンのルーツです。イギリスは1935年に無人飛行機の飛行に世界で初めて成功しました。アメリカも1940年代に開発に成功しています。
開発の時期からわかるように、目的は軍事利用でした。搭載した爆弾を爆発させて敵機を撃墜することが、最初のドローンの使命だったのです。しかし、当時の技術では操縦不能となるケースも多く、第二次世界大戦中に作戦が実行されることはありませんでした。
ちなみに無人航空機の開発者の名前はわかっていません。軍事機密で非公開だったからです。
ドローンの名前の由来
ドローンとは、雄のハチを意味する英語です。なぜ、雄のハチが無人飛行機の名前となったのでしょうか。その理由として、2つの説があります。
1つ目は、プロペラを高速回転させて飛ぶ際に聞こえる音が、ハチの羽音に似ているから名付けたという説です。確かに「ブーン」という音が似ています。
もう1つは、イギリスが先に実用化していた無人飛行機が「クイーンビー(女王蜂)」と呼ばれていたため、それに敬意を表して、アメリカがオスの蜂の名前であるドローンを採用したという説です。
どちらが正しいかわかりませんが、ハチが語源となっていることは確かです。
ドローン開発の流れ
軍事利用の目的で開発が進められたドローンは、その後もしばらくは兵器として発展していきました。ところが、1980年代からは民間でも、さまざまな分野で活用されるようになります。続いては、その歩みを振り返ってみましょう。
第二次世界大戦中に軍事目的で開発
第二次世界大戦中に開発された無人飛行機は、当初、地上から敵の飛行機を撃墜する演習のための標的として利用されていました。そのため、ターゲット・ドローンと呼ばれています。
第二次世界大戦後も、アメリカは、無人飛行機の開発を進めました。ドローンを使って魚雷を投下したり、無人の偵察機を飛ばしたりするためです。特に無人の偵察機は、電子装置の小型化や高性能化が実現したことで研究開発がさらに進み、実際の戦場で使われるようになります。
さらに、無人飛行機は、攻撃機としても活用されるようなり、今もなお進化を遂げています。ちなみに、アメリカ軍は、2023年までに攻撃機の1/3をドローンにするとしています。
民間におけるドローン活用の広がり
一方、1980年代になると、民間でも産業用ドローンが活躍するようになりました。小型化や低価格化が進んだため、農薬散布などにドローンが利用されるようになったのです。
民間でのドローンの活用は、日本が世界的に先駆けて行ってきたものです。
1987年には、ヤマハが、世界初の産業用無人ラジコンヘリコプターの販売を始めました。見た目はヘリコプターですが、無人なのでドローンに分類されます。現在、国内で登録されている農薬散布用の無人ヘリコプターの数は2600 機以上。日本はドローン大国だったのです。
さらに、その後、主流となるマルチコプターの登場で、ドローンは一気に活躍の場を広げます。マルチコプターとは、複数のプロペラを高速回転させて飛ぶドローンです。多くの人がドローンと聞いてイメージするのが、このマルチコプターです。小型で軽量のマルチコプターが実用化されて以来、ドローンは、農薬散布だけでなく、民間のさまざまな産業分野で活躍するようになります。
娯楽利用の広がりでドローンが普及
ドローンは現在、娯楽やホビーとしても世界中で楽しまれています。そこまで広まるきっかけとなったのが、2010年にフランスのParrot社が「AR Drone」を発売したことです。
「AR Drone」は、初めて登場した一般の消費者向けのドローンでした。画期的だったのは、Wi-Fi につないでスマートフォンで操縦できることや、空撮した映像をリアルタイムに見られるFPV機能が備わっていたことです。
おかげで、多くの人がドローンを娯楽やホビーとして楽しむようになりました。そして、これがきっかけで空撮が容易になり、農業以外のさまざまな産業での利用が広まったのです。
ドローンを使ったスポーツ
ドローンは今や、競技スポーツとしても人気です。ドローンレースと呼ばれる大会では、プレイヤーが、ドローンを遠隔で操作しながら、決められたコースを飛行させる速度を競います。
人気の秘密が、操縦者の臨場感です。プライヤーは、ゴーグルを装着して、最高時速150kmのスピードで飛ぶドローンのカメラから送られてくる映像をリアルタイムで見ています。ですから、まるで自分が空中を飛んでいるかのような迫力を体感できるのです。
ドローンレースは現在、世界中で開催されていて、賞金が1億円を超える大会もあります。熱狂的なファンも多く、プロ化やオリンピックの正式種目にしようとする動きもあるほどです。
現在の活用事例
ドローンの普及は「空の産業革命」と呼ばれるほど、さまざま分野に大きな影響を与えています。ここからは産業別にドローンがどのような変革をもたらしているかを見ていきましょう。
農業
農業界では、高齢化や人材不足といった課題を解決するためのツールとして、ドローンが活用されています。農薬散布をするときも、ドローンなら人力で行ったときと比べ、1/5ほどの作業時間ですみます。また、いつでも好きなときに農薬を散布できるので防除効果が高まり、作物の品質向上に役立ちます。
ほかにも水田の地質解析や、農作物の生育の管理などにドローンを活用する農家が増えていて、導入した農家の多くで生産性が向上しています。
点検・整備
点検・整備の作業では、人に代わってドローンが行う動きが加速しています。道路や橋、屋根や煙突といった高い場所、建設現場などで危険が伴う場所でも、ドローンを使えば、安全に点検・整備ができるからです。
例えば、建築中の建物でも、足場を組まなくても詳細な確認が行えるようになりました。その結果、点検や検査にかかる時間が大きく短縮でき、作業自体も効率化されています。
物流
物流業界では、ドローンによる配送の実用化に取り組んでいます。ドライバー不足や交通渋滞に悩まされてきた物流業界ですが、ドローンなら、ドライバーなしでの配送が可能です。また、道路事情に関係なく上空を通って配送できるので配達速度が飛躍的に向上します。
アメリカでは、すでにAmazonが試験運用でドローンによる医薬品の配送に成功しています。ニュージーランドではピザの配達が始まっていて、中国でも、コーヒーのデリバリーや警察の街頭アナウンスにドローンが利用されています。
日本では、2022年に本格的なドローン物流がスタートする予定ですが、すでに長野県伊那市などで、通販で購入した商品を、町の公民館までドローンで配送する試みが始まっています。
ドローン活用のこれから
ドローンは、今後さらに活躍の場を拡げていくことが予想されます。そうなれば私たちの暮らしはどのように変わるのでしょうか。続いては、ドローンが普及した未来の姿について紹介します。
迅速かつ場所の制限がない配送が可能に
ネットで注文した買い物は、これまでトラックで配送拠点に一度、集めてから、家庭に届けられていました。しかし、ドローンが各家庭に直接、運ぶようになれば、ネットで注文した商品が、わずか数時間で到着したりします。物流業界でも、トラックの維持費がかからなくなるだけでなく、人件費などのコストを削減して、より効率化することができます。
日本では、すでに離島にドローンで配達する実証実験が行われています。今後、それが全国に広がってドローン物流が実現すれば、私たちの暮らしや物流は大きく変わります。
防災や災害時のさまざまな支援が可能に
自然災害の多い日本では、防災面でのドローン活用が期待できます。ドローンは、被災者の捜索や救助はもちろん、被災状況の確認や調査に大きな役割を果たします。
被災者の捜索では、ドローンの赤外線カメラなどで、逃げ遅れた人を空から捜索すれば、夜間でも迅速に、より多くの人の命を救えるようになります。また、孤立した集落に水や食糧を届けることもできるでしょう。
農業分野でもより精度の高い管理が可能に
農業分野では、これからも農薬散布や精密農業などにドローンが一層、活躍するようになるでしょう。農薬散布にドローンの活用が効果的なことは、すでに述べたとおりです。
また、農地や農作物の状態を観察して、きめ細かく対応して生産性を上げる精密農業の精度も上がります。ドローンから得たデータで生育状況や病害虫の発生を確認して、生育不良のところにピンポイントで肥料を与えたり防除を行ったりすることも可能だからです。
現在、農業では国が主導してドローンを始めとするデジタル技術の導入が行われています。このままスマート農業が加速すれば、収穫した農作物をドローンが自動で集荷して、生産者の基に直接、届けたりする時代もやってくるかもしれません。
ドローン活用の課題
ドローンが実用化されれば、私たちの暮らしもより便利で快適なものになります。しかし、ドローンを本格的に運用するには、まだまだ課題もあります。どんな課題と解決策があるのかを併せて整理していきましょう。
長時間飛行
最初の課題が、長時間飛行が困難なことです。現在のバッテリーでの飛行時間は、産業用ドローンで30~40分前後が一般的です。しかも、これは荷物をまったく積まない状態での飛行時間です。荷物を積めば電力を消費するため、飛行時間はさらに短くなってしまいます。
実用化には長時間運行が不可欠です。ですから、荷物を積んでの長い飛行時間に耐えられるバッテリーの開発が求められます。次世代バッテリーでは平均120分の飛行が可能になるとされています。今後、バッテリー機能が進化すればドローンの活用にも大きな変化がもたらされるでしょう。
社会インフラ整備
法整備や運行管理システムといった社会インフラも整える必要があります。現在、ドローンを飛ばすには、航空法や電波法などが定める約30の規制を守る必要があります。安全のための規制ではありますが、厳しい規制がドローンの普及を阻んでいるという意見もあります。そこで国は、現在、これらの規制を緩和する方向で法改正を検討しています。
また、ドローンを安全に飛ばすには、電波と安全な飛行ルートの確保が必要です。電波障害が起こらない環境を作ると同時に、異なる事業者が運航するドローン同士の衝突を防止しなければなりません。そのためには、「それぞれのドローンの運航を調整するための、運行管理システム」を整備することが急務です。
専門の人材確保と育成
ドローンを安全に運用していくには、ドローン運用者の育成も重要です。操縦の技術と、運航管理に関する知識の両方がなければドローンを安全に飛ばせません。専門的な技術と、知識を持った人材を育成する機関や制度が必要となるでしょう。
政府は現在、対策に向けて動いており、2022年には国家資格としてのドローンの操縦ライセンスの制度が導入されます。このライセンスは、ドローンを飛行させるために必要な知識及び能力があることを証明するもので、人口集中地域で宅配ドローンなどを安全に操縦できる人材を育成する目的があります。こうした人材育成のための法整備は今後も進められていくでしょう。
ドローンを活用したサービスDroneRoofer
今後も、さまざまな産業分野でドローンが活躍する機会が増えていくことは間違いないでしょう。建設業界でも、ドローンを活用すれば、足場を組むことなく、空から点検できるようになります。現場を効率よくチェック可能で、危険な高所作業も減らせるので、屋根点検の安全性や生産性も向上します。
ドローンを誰でも使えるようにしたDroneRooferは、ドローンで屋根の外装点検を行うためのサービスです。最適なドローン選びや、簡単に操作できるタブレット端末の提供、飛行許可申請など、一通りのサポートがパッケージになっているため、ドローンのノウハウがない方でも安心して任せられます。
さまざまな課題が残る現状で、ドローンを運用するためには、専門的な知識や技術が必要になります。DroneRooferでは、運航管理に関するプロフェッショナルが導入後もサポートしますので、安心してご利用いただけます。気になる方は、ぜひ、詳しい資料をダウンロードしてください。
まとめ
ドローンの開発から、技術の進歩、それぞれの産業分野での現状や今後について紹介してきました。インフラの整備が進み、テクノロジーがさらに進歩すれば、ドローンがやがて社会を大きく変えていくでしょう。経済産業省は、ドローンの活用を「空の産業革命」と名付けています。今後、ドローンが社会にどのような革命を起こしていくのか、これからも注目していきましょう。